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【ロボットテクノロジー関連株ファンド】ロボテック革命でファンドは大きく飛躍できるか。ロボテック・テーマ型ファンドを分析【投資信託マラソン】

【ロボットテクノロジー関連株ファンド】ロボテック革命でファンドは大きく飛躍できるか。ロボテック・テーマ型ファンドを分析【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、ロボットテクノロジー関連株ファンドの分析を行います。ロボテック革命で躍進を遂げる企業に焦点を当てたテーマ株ファンドが、どのような実績で、今後どのような可能性を秘めているのかを分析したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

当記事は情報提供を目的としています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資の判断は、ご自身でいただきますようお願いいたします。また、投資信託の抽出はランダムに行っており、中立的な立場で分析をお伝えするよう心がけています。運用会社や販売会社との間に業務提携は一切ございませんので、中立な立場で分析をお伝えしたいと思います。

投資信託概要

概要

まずは概要です。ロボットテクノロジー関連株ファンドは、日本を含む世界のロボット関連企業の株式に投資するテーマ型ファンドです。テーマ型ファンドは、特定のテーマに焦点を当てて運用されるため、非常に特化した運用が行われます。現在日本では8銘柄、海外では40銘柄が対象となっており、合計50未満の銘柄が選定されています。

運営会社は大和アセットマネジメントで、国際株式です。信託報酬は1.82%ですが、純資産総額は2500億円という非常に大きく、ロボットテクノロジーに対する皆さんの関心が高いことが伺えます。

ファンドは「作る」「運ぶ」「助ける・守る」という3つのテーマに着目し、ロボット関連産業の企業に投資を行っています。

今回のチェックポイント

これらの概要を踏まえて、社会の評判やイメージ、チェックすべきポイントについて見ていきたいと思います。テーマ型ファンドが本当に良い運用かどうかを確認しつつ、スタイルリスクについても触れたいと思います。

ロボット技術に関連するテーマに絞っているというのは、裏を返せばスタイルを変えられないことにもつながります。そこで、関連セクターが不振になった場合、問題ないかを確認します。また、銘柄が少ないためボラティリティが高いのではないか。長期的な資産形成に向いているか、NISAの成長枠投資を利用する場合、長期的な資産形成に向いているかも、併せて確認したいと思います。

まずはパフォーマンスです。5年では、4.4%のカテゴリー平均に対してプラスのパフォーマンスを記録していますが、3年ではマイナス、1年では8%のプラスという結果です。この時点でリターンにむらがあることが確認できます。リスクについても、標準偏差が22.4に対してカテゴリー平均18.64ですから、非常にリスクの高いポジションを取り、リターンを求めていることがわかります。

投資信託の投資戦略

次に投資戦略です。「作る」「運ぶ」「守る」の分野で飛躍できるロボットテクノロジーを持った企業へ投資しています。先進国を含め、2100年に向けて高齢化が進行し、65歳以上の人口が顕著に増加していく世の中になると考えられます。

また、新興国では賃金の上昇が見られています。高齢化が進む中で、海外の労働力に頼ることとなりますが、賃金は上昇するでしょう。そうなれば高齢化、賃金の上昇を補うのはロボット産業でしょう。これは確実に来る未来だと思います。

ロボット産業の市場予測については様々ありますから、確実な数字を提示することはできませんが、今後増えることは自明です。市場規模が6倍程度となることを考えれば、ロボットテクノロジーにからむ企業は間違いなく伸びていきます。

ロボットが必要とされる世の中での「作る」「運ぶ」「助ける」とは、具体的にどのような分野なのでしょうか。「作る」とは、ものを作る場所における産業用ロボットに関わる企業です。「運ぶ」とは、人件費の高騰、高齢化の中で代替される電車、自動車の運転補助です。「助ける」とは、健康・災害支援において活躍できるロボットテクノロジーです。これらの分野に強みを持つ企業に対する定性的な分析を通じて、投資を行っています。

テーマとしては明確なスケールを持っていますが、実際のパフォーマンスや運用はどうでしょうか。

パフォーマンス

パフォーマンス

これまでは優れたファンドのパフォーマンスを残しています。ピンクはファンドの手数料を引いた後のパフォーマンス、青は円換算での世界株となっています。テクノロジー関連銘柄は、コロナ以降に大きく上昇しました。

また、アメリカの利上げ打ち止め期待から、テクノロジーのような成長産業への資金シフトが起こり、2023年1月以降にも株価は反発しました。

上昇局面、下落局面を見ると、非常に差があることが気になります。そこで、より詳しくパフォーマンスを確認してみましょう。

結論としては、パフォーマンスは可もなく不可もなくです。世界株平均円ベースに対して勝っている期間もあれば、負けている期間もあります。5年間の比較では、世界株の円建てを上回っていますが、3年間の比較で見ると、世界株に劣っているだけでなく、日本株ともあまり差がありません。

3年間でのパフォーマンスは30%劣り、5年間で20%を上回るというデータは、長期で見れば優れていると言えるかもしれませんが、ボラティリティが高いことを意味しており、市場の影響を受けやすいことを示しています。短期的にはパフォーマンスを上げる可能性がありますが、長期的には荷が重い可能性があります。

業種別で見ると半導体が最も多く25%を占めており、その後に資本財、ヘルスケアなどが続いています。個別銘柄においては、大型株から中小型株まで幅広く含まれており、アマゾンやキーエンスなどの大型株だけでなく、シリコン・ラボラトリーなズどの中小型株もポートフォリオに取り入れられています。このような多様な戦略はいいと思いますが、ボラティリティが気になるところです。

資金流出入

資金の流出入についてです。資金の流出が続いている理由は、ボラティリティが高いためではないかと思われます。

投資の検討ポイント

投資ポイント

市場並みのファンドという印象です。標準偏差はグローバル株式ファンドの平均16に対して21と高く、グローバルに分散した株式と比べても非常にリスクが高くなっています。

リスクに対するリターンを表すシャープレシオは平均0.87に対して0.4と半分になっており、かなり低い状態です。全体が上昇する局面ではインデックスより上昇が高いですが、下落時には下落幅も下落率も大きくなっています。

テーマ型ファンドにありがちなパフォーマンスであり、リスクが高いため、長期投資にはあまり向いていません。

テーマを絞ったファンドは、業種やメーカーに偏りが出やすく影響が大きく出るため、スタイルリスクが気になるところです。

テーマ型ファンドの宿命を背負いつつも、いい点もあります。テーマを絞った投資対象の中から、個別銘柄の分析を行い、しっかりと入れ替えを行っています。ロボティクスに関連するスタイルリスクを背負っているものの、それを最小化する工夫が見られます。例えば、溶接などの自動化ソリューションを提供する米国リンカーン・エレクトリック・ホールディングスや、半導体を提供しているアプライド・マテリアルズなどを新規に組み入れる努力をしています。一方で、コグネックスを売却するなど、限られた銘柄の中でもしっかりと入れ替えを行っています。

直近では、テスラの一部を売却しています。決算発表にて、金利上昇がEV販売の逆風になるとの見解が示されたこと、11月末に発表されたサイバートラックの生産が難航し、収益化まで時間がかかることを受けて、減らす判断をしています。アクティブファンドとしての動きがしっかりとできていると言えます。

このような投資判断や行動がパフォーマンスを向上させる可能性は十分にありますが、トータルで考えると業種に偏りが出てしまうファンドです。今後半導体需要が減速したり、景気後退局面が出てきたりすると、下落幅は株式全体、例えばS&P 500に比べて大きくマイナスになる可能性があることは、十分に理解しておく必要があります。

評価

これを受けた評価は2.5となります。テーマ型ファンドのスタイルリスクが、ここ3年間で顕著になっています。テーマ型ファンドは、特定のテーマにこだわる必要があり、スタイルを変えることが難しいです。さまざまな銘柄の入れ替えを行っていることはわかります。

しかし、長期にわたって資産を預けることを考えると、パフォーマンスが読みにくいところがあり、コアアセットに入れるにはあまり向いていません。

サテライト運用で少し欲張った運用を考えている場合には、組み入れる対象として選択肢として残るかもしれませんが、経験が少ない方やサテライト運用を考えていない方には不適なファンドという評価になりました。

本日は、今後の世の中に不可欠なロボティクスに特化したファンドをご紹介しました。

過去のパフォーマンスを見ると、パフォーマンス自体は良好ですが、いい時と悪い時の評価が大きく分かれるファンドです。そのため、ボラティリティが高いファンドと言えます。

今後のマーケットの動きを考慮すると、変動幅が大きいことが気になる方にとっては、ここまでのリスクは取らなくてもいいと感じるかもしれません。状況を踏まえ、他のファンドと比較した上で検討が必要なファンドと言えるでしょう。

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