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日経平均7万円到達とグロース250安値更新―日本株市場で鮮明化する「光と影」

日経平均7万円到達とグロース250安値更新―日本株市場で鮮明化する「光と影」

2026年6月の東京株式市場では、極めて対照的な二つの動きが市場関係者の注目を集めています。一つは、日経平均株価が史上最速のペースで上昇し、初めて7万円の大台を突破したという歴史的な出来事です。もう一つは、新興企業の値動きを示す「東証グロース市場250指数」が5カ月ぶりの安値を更新したことです。日本株市場全体を見渡すと、人工知能(AI)や半導体関連の大型株に資金が集中する一方、中小型の新興株からは資金が流出するという極端な「二極化」が進行していることが浮き彫りになっています。本記事では、これら二つの指数の動向を比較し、現在の株式市場の背景にある要因と今後の展望を紐解きます。

出所:Trading view(赤チャート:日経平均、青チャート: 東証グロース市場250指数、共に年初来)

史上最速で7万円を駆け上がった日経平均株価

日経平均株価は2026年6月18日、前日比1151円高の7万1053円で終値を迎え、史上最高値を更新しました。4月27日に6万円に達してからわずか2カ月弱という、かつてない史上最速のペースでの大台替わりとなりました。この急騰劇は市場のプロの予想をも大きく上回るものであり、大手証券各社は2026年末の日経平均の予想を7万5000円から8万円へと相次いで上方修正しています。

株高の最大の原動力となっているのは、AI需要の急成長に裏付けられた堅調な企業業績です。さらに、米国とイランの戦闘終結に向けた合意が確認されたことで、世界中の「リスクオンマネー」が一気に日本株へと押し寄せています。かつてのバブル期(PER62倍)やITバブル期(PER130倍超)とは異なり、足元の日経平均のPER(株価収益率)は18倍前後にとどまっており、利益成長が株高を主導している点も大きな特徴です。市場関係者からは「誰もがAIを使いたい需要があり、設備投資が無駄にならない安心感がある」との声も聞かれます。

恩恵の偏りと「日本版M7」への資金集中

しかし、この歴史的な株高は日本企業全体に恩恵をもたらしているわけではありません。東証プライム市場の時価総額は2026年初頭から218兆円増加しましたが、その増加幅の半分にあたる110兆円は、「日本版マグニフィセント7(M7)」と呼ばれる7社(キオクシア、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、村田製作所、アドバンテスト、日立製作所、信越化学工業)によって占められています。

海外投資家からの資金はAIの供給網に関連する半導体装置やメモリー関連企業に集中しており、市場の物色は一部の銘柄に極端に偏っています。たとえばキオクシアの純利益は前期比で4兆円超増える見通しであり、同社1社で東証プライム3月期企業の増益幅の6割に相当するとされています。その一方で、日経平均構成銘柄の3割以上は昨年末よりも値下がりしており、AIの台頭で優位性が揺らぐ懸念のある銘柄や、物価高に直面する消費関連銘柄などが下落しています。株高の恩恵は一部の大型株に偏在しているのが実態です。

逆風に晒され安値に沈むグロース市場

大型株が活況を呈する裏で、新興株市場は厳しい冷え込みに見舞われています。新興企業の主要250銘柄で構成される「東証グロース市場250指数」は、2026年6月19日に前日比20.73ポイント安の695.08となり、2026年1月以来となる5カ月ぶりの安値をつけました。構成銘柄の約7割が下落し、連日最高値を更新する日経平均株価とは全く対照的な値動きとなっています。2026年5月にはドローンや宇宙関連株への買いが集まり3年ぶりの高値をつける局面もありましたが、そこから一転して厳しく売り込まれる展開となっています。

この背景にある最大の要因は、投資家の関心と資金がAIや半導体を中心とした大型株に集中し、新興株への資金流入が細っていることです。内需関連が多く、インフレ懸念の影響を受けやすい中小型株は相対的に買われにくい環境にあります。また、日本国内における長期金利の上昇も大きな重荷となっています。グロース株は現在の利益水準に対して株価が割高に買われていることが多いため、金利が上昇する局面では相対的な投資妙味が低下し、株価の逆風となりやすい傾向があります。

さらに、個別銘柄の動向も市場心理を冷やしました。注目を集めていた配車アプリ大手「GO」の新規株式公開(IPO)では公開価格を割り込む結果となり、蓄電池関連の主力銘柄が11%安となるなど、個別銘柄の大幅下落も相次ぎました。主力の宇宙関連銘柄も低調で、政府による宇宙分野への強化策(骨太の方針)の策定が7月にずれ込んだことも足踏みの一因と指摘されています。

今後の展望と潜むリスク

日経平均の躍進とグロース市場の苦戦という構図は、今後の株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。

現在の日経平均については、短期的な過熱感が強く警戒されています。長期トレンドを示す200日移動平均からの上方乖離率は32.99%に達しており、「買われすぎ」の目安とされる20%を大きく上回っています。また、相場を牽引するAI関連企業に対して「設備投資が過剰だった」との認識が広がれば、相場が大きく崩れ、指数連動型の投資信託を通じて市場全体に波及するリスクも孕んでいます。日銀による追加利上げへの警戒感や、米国におけるAIサービスへの政治介入・規制リスクも無視できない要素です。

一方、株式市場の二極化は企業間格差の拡大をも意味します。AI関連企業は株高を背景に有利な資金調達が可能となる一方、非AI企業は十分な機会を得られず、成長の格差がさらに開く可能性があります。ただし、過熱する大型株の反動として、今後は出遅れている銘柄への資金循環が期待される側面もあります。中堅企業が集まる東証スタンダード市場にはPER14倍・PBR1.1倍という割安な水準で放置されている銘柄が多数あり、投資家の新たな資金の向かい先として注目を集める可能性が残されています。

7万円を超えて未知の領域へと踏み出した日経平均株価と、資金流出や金利上昇の逆風を受けて安値を更新した東証グロース市場250指数。このコントラストは、AIという巨大なテーマの恩恵を受ける少数の企業群と、そこから取り残された多数の企業群という日本市場の極端な現状を如実に物語っています。

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