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AI需要で激変する半導体メモリー市場~マイクロン時価総額1兆ドル突破の衝撃

AI需要で激変する半導体メモリー市場~マイクロン時価総額1兆ドル突破の衝撃

AIインフラの構築が急速に進む中、半導体メモリー市場がかつてないほどの活況を呈しています。2026年5月26日には、米メモリー大手のマイクロン・テクノロジーの時価総額が初めて1兆ドル(約159兆円)の大台に乗せました。AI(人工知能)データセンター向けの需要急増により、メモリーの需給逼迫が中長期的に続くとの見方が広がり、マイクロンをはじめとする大手メモリー株に投資家の資金が殺到しています。マイクロンの時価総額は2025年末から3倍強に膨れ上がり、米上場企業の時価総額ランキングで米医薬品大手イーライ・リリーや米小売り大手ウォルマートを超えて10位に急浮上しました。著名なヘッジファンドもマイクロン株を大きく買い増していることが明らかになっています。

マイクロン株急騰を支える収益安定化への期待

マイクロンの株価が指数関数的な上昇を見せる背景には、収益環境の安定化に対する強い期待があります。市場関係者は、メモリー業界において販売価格を事前に設定する長期供給契約が定着しつつあると分析しており、マイクロンは2027年の出荷量の約2割について既に契約を交わしていると推計されています。これにより需要の見通しが立ち、安定した収益環境を確保できると評価されたことで、UBSの目標株価は従来の535ドルから1625ドルへと一気に引き上げられました。さらに、短期記憶用の半導体メモリーであるDRAMの価格上昇は2027年まで続くとの予想も出ています。歴史的にメモリーは、増産と需要の伸び悩みが重なることで需給の逼迫と緩和を繰り返す市況性の強い商品とみられてきましたが、AI関連需要の急増がこの前提を根底から覆しつつあります。

日本のキオクシアもAI追い風で時価総額急拡大

この好調な波は米国企業にとどまらず、日本の半導体企業にも強烈な追い風として波及しています。データの長期記憶をつかさどるNAND型フラッシュメモリーを専業とするキオクシアホールディングスの時価総額は、2026年5月21日に初めて30兆円の大台に乗せました。2024年12月の上場時には約8600億円だった時価総額が、世界的なAI投資の拡大を背景とした年明けからの株価急上昇により、わずか1年半でトヨタ自動車など日本を代表するトップ企業と肩を並べるまでに成長しています。26日終値時点では時価総額が34兆円に達し、日本の上場企業として4位に位置しました。生成AIの用途が、データを読み込ませる「学習」から、一般ユーザーに素早く正確に回答する「推論」へと拡大する中で、素早くデータを読み書きできるNANDの需要が急増しています。特に、米エヌビディアと提携し、読み出し速度を100倍近く高めた新型のソリッド・ステート・ドライブ(SSD)への期待が株価を大きく押し上げました。キオクシアもマイクロンと同様に、メモリー供給で長期契約への移行を進め、収益の安定化を見込んでいます。

韓国勢の躍進とメモリーETFへの資金流入

韓国のメモリー大手であるサムスン電子やSKハイニックスも、このAI需要の恩恵を大きく受けています。サムスン電子はマイクロンよりも一足早く時価総額1兆ドルを突破し、世界のメモリー市場を牽引してきました。韓国の株式市場全体も活況を呈しており、2026年5月26日には総合株価指数(KOSPI)が心理的節目の8000を終値ベースで初めて上回りました。米国とイランの戦闘終結への期待感も後押しし、SKハイニックスやサムスン電子への買いが相場を力強く牽引しています。SKハイニックスは、AI向けに需要が急増している高性能なDRAM「HBM(広帯域メモリー)」を得意とし、2025年12月期の連結営業利益で前期比2倍となる約5兆円を達成するなど、圧倒的な利益水準を誇ります。一方、サムスンやSKがHBMの開発に注力した結果、次世代NANDの開発ではキオクシアに出遅れる形となりました。キオクシアはNAND専業の強みを生かして技術優位を確保しており、韓国2強に届かない現在のシェア14%からいかに躍進できるかが今後の成長の鍵を握ります。

メモリーETFの急成長と急騰の裏に潜むリスク

このような半導体メモリー企業の急成長を背景に、関連銘柄に特化した金融商品も絶大な人気を集めています。米国市場で2026年4月に上場したラウンドヒル・メモリーETF(ティッカー:DRAM)」は、上場から約2週間で運用資産残高が10億ドルを突破し、直近1カ月間で74億ドルもの資金が流入するなど、驚異的なペースで規模を拡大しています。このETFは、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社で全体の7割強を占めます。世界のメモリー市場規模は2026年に6332億ドル(約100兆円)と前年の3倍弱に急拡大すると予測されており、成長期待は極めて高い状況です。ただし、NANDはスマートフォンやパソコンにも広く使われ、伝統的に激しい価格変動を繰り返してきた歴史があり、市況の急変が業績に直結する懸念があります。また、キオクシアなどの業績は、AI半導体の事実上の標準を握るエヌビディアの動向に大きく左右される側面もあり、競合技術の採用次第では現在の期待感がしぼむ恐れもあります。

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