渋谷:本日は、海外ビザのエキスパートである足利さんに、ビザのお話を伺います。よろしくお願いします。
足利:よろしくお願いいたします。
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渋谷:自分には関係ないと思っている方も多いですが、コロナ禍でもビザ取得者は意外と増えています。ビザとはどういうものか、お話を聞かせていただけますか?
足利:日本の方たちは、旅行に行くときもほとんどビザを取得しませんが、身近なところでは、アメリカに行くときにはESTAを取らなくてはなりません。これは、3カ月以内の滞在でも必要になります。
オーストラリアが始めたETAを初め、少しの滞在でもビザが必要になっているのが現状です。3カ月を超えたプチ移住や、コロナを機会としたワ―ケーション、リモートワークには必ずビザが必要となります。そういったことを踏まえ、今後のライフプランのためにも、ビザを知識の上でも知っていただければと思います。
渋谷:コロナになって、リモートワークが日本でもかなり浸透しています。リモートワークを使いながら、海外に拠点を作って仕事をしている方はいらっしゃいますか?
足利:海外の人と比べると、日本の人たちはなかなかコンサバティブです。口では言っているものの、実行していないのが現状です。やっているのは、沖縄、ニセコ、軽井沢。特に軽井沢が混んでいます。
アメリカ人は、ハワイに殺到しています。海外ではこのような動きがありますから、コロナが明けたら、すぐにでもそのような生活が可能になるかと思います。
渋谷:仕事の一線を離れた方、仕事を任せている方なども、世の中にはいらっしゃいます。そういう方の移住も増えているのですか?
足利:特にオーストラリアは、時差がないことが最大の魅力です。企業オーナーは、オーストラリアにいながら仕事ができます。
ハワイでも、日本の午前9時は、ハワイの午前2時。午前中に頑張れば、日本の仕事を全部カバーできます。効率よく仕事を進められるでしょう。
渋谷:紹介が遅れましたが、足利さんは、元々オーストラリアのビザをされていたのですよね?
足利:そうです。今はAOM Visa Consultingという会社を経営していますが、元々のキャリアは在日オーストラリア大使館の審査官として、皆さんのビザを審査していました。
渋谷:ビザの審査は、日本では海外の人ではなく、自国の人が行うイメージがあります。よく映画で見るのは、FRBの審査が非常に厳しく、誰でもは入れない姿です。そんなことはないのですか?
足利:国によって異なります。例えば、アメリカや日本では、外国人に権限がありません。アメリカ大使館にビザセクションがあり、日本人も勤めているのに、です。
しかし、私が勤めていたオーストラリア政府はある意味寛大で、日本の人たちでもトレーニングを受けることで、全ての審査権限を持てました。ですから、インタビューをしてビザを出すか出さないかを決め、なおかつ発行したレターに名前も書きます。
一番大変なのは、ビザを出せなかったときにも名前を書かなくてはならないこと。そういう辛い仕事もしていました。
審査官のポイントを長い間経験していましたので、それをベースに、私は今、申請をお手伝いをするという、ちょうど反対側の仕事をしています。
アメリカ大使館の方や、米国弁護士の方に私の職務経験をお話しすると、彼らでもかなりびっくりします。そこはオーストラリア政府独特です。
渋谷:皆さんになじみの深い裁判の世界では、元裁判官、元検察の人が弁護士になる。それと同じで、元審査官は審査官の考えていることが分かると思っていいですか?
足利:まさにそうだと思います。こういうときはこう考えるとか。極端な話、大使館もそうですが、私たちはビジネスマンではありません。皆さんが思っている以上に、公務員的なメンタリティでお仕事をしているかもしれません。ビジネスにすごく長けているかといえば、そうでもなかったりします。分かりやすい資料を作ることが、かなりキーポイントになると思います。
渋谷:今、こういった時代でインターネットだとか、いろいろな書籍も含め、申請の方法が出ています。それを見よう見まねでやるのと、相手の出方、審査のコツが分かっているのでは違うものですか?
足利:もちろん違います。移民法には、移民法のポイントがあるわけです。お手紙一つ書くにしても、審査官からすれば書いてほしいことがあります。そこをどう訴えていくかのコツは、法律を読んで、レターを書く立場でないと難しいです。そこを踏まえ、ビザが許可できるという形になります。そこは、弁護士と似ています。
渋谷:『お手紙』とは、僕らがイメージするお手紙ですか? 拝啓とか。
足利:違います。サポートレター、推薦状と言った方がいいかもしれません。なぜ、この人がビザを取るに値するかを書くものです。
渋谷:てっきり、思いを込めるのかと思いました。
足利:違う意味でそういうところもあります。どうしてもオーストラリアに行きたいとか、どうしてもこの仕事をする必要があるなど。これはビザのクラスにもよりますが。
渋谷:受験で小論文があったとき、みんな思いは当然持っていますが、その伝え方一つで全然結果が変わりました。それと同じく、オーストラリア、アメリカに移住したいという思いは一緒でも、書類や伝え方が違えば、結果が変わってしまう。まさにそんな感じですよね。
足利:本当にそうです。国によって若干アプローチが違ったりもするので、各国のImmigration lawyer(移民弁護士)と連携することで、日本の方たちをお手伝いしています。
渋谷:最近はワ―ケーションも含め、かなりビザを取る方が増えている。一方、思いを伝えるとか、そういったところはきっちりやらないと、取るのもそこまで簡単ではない。そんな感じですか?
足利:日本の方たちは、移民法に触れる機会がなかなか少ないと思います。その中でもテクニックはありますから、それをお手伝いするのが私たちの仕事です。
渋谷:一般的には、私には関係ない、遠い世界の話だと思っている方も結構いるかと思います。しかし、そんなに遠い話ではないのですか?
足利:コロナの影響で、ますます自国を守るように海外でもなってきていると思います。裏返すと、来て欲しい人たちだけに来てくださいというアプローチになるでしょう。
その中で、今まではビザが必要なかったものの必要になる可能性があります。日本の方はそこまで動きが早くないものの、コロナで、特に富裕層の人たちは、今のうちに安全な場所を確保しようと、投資家ビザをどんどん他の国に申請しています。
渋谷:ビザはそんなに遠い話ではないこと。取るときにはそれなりのテクニックが必要なこと。取る人が最近増えていることをお聞きしました。次回以降は具体的に、国ごとにどういう話があるのかお伺いしたいと思います。次回も、よろしくお願いいたします。
足利:ありがとうございました。
渋谷:ありがとうございました。
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