2026年4月22日の東京株式市場では、日経平均株価が一時前日比300円超の上昇を見せ、最高値を更新して心理的節目の6万円に迫る動きを見せました。しかしこの華々しい上昇の裏で、市場の実態は極端な歪みを抱えています。日経平均よりも幅広い銘柄を含む東証株価指数(TOPIX)は小幅に続落し、東証プライム市場全体では約8割もの銘柄が値下がりするという状況となりました。日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は15.9倍(一時16倍に接近)にまで急上昇し、データが遡れる1976年以降で最高を記録するなど、極端な物色の偏りが鮮明になっています。
日経平均を牽引するAI・半導体株の熱狂
現在の日経平均の歴史的な上昇を単独で押し上げていると言っても過言ではないのが、ソフトバンクグループ(SBG)をはじめとするAI・半導体関連株への一極集中です。22日の市場では、SBGの株価上昇率が一時前日比10%を上回り、同社1銘柄だけで日経平均を350〜385円も押し上げました。
背景には、米国のAI・半導体株の歴史的な連騰があります。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が15連騰したほか、SBG傘下の英半導体設計大手アーム・ホールディングスが今月に入って16%上昇し、SBGの保有株式の時価純資産(NAV)を大きく膨らませています。さらに、アームが自社製チップの販売に乗り出すとの発表もSBGの評価を押し上げました。アドバンテストが米アプライドマテリアルズとの提携を発表して上昇したほか、太陽誘電や村田製作所といった電子部品株にも資金が流入するなど、AI関連への物色の裾野は着実に広がっています。
内需・主力株の不振とTOPIX下落の背景
一方で、これまで相場を支えてきた銀行株や自動車株といった主力銘柄群が不振に陥っています。銀行株については、日本銀行が4月27〜28日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置くとの観測が強まり、早期利上げへの期待が後退したことで軒並み下落しました。自動車株も中東情勢の緊張による原油価格の高止まりやインフレへの警戒感が、部品コスト上昇を通じて業績を圧迫するとの懸念からトヨタ自動車やSUBARUが売られています。「AI・半導体関連は買いやすいが、内需や景気敏感株は買いに向かいにくい」という運用者の声が、現在の相場環境を如実に表しています。
今後の注意点と相場の死角
今後の市場において警戒すべき点は大きく3つあります。
第一は、AI・半導体関連株への過度な資金集中の反動リスクです。SBGの株価は25日移動平均線からの上方乖離率が40%に達し、2003年10月以来22年半ぶりの異例の高水準となっています。NT倍率が歴史的な高水準にある現状では、一握りのAI・半導体関連株がひとたび調整に転じれば、日経平均全体が大きく値崩れする脆弱性を孕んでいます。
第二は、マクロ経済と為替・介入リスクです。外国為替市場では1ドル=160円台に再び接近しており、政府・日銀による為替介入が警戒される水準に入っています。しかし投機筋は「介入があれば有利なレートで再び円売りを仕掛ける好機」と捉えており、市場参加者の多くが円安基調は変えられないと冷ややかに見ています。
第三は、本格化する決算発表の行方です。原油高やインフレ、中東情勢の混乱を受けて、日本企業が保守的な業績見通しを発表するのではないかという懸念が渦巻いています。一方で、AI向け半導体需要の伸びが著しい韓国SKハイニックスの好決算などが好感されれば、日経平均をさらに押し上げる力となります。
現在の日経平均最高値更新は、実体経済の全面的な好調さを反映したものではなく、特定のテーマへの局所的な資金集中によって作られた相場と言えます。今後はAI・半導体株の熱狂がどこまで続くかを注視しつつ、極端な銘柄の偏りによる反落リスクに備えたリスク管理の徹底が求められるでしょう。
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