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【米国成長株式ファンド】短期の高パフォーマンスを長期的に継続できるか?【投資信託マラソン】

【米国成長株式ファンド】短期の高パフォーマンスを長期的に継続できるか?【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、米国成長株式ファンド、米国成長株に投資するファンドを分析します。

このファンドは、短期的には非常に好パフォーマンスを残しています。投資家の立場からすると、長期的にもパフォーマンスが持続しているかどうかが非常に重要です。そういった点を本日は分析しますので、ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨は目的としていません。銘柄につきましてはランダムに抽出を行っています。運用会社や販売会社と当社との間に業務提携は一切ございません。あくまでも中立の立場で分析をお伝えします。

投資信託概要

概要

米国成長株式ファンドは三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用しています。米国株に投資するこのファンドは、NISA成長枠での投資が可能です。信託報酬は1.87%、純資産総額は630億円です。

特徴です。米国の成長株に投資するアクティブファンドです。株式の銘柄選定にあたっては、将来の成長余地や成長の持続期間を分析し、市場で過小評価されている優れた企業、株価上昇が期待できる銘柄を選定します。成長性と割安感を勘案して投資を行います。

ポートフォリオを見ると、情報技術のテクノロジー企業が半数近くを占めています。投資銘柄も約40銘柄に絞り込んでおり、ある程度集中投資を行っているファンドです。成果が出るときは大きめの成果が期待できるファンドという印象です。

ファンドの投資方針としては、一部の銘柄をコア資産として多く保有し、それ以外の銘柄は分散投資しています。コアとサテライトの要素を取り入れているファンドが、どのようなパフォーマンスに繋がるのでしょうか。

チェックポイントです。ユニークな投資戦略が投資成果に結びつくのか、また長期的に安定したパフォーマンスを実現できているかを確認します。

パフォーマンスは、過去10年、5年、3年、1年のデータを見ても、同じカテゴリーを大きく上回っています。非常に安定して高いパフォーマンスを出しているファンドです。このようなパフォーマンスであれば、通常リスクを大きく取りがちですが、リスクは同カテゴリー以下です。リスクをコントロールしながら高いリターンを得ています。これから実際の中身をより詳しく確認してみましょう。

投資戦略

実際の運用を行っているのは、欧州の大手銀行グループ、スイスの銀行として有名なUSB系列のUBSアセット・マネジメント株式会社です。

投資戦略は非常にオーソドックスです。上場企業の中からファンダメンタルズをリサーチし、成長株、割安に放置された銘柄を見つけています。

企業を分析する際には3つの大きなポイントがあります。革新的な成長をしている企業であること、安定的な成長をしていること、サイクルに沿った成長をしている、という観点で分析を行います。サイクルとは、企業の業績だけでなく、景気の循環によって非常にフォーカスされやすいセクターかどうかを含みます。個別の安定成長、革新性に加えてマーケットのサイクルなども分析していますので、トップダウンとボトムアップの両方を兼ね備えたファンドと言えます。非常にオーソドックスな運用スタイルです。

銘柄戦略

ポートフォリオを見ると、情報技術セクターが45.92%を占めており、半数近くがテクノロジー企業です。投資銘柄数は約40銘柄と集中投資を行っています。コア資産はクラウドサービスやサイバーセキュリティ、自社で提供する製品と親和性の高いサービス事業の伸びが業績を支えるハードウェア企業、AI開発に必要な半導体企業、経済活動の活性化を追い風とするクレジットカード、インフレ環境下での収益の安定性が際立つヘルスケア関連をコア資産として保有しています。

銘柄を見ると、NVIDIA、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、Meta、アルファベット、マスターカードなど、アメリカを代表するブルーチップが並んでいることがわかります。

コアとしてはAI関連、半導体、クレジットカード、ヘルスケアなどを含めつつ、サテライトの部分では細かく銘柄を選定しています。銘柄の入れ替えはあまり頻繁に行っておらず、定期的に比率をコントロールするリバランスを行っています。投資割合でコアとサテライトをわけていることが、どうパフォーマンスに結びつくかがポイントです。

ファンドパフォーマンス

パフォーマンス

成長株に投資を行い、かつ集中投資を行っているため、ファンドの値動きはどうしても大きくなりがちです。リスクは年20%程度と、市場平均と比べてもやや大きい印象があります。値動きが大きい分、リターンも少し大きくなっています。過去5年間では、S&P500を30%程度上回るリターンを出しています。チャートを見ると、オレンジのS&P500円建てが、5年間で約30%も上回る非常に高いリターンが出しています。

リスクが高いとはいえリターンも高く、シャープレシオが1を超えるしっかりとしたパフォーマンスを出しています。

しかし、それはファンドの運用がいいというよりも、成長株の上昇、グロース株のマーケットが良かったことが1つの要因です。成長株が全体的に低調だった2022年などはインデックスを下回る結果となり、ファンドのリターンもマイナスとなっています。

過去3年間の騰落率はS&P500とほぼ同等になっており、それ以前のプラス要因をすべて吐き出す形になっています。そのため、ファンドの値動きは大きく、リスクも高いことがわかりました。成長株が優位な局面においては非常に好調な成果を残すのですが、成長株が鈍化する局面ではファンドのパフォーマンスが大きく悪化する特徴があります。

ファンドのポートフォリオ自体もあまり頻繁に入れ替えを行っていないことは先ほどお伝えした通りです。売買頻度によるリスクコントロールすることをあまり行っていません。成長株が大きく成長するときには良好な成果を上げるのですが、そうでないときにはリスクが高まります。マーケットの要素が非常に強いファンドという印象です。

アクティブファンドとして積極的に運用しているというよりも、成長株に集中投資し、その動向に依存するファンドです。細かいメンテナンスが行われている印象はあまりありません。

10年パフォーマンス

S&P500のインデックスファンド(円建て)が緑のチャート、青は、米国成長株ファンドの分配金込みの再投資です。タイミングによって若干の変動はあるものの、結果としてはほぼ変わっていません。

インデックスファンドとあまり変わりがないと言えます。売買頻度があまり大きくなく、グロース株を多く入れています。S&P500は最近グロース株を多く含んでいるため、差異が少ないです。そのため、アクティブファンドらしさがパフォーマンスから見ても、確認できないファンドです。

資金流出入

今年に入ってからの資金流入です。

評価

評価は2.5です。最近はパフォーマンスがいいため、評価サイトによっては高い評価をつけているものも見られます。ですが、成長株ファンドとしての実力を考えると、S&P500の長期パフォーマンスとほとんど変わりません。独自の選定能力があるわけではなく、よく知られた成長株を組み入れています。

組み入れ頻度を大きく変えるわけでもなく、バイ・アンド・ホールドの方針を取っているため、ほとんどS&P500と変わりません。成績が悪いというよりも、成長株のアクティブファンドとして投資家の期待を超えていないため、評価は2.5とさせていただきました。

アクティブファンドらしい特徴を持つファンドをお探しの方は、他のファンドと比較しながら分析を進めてください。

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