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米雇用統計ショックで日経平均急落、一時3100円超安――AI・半導体株に利益確定売り、世界同時株安の連鎖

米雇用統計ショックで日経平均急落、一時3100円超安――AI・半導体株に利益確定売り、世界同時株安の連鎖

2026年6月8日の東京株式市場は、前週末の米国市場での急落を引き継ぎ、全面安の展開となりました。日経平均株価の終値は前週末比2563円(3.85%)安の6万4024円と大幅な続落となり、取引時間中の下げ幅は一時3100円を超え、2026年に入ってから最大の下落幅を記録する場面もありました。相場上昇を牽引してきたAIや半導体関連銘柄を中心に利益確定売りが殺到し、AIブームに沸いていた市場に冷や水を浴びせる結果となっています。

米雇用統計のサプライズが利上げ観測を再燃

今回の急落の引き金となったのは、前週末5日に発表された5月の米雇用統計です。非農業部門の新規就業者数は前月比17万2000人増と、市場予想(8万〜11万人増)を大幅に上回り、米労働市場の堅調さが改めて浮き彫りとなりました。

この結果を受け、FRBの金融政策に対する見通しは一変しました。これまで市場では2025年後半の利下げを織り込む動きが続いていましたが、次の一手は「利上げ」との観測が一気に強まっています。米金利先物市場から政策金利を予想する「フェドウオッチ」によれば、5日夕方時点で年末までにFRBが利上げを実施する確率は8割を超え、前日の5割程度から急上昇しました。この利上げ観測の高まりを受け、同日の米長期金利は一時4.55%と2週間ぶりの高水準まで上昇しています。

グロース株の投資妙味低下、AI・半導体株が総崩れ

金利上昇は株式相場全般の重荷となりますが、とりわけ高PERのグロース株には強い逆風となります。株式益回りが低いグロース株は、国債など安全資産の金利が上昇すると相対的な投資妙味が低下し、売られやすくなるためです。

その影響は米国市場にも如実に表れ、5日のダウ工業株30種平均は前日比695ドル安に反落しました。さらに主要ハイテク株・半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は10.2%安と、コロナ禍の2020年3月以来最大の1日下落率を記録しています。

この流れは週明け8日の東京市場を直撃しました。ソフトバンクグループやキオクシアホールディングスは一時10%超の下落となり、東京エレクトロンが8%強、アドバンテストが7%強下落するなど主力ハイテク銘柄が総崩れとなっています。加えて、米利上げ観測や中東情勢の悪化による業績懸念から景気敏感株も売られ、トヨタ自動車は約1カ月ぶりに年初来安値を更新しました。

アジア各国へ波及、韓国ではサーキットブレーカーが発動

株安の連鎖は日本にとどまらず、アジア各国へと波及し、世界同時株安の様相を呈しました。とりわけ大きな打撃を受けたのが韓国市場です。韓国総合株価指数(KOSPI)は一時前週末比8.7%安という暴落となり、取引を一時中断するサーキットブレーカーが発動される事態となりました。サムスン電子やSKハイニックスなど半導体銘柄への投資集中が顕著な韓国市場では、AIトレードの巻き戻しが特に大きなパニック売りを招いたと指摘されています。台湾市場でも加権指数が3日続落し、TSMCなど主要半導体関連株が売り込まれました。

為替・債券市場:円は160円台、国内金利も上昇

為替相場では日米の金利差拡大が意識され、円売り・ドル買いが進んでいます。5日のニューヨーク市場で一時1ドル=160円34銭を付けた後、週明け8日午前の東京市場でも160円台前半での推移が続きました。日本政府・日銀による為替介入への警戒感や、株安を受けたリスク回避の円買いが下値を支える場面もありましたが、全体としてはドル買い優勢の展開となっています。国内の長期金利(新発10年物国債利回り)も2.715%まで上昇し、10年物期待インフレ率(BEI)は2.2%台に達しています。

今後の注視すべきリスク要因

日経平均は年初からすでに3割上昇し、200日移動平均線からの上方乖離率が27%に達するなど過熱感が指摘されていました。市場関係者の間では、AI市場の将来性は依然高く足元の動きはスピード調整の範囲内との見方がある一方、「しばらくは二度、三度の株安発生に警戒しておくのが自然」との慎重な声も根強くなっています。

特に懸念されているのが、円高進行と株価下落の負の連鎖です。海外投資家が日本株買いとともに構築していた円売りのヘッジポジションが、株安の本格化によって一気に巻き戻される可能性があり、2024年夏の「令和のブラックマンデー」の再来を危惧する声も出ています。

今週は10日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表、12日には約12兆円規模の資金を吸収するとみられる米スペースXのIPOが予定されています。さらに16〜17日にはFOMCが開催され、ウォーシュ新FRB議長の発言にも注目が集まります。一時は目前に迫っていた「日経平均7万円」の壁は高くなり、市場は米国のインフレ動向や大型IPOがもたらす需給変化を睨みながら、神経質な展開が続きそうです。

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