本日分析する投資信託は、ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンドというバランスファンドです。リスクプレミアムに着目して運用しており、現在、高いリターンを実現しています。どのような投資戦略でリターンが実現できているのか、これからも同様のリターンが期待できるかどうかを検討します。ぜひ最後までご覧ください。
お知らせ
初めにお願いです。この記事は情報提供を目的として作成しています。投資の勧誘や売買の推奨は目的としていません。取り上げている投資信託はランダムに抽出しています。運用会社、販売会社との間に業務提携は一切なく、中立的な立場でお伝えしています。
投資信託概要
概要
ピクテ・ゴールデンリスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)は、ピクテ・ジャパンが運用しています。運用スタイルはバランスファンドで、NISA成長枠での投資が可能です。信託報酬は1.79%、純資産総額は533億円です。これから資産が増加していきそうな印象です。
取り上げた理由は、世界株式、債券、金への分散投資を行うバランス型ファンドであるためです。ここ最近、日本でも新NISAがスタートし、バランスファンドを資産運用に上手に取り入れたいという方が増えているようです。以前よりもバランスファンドに注目する方が増えているため、今回、取り上げました。
このファンドの資産配分比率は、相場環境に応じて機動的に変更しています。バランスファンドによってはある程度、比率が決まっており、上下幅は数%程度内にコントロールされていますが、かなり大胆に資産配分を変えることが目論見書で確認できます。
実際の運用を見ると、現在は、多くの部分が株式と金で構成されています。多くのバランスファンドは、株式と債券ですが、このファンドは株式と金で構成されており、合計で8割以上を占めています。残りは債券やキャッシュであり、金の比率が4割程度と高いことが1番の特徴です。このような構成がパフォーマンスにどのように影響を与えているのか、非常に興味深いです。
ピクテが運用するアクティブファンドを通じて各アセットに投資をする、ファンド・オブ・ファンズ方式で運用されています。アクティファンドをファンド・オブ・ファンズで運用するこのファンドが、どのようなパフォーマンスを残しているのでしょうか。
チェックポイント
チェックポイントです。アクティブファンドのファンド・オブ・ファンズがコストに負けることなく、高いリターンを実現できているかに注目です。
運用期間はまだまだ短いですが、今後長期的に安定して預けられるファンドかを分析したいと思います。
過去のパフォーマンスを見ると、カテゴリーに対して大きく上回るパフォーマンスを残しています。リスクは同カテゴリーに比べるとやや多めにリスクを取っている印象ですが、リターンと比べると、リスクが少ない印象です。運用効率はどうか、分析したいと思います。
投資戦略
ファンド名にもある通り、リスクプレミアムを投資基準として持っています。世界の市場環境に応じて、魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選び、配分を決めています。
具体的には、低金利の局面と高金利の局面の2つのケースがあります。低金利の状況では、株式や金、リートなどでリスクプレミアムが期待できます。
一方で、金利が高い状況では、金利が上昇する過程で債券の魅力が増すため、債券に多めに配分しています。金利の局面、経済環境を踏まえて割合を柔軟に変更する戦略となります。
銘柄戦略
具体的な投資先は、ピクテが運用するアクティブファンドです。株式では、世界株式、新興国高配当株式、世界高配当公益株式の3つのファンドに分かれており、債券では世界ESG関連社債、米ドル建て新興国債券、先進国ソブリン債のファンドに分かれています。ただ、先進国のソブリン債は現在投資していません。この選択を見ても市況を見極めたアクティブファンドらしい感じが伝わってきます。
直近の具体的な投資行動としては、主に株式の組み入れ比率を上げ、金の組み入れ比率を少し下げています。
株式部門では、新興国高配当株式と世界株式の組入比率を上げていますが、債券部分では、世界ESG関連社債の組入比率を下げています。ここから見てもわかる通り、アクティブに配分を変更しています。
世界的な金利上昇の影響から、先進国のソブリン債は組入比率が0となっています。今のように金利上昇が続く中では、債券保有すべきタイミングではないと判断していることがわかります。
資産の多くが外貨建てであるため、為替リスクは大きくなりがちですから、状況に応じて為替ヘッジを機動的に行っています。外貨資産が多くなるため、円高警戒局面においてはヘッジを行うそうです。
株式の割合が当初は30%でしたが、最近では40%近くまで上昇しています。金利上昇が予想されるため、債券割合を減らしつつ、金のポジションを一定数保持していることが分かります。
具体的には株式が42%、債券が9.8%、金が44%となっています。金多め、債券少なめというスタンスがどのような影響を与えるのか、確認したいと思います。
ファンド・パフォーマンス
パフォーマンス
パフォーマンスです。バランス型ファンドとしてリスクを抑えた運用が実現できており、リターンもしっかりと上がっています。設定されてから4年しか経過していませんが、リターンは年13%程度、リスクは8%前後となっています。
値動きを見る限り、バランス型ファンドの中では比較的リスクを取った運用ですが、ファンドの効率性を表すシャープレシオは1.4と、取っているリスク以上にリターンが残せている、かなり効率的で良い運用ができていることがわかります。
ファンドのチャートを見ても、株式指数より値動きを抑えつつ、株式の値上がり局面でしっかりと値上がりが取れていることが分かります。
3年と設定来のパフォーマンス比較をご覧ください。当然ながら世界株の青いチャートの方が良いパフォーマンスですが、バランスファンドの特徴として、世界株がボラタイルな動きをする際にも安定的に価格が上昇することです。このファンドは、バランスファンドに望まれる安定性と、アクティブファンドに求められるプラスアルファの高いリターンが両立できていることがわかりました。
今後ですが、下落相場でどのような実績を残していくかに注目です。設定から4年と、長期的な運用実績データはまだありませんが、設定来の動きを見る限り、バランス型ファンドの中でもかなり優秀なファンドだと言えるでしょう。
ファンドのリターン、リスク、シャープレシオはどれもいい数字を安定して出せていますから、資産運用におけるコア資産の一部として長期的に保有できるファンドではないかと思います。
欲を言えば、大幅な相場下落が発生したときの資産配分比率をどのように変動させるのか、その実績がわからないため、今後仮に株が大きく下がる局面において、速やかに金、債券のポジションが増やせるか注目です。
実質金利が大きく上昇して金価格に向かい風になったとき、金の割合が大きく減らせるかは、長期的に観察することで見えてきます。今後、各アセットが大きく変動する局面になったとき、どう投資判断している見れば、ファンドの実力がより明らかになるでしょう。
資金流出入
資金の流入がここ最近多くなってきています。リスクをコントロールしながら、高いリターンを実現していることに対して投資家が期待していることがわかります。
評価
評価は4です。金と債券の割合が絶妙で、金を40%という配分は他のファンドではあまり見かけません。バランスファンドは債券割合を多くする傾向がありますが、今のように金利が不安定で、まだ上昇しそうな局面では絶妙な配分です。
リスクをコントロールしつつ、高いリターンを実現しているいいファンドだということで、4つ星としました。本来は、4.5以上の評価となる可能性もありましたが、実績が4年間ということで、これからの下落局面において、どのような運用がなされるかを見てみないと不透明な部分があるということを割り引いての評価で4とさせていただきました。
本日はバランスファンドを取り上げました。バランスファンドは株式、債券中心に大きく割合が取られがちですが、このファンドは株式と金で80%近いという特徴を持っています。この特徴からするとボラティリティが高くなるように思えましたが、市況を見極めつつリバランスでリスクをよくコントロールできており、プラスアルファのリターンも高いファンドです。
他のバランスファンドと比較しながら前向きに検討していだだけるファンドです。