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トランプ大統領、相互関税に踏み切る 米国第一主義が再び動き出す
2025年4月2日、トランプ米大統領はホワイトハウスのローズガーデンで演説を行い、「相互関税」の導入を正式に発表しました。新たな通商政策では、すべての輸入品に対して一律10%の基本関税を課すとともに、国ごとに異なる上乗せ税率を加える二段階の制度が導入されます。
今回の措置は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づいており、米国の貿易赤字と産業空洞化を「国家の緊急事態」として認定して発動されました。基本税率は米国時間の5日午前0時1分(日本時間5日午後1時1分)から、上乗せ税率は9日から適用される予定です。
日本に24%の関税 非関税障壁を加味して決定
日本に対しては、合計で24%の追加関税が課されることになりました。これは、単に関税率だけでなく、消費税、為替政策、自動車規制といった非関税障壁まで含めて、日本が実質的に米国に対して46%の障壁を設けているという米政権の認識に基づいています。
トランプ大統領は「日本はコメに700%の関税を課している」と名指しで批判し、自動車分野の規制についても厳しく言及しました。今回の関税措置は、長年の貿易不均衡に対する「対抗措置」と位置づけられています。
各国への税率:中国34%、EU20%、インド26%
上乗せ税率の対象となるのは、およそ60の国と地域です。中国に対しては34%、欧州連合(EU)には20%、インドには26%の関税が課されます。すでに25%の関税を課しているカナダやメキシコは当面の対象外とされましたが、将来的な適用が示唆されています。
特に中国については、既存の20%関税に34%を上乗せする形で、合計60%近い関税となる見込みです。これはトランプ氏が2024年の大統領選で掲げた「対中60%関税公約」と一致する数値です。
株式市場と債券市場の反応 安全資産へ資金が移動
トランプ大統領の相互関税導入表明を受け、2日夕方の米金融市場ではリスク回避姿勢が強まりました。ダウ先物は一時1000ドル超の下落となり、半導体やIT、自動車関連株も時間外で急落。エヌビディアは6%、アップルは8%近い下げを記録しました。関税の影響による供給網の混乱とコスト上昇が業績懸念を呼び、円は対ドルで一時148円台前半まで買われました。一方で、安全資産とされる米国債には買いが集まり、10年物国債利回りは4.11%まで低下しました。市場参加者はリスク回避姿勢を強めており、今後の展開によってはさらなる資金の流入が予想されます。
金価格が過去最高の3200ドルを突破
安全資産の代表格である 金も急騰し、史上初めて1トロイオンスあたり3200ドルを突破しました。これは、関税強化による経済減速やインフレ進行への懸念が高まった結果と考えられます。いわゆる「スタグフレーション」への警戒が台頭し、投資家の間で金への逃避需要が強まっています。
今回の相互関税は、米国だけでなく世界経済全体に大きな影響を与える可能性があり、今後の各国の対応や報復措置にも注目が集まっています。
今後の注意点
相互関税の発動でグローバルなサプライチェーン(供給網)が混乱し、価格に上昇圧力もかかることが想定されます。このようなことを市場は回避できるのではないかという期待があったため、当面は失望の売りが続く公算が高いでしょう。ややパニック的な売りが続くかもしれません。
また、今後の業績見通しへの悪影響が出てきます。今までは、日米株で長年続いた割高への調整、つまりPERの低下が株安を主導していましたが、今後はいよいよ予想EPSへのマイナスの影響が出てくることが想定されます。その予想EPSの低下を受けてPERも低下するという悪循環のシナリオに突入する可能性が高まっています。まずは、過去のPERや景気減速時のEPSの低下などを元にして冷静に想定下限を算出し直しましょう。そして、直感的な割安感で手を出さない、感情的にポジションを投げないといった冷静な対応を行うことが肝心です。
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