近年、資産管理の選択肢として「ファミリーオフィス」を選ぶ富裕層が静かに増え続けています。正確な数は公表されていないものの、特に日々の業務に多忙な富裕層の間で、その存在は着実に広がりを見せています。
では、なぜ従来のプライベートバンクではなく、「ファミリーオフィス」が選ばれるのでしょうか。
その背景には、「中立性」「保守的な管理スタイル」「家族のための包括的な支援」といった、これまでの資産管理サービスには見られなかった独自の価値が存在します。
本記事では、2021年のアルケゴス・キャピタル破綻事件を契機に注目が高まったファミリーオフィスの世界について、その本質的な役割・仕組み・そして富裕層に選ばれる理由を、専門家の視点からわかりやすく解説します。
[ 目次 ]
1. ファミリーオフィスとは?なぜ今、注目されているのか
ファミリーオフィスは、19世紀にロックフェラー家が一家の資産を管理するために設立した組織が起源とされています。その明確な定義と、現代において再び注目されるようになった背景を見ていきましょう。
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1-1. アルケゴス・キャピタルは本当にファミリーオフィスだったのか?
2021年に世界の金融機関を巻き込んだ巨額損失事件を起こしたアルケゴス・キャピタル・マネジメント。当初はヘッジファンドと報じられましたが、後に創設者ビル・ファン氏の個人資産を管理する「ファミリーオフィス」であると伝えられました。
しかし、その実態は、超高リスクな投機的取引を行うアグレッシブな投資スタイルでした。これは、本来のファミリーオフィスが何世代にもわたる資産保全を目的とする「超保守的」な運用スタイルとは真逆のものです。アルケゴス・キャピタルは、その形態こそファミリーオフィスであっても、本質的には全く異なるものだったと言えます。
2. ファミリーオフィスがプライベートバンクより選ばれる理由
プライベートバンクは、もともと富裕層の資産を管理するために誕生しましたが、次第に多くの富裕層から資産を預かる現在の形へと進化しました。しかし、そこで顕在化する「利益相反」という問題が、ファミリーオフィスが選ばれる最大の理由になっています。
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2-1. 家族のために働く「中立性」
英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのルナ・グルックスバーグ氏は、ファミリーオフィスが注目されている理由として、「銀行のためでなく家族のために働く」という点を指摘しています。
プライベートバンクの担当者は、金融機関に雇用されている以上、自社の金融商品を販売することで利益を得るという立場にあります。このため、顧客の利益と銀行の利益が必ずしも一致しない「利益相反」が起こる可能性があります。
一方で、ファミリーオフィスは特定の金融機関に属さないため、完全に中立的な立場からアドバイスを提供できます。この「押し売りがない」という安心感こそが、賢明な資産家がファミリーオフィスを選ぶ理由です。
2-2. 資産保全に特化した「超保守的な管理スタイル」
ファミリーオフィスの運営方針は、決して無理な投資や過度なリスクを取ることではありません。その最大の目的は、資産をいかに守り、確実に次の世代へと継承していくかにあります。実際、ファミリーオフィスは何世代にもわたる資産承継を支えてきた実績を持っています。
このような「超保守的」な運用スタイルは、少数銘柄に集中投資し破綻したアルケゴス・キャピタルのような投機的アプローチとは対極にあります。
市場の先行きが読みにくい現代において、この堅実な資産保全モデルこそが、富裕層から支持され続ける理由なのです。
2-3. 家族の課題を包括的に解決する機能
ファミリーオフィスは、単なる資産運用組織ではありません。以下に示すように、資産に関するあらゆる課題をワンストップで解決する機能を持っています。
- 資産管理: 資産運用、ポートフォリオ戦略の立案・実行。
- 税務・法務: 相続・贈与税対策、法務的リスクの回避。
- 事業承継: 事業の円滑な承継計画の策定。
- 家族ガバナンス: ファミリー・ミッション・ステートメントの策定、次世代教育。

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3. なぜ今、個人の資産管理にファミリーオフィスが選ばれるのか(FAQ)
Q1: ファミリーオフィスの利用が「増えている」というのは本当ですか?
A1: はい。日経新聞の記事にもあるように、正確な数は公表されていませんが、日本の富裕層の間で認知度は確実に高まっています。従来の金融機関への不信感や、複雑化する資産管理ニーズへの対応が難しいと感じる資産家が増えていることが背景にあります。
Q2: どんな人がファミリーオフィスを利用すべきですか?
A2: 資産運用だけでなく、相続、事業承継、不動産など、複数の課題を抱えている方。そして、金融機関の営業ではなく、真に中立的な立場で、家族の未来まで見据えたアドバイスを求めている方には、ファミリーオフィスは最適な選択肢となります。
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まとめ|ファミリーオフィスが持つ「家族のためのパートナーシップ」
ファミリーオフィスが選ばれる最大の秘密は、その「中立性」と「家族のためのパートナーシップ」にあります。
単なる金融商品の販売ではなく、一族の資産を保全し、次世代に継承する「超保守的」な管理スタイルは、多岐にわたる複雑な資産管理課題を抱える経営者にとって、最も信頼できる選択肢です。
ご自身の資産と家族の未来を守るために、一度、中立的な専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
資産運用についてお悩みがあれば、
まずはご相談ください。
私たちファミリーオフィスドットコムは、金融商品・不動産・節税・相続など、あらゆる選択肢の中から、
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