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原油高で米10年債利回り5.22%、日本は3.115%に 金利急騰でも日経平均が5日続伸した理由

原油高で米10年債利回り5.22%、日本は3.115%に 金利急騰でも日経平均が5日続伸した理由

中東情勢の長期化に伴う原油高と、根強いインフレ懸念を背景に、主要国の長期金利が相次いで歴史的な水準まで上昇しています。米国の10年物国債利回りは約19年ぶりとなる5.2%台に達し、日本の長期金利も約30年ぶりの3.115%をつけました。外国為替市場では1ドル=159円台まで円安が進み、政府・日銀による単独介入の限界を指摘する声も出ています。一方で、日経平均株価は6万6000円台に乗せて5日続伸となり、金利高をはねのける底堅さを見せました。本記事では、世界的な金利急騰の背景と、日本市場における株高・円安の構図を整理します。

原油高がインフレ懸念を強め、米欧の長期金利が急上昇

世界的な金利上昇の主な要因は、中東情勢の混迷による原油高と、インフレ長期化への警戒感です。イラン情勢を巡る緊張緩和が見込みにくく、戦線拡大の懸念も伝えられるなか、24日の米原油指標であるWTI先物期近物は前日比5%高となり、一時1バレル96ドル台まで急騰しました。終値ベースでも94ドル台と高い水準を保っています。さらに、2027年受け渡しの期先物も76ドル台まで上昇しており、市場はエネルギー高の長期化を織り込み始めています。

こうした原油高を受け、主要国の中央銀行による金融引き締めが長期化するとの観測が強まりました。米連邦準備理事会(FRB)では、複数の高官から追加利上げを示唆するタカ派的な発言が相次ぎ、市場が織り込む10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ確率は約7割に達しています。これを受けて米10年物国債利回りは一時5.22%と2007年6月以来の高水準をつけ、30年債利回りも5.50%と2004年6月以来の水準まで上昇しました。

欧州でもフランスの10年物国債利回りが約18年ぶりとなる4.7%台に達するなど、欧米の金利上昇が世界の金融市場全体に売り圧力を広げています。経済協力開発機構(OECD)もG20の物価上昇率見通しを上方修正しており、インフレ抑制に向けた世界的な金利上昇圧力は根強い状況が続いています。OECDは2026年のG20の物価上昇率を4.1%、2027年を3.6%と見込んでいます。

日本の長期金利は約30年ぶり水準に、円安進行で介入の限界論も

欧米の債券安と原油高の影響は、日本の債券市場や外国為替市場にも及んでいます。25日の国内債券市場では、指標となる新発10年物国債の利回りが前日比0.040ポイント高い3.115%まで上昇し、1996年8月以来約30年ぶりの高水準を更新しました。新発5年債は2.405%、30年債は4.210%とそれぞれ高水準を更新し、新発2年債も1.920%と1995年4月以来の水準をつけるなど、全年限で債券売りが広がりました。背景には、原油高による物価上昇への懸念に加え、日銀の早期利上げ観測や財政拡張への警戒感があります。

外国為替市場では、日米金利差の縮小が見込みにくいとの思惑からドル買い・円売りが優勢となり、円相場は一時1ドル=159円台前半まで下落しました。原油高による日本の貿易収支悪化への懸念も、円安圧力を強める要因となっています。過去にレートチェックが実施される前の水準を下回ったことで、心理的な節目である160円を前に、政府・日銀による為替介入の効果を疑問視する声も広がっています。市場では、単独介入による円の押し上げ効果は一時的なものにとどまり、米国の利上げ見通しの後退や米国との協調介入がなければ、中期的な円安トレンドの転換は難しいとの見方が出ています。

日経平均は5日続伸、中間配当狙いの買いで銀行株が相場をけん引

金利急騰と円安という逆風のなかでも、東京株式市場は堅調な動きを見せました。25日の日経平均株価は前日比850円21銭(1.30%)高の6万6364円20銭で取引を終え、5営業日続伸となりました

相場を支えた要因のひとつが、3月期決算企業の中間配当の権利取りを狙った買いです。9月28日の権利付き最終売買日を前に、三菱UFJ、みずほ、三井住友のメガバンクをはじめとする銀行株に資金が流入しました。金利上昇局面では貸出利ざやの改善による業績拡大への期待が高まりやすく、高い配当利回りも好感されました。秋田銀行は約36年ぶりに株価1万円台に乗せ、四国銀行などの地銀株も買われるなど、金融セクター全体が相場をけん引しています。市場関係者からは、日銀の政策金利の到達点(ターミナルレート)を2.5%とみる分析も聞かれ、「金利のある世界」への移行が金融株の評価を押し上げています。

米中首脳会談の友好ムードでAI・半導体株にも買い

もうひとつの支援材料となったのが、米中首脳会談が友好的な雰囲気のなかで終了したことです。米大統領がAI開発の規制強化に慎重な姿勢を示し、中国の国家主席も競争しながら協力することは可能との考えを示したことで、市場ではAI開発の減速に対する懸念が和らぎました。米中貿易戦争の休戦期間が2カ月延長され、関税の引き下げやレアアースの輸出継続も確認されたことから、世界経済が急減速するリスクも後退しています。

この結果、本来は金利上昇局面で売られやすい東京エレクトロンやアドバンテスト、キオクシアなどのAI・半導体関連株にも買いが広がりました。一方、米オラクルのAIデータセンター建設の遅延報道を受け、スターゲート計画への影響が懸念されたソフトバンクグループ(SBG)は大幅安となりましたが、相場全体の上昇基調を崩すには至りませんでした。

今後の焦点は原油高の長期化と米中間選挙

日米の金融政策会合や米中首脳会談など、重要イベントが集中する「鬼門の9月」を、日本株は良好なパフォーマンスで乗り切りつつあります。ただし、市場にはなおリスクの火種が残っています。中東情勢がさらに悪化して原油高が長期化すれば、各国のインフレが粘着的となり、金融引き締めが一段と長引く可能性があります。また、11月の米中間選挙に向けた米大統領の発言や、各国によるAI技術への規制強化の動きにも注意が必要です。金利急騰という新たな経済環境のもとで、企業が利上げや物価高を乗り越えて成長を維持できるかどうかが、今後の世界市場の行方を左右することになりそうです。

まとめ

25日の日本株高で目を引くのは、長期金利が約30年ぶりの水準に達するなか、銀行株が相場をけん引したことです。「金利のある世界」への移行を、市場が銀行の収益機会として評価し始めたといえます。

ただし、金利が上がれば銀行の利益が一律に増えるわけではありません。貸出金利の上昇は収益を押し上げる一方、預金金利も上がり、保有する国債には評価損が生じます。日銀が公表した2025年度の銀行・信用金庫決算でも、円金利の上昇に伴う債券売却損は利益の下押し要因となりました。

ここから先は、銀行株の上昇を「金利上昇への期待」だけで見る段階から、貸出利ざやの改善が、調達コストや債券損失を上回るかを確かめる段階に移ると思います。大手行と地方銀行でも、保有国債や貸出先の構成は異なります。今後の決算では、金利上昇の恩恵が実際にどの銀行の利益に表れているかを見極めたいところです。

もうひとつ注目したいのは、原油高と円安が続いた場合の企業側の負担です。輸入コストと借入コストが同時に増えるなかでも利益を維持できる企業と、価格転嫁が追いつかない企業の差が広がり得ます。25日は銀行株と半導体株がともに買われましたが、今後も同じように上がり続けるとは限りません。今回の株高を評価するうえでは、指数の強さだけでなく、次の決算で収益の裏付けが確認できるかが重要だと考えています。

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