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米9月雇用統計は2.9万人増、ドル円156円台に 利上げ観測後退でも長期金利が上がる理由は?

米9月雇用統計は2.9万人増、ドル円156円台に 利上げ観測後退でも長期金利が上がる理由は?

米労働省が2日に発表した9月の米雇用統計は、市場予想を大きく下回る内容となりました。米連邦準備理事会(FRB)による早期の追加利上げ観測がいったん後退したことで、為替市場ではドル安・円高が進み、株式市場では買い安心感から主要指数が上昇しました。一方、主要7カ国(G7)による石油備蓄の協調放出決定は、原油価格の下押し材料となりました。雇用統計の詳細から金融政策の見通し、為替・株式・商品市場の動きまでを詳しく見ていきます。

非農業部門の就業者数は2万9000人増に急減速

9月の非農業部門の就業者数は前月比2万9000人増にとどまり、8万〜9万人増を見込んでいた市場予想を大幅に下回りました。過去2カ月分も下方修正され、7月分は従来の2万1000人増から1万人減に、8月分は16万2000人増から13万3000人増に引き下げられています。

失業率は8月の4.1%から4.2%に上昇しました。平均時給は前月比0.1%増、前年同月比3.0%増となりました。

産業別では、地方政府のほか、情報、専門職サービス、金融などで雇用が減少しました。一方、建設業や、医療・福祉、娯楽・ホスピタリティなどでは雇用が増えています。全体としては、企業のコスト意識が高まるなか、採用活動に対する慎重な姿勢が鮮明になっており、米国の労働市場の減速を印象づける結果となりました。

10月の利上げ見送りとの見方が強まる

弱い雇用指標を受けて、短期金融市場ではFRBによる追加利上げ観測が後退しました。統計発表後の市場では、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が据え置かれる確率が、おおむね8割まで上昇しました。

市場関係者からは、今回の結果によって10月会合での利上げ見送りの可能性が高まったとの見方が出ています。年内は政策金利が据え置かれるとの予想もある一方、追加利上げの可能性が消えたわけではなく、今後のインフレ指標が引き続き重要になります。

米国債市場では、雇用統計の発表直後に2年債をはじめとして利回りが低下しました。しかし、その後は低下分を打ち消して上昇に転じました。金融政策の先行きに対する市場の見方が変わる一方で、債券の買いは続かなかった形です。

ドルはほぼ全面安、ドル円は一時156円台に

外国為替市場では、早期利上げ観測の後退を受けて、ドルが主要通貨に対してほぼ全面安となりました。ドル円相場では統計発表直後に円買いが進み、一時1ドル=156円95銭まで円高・ドル安が進行しました。その後はドルを買い戻す動きも出て、157円台後半まで押し戻されています。ただ、160円近辺では政府・日銀による為替介入への警戒感も意識されています。

ダウは続伸、日経平均は7万円台を視野に

株式市場では、追加利上げ観測の後退が好感されました。2日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均は前日比約250ドル高の約5万1177ドルと続伸し、ナスダック総合株価指数も上昇しました。

半導体大手のエヌビディアが最高値を更新するなど、ハイテク株の上昇が相場全体を牽引しました。利上げ観測の後退が、投資家のリスク選好を後押しした格好です。

米国株高と利上げ観測後退の流れは、日本の株式市場にも波及しています。大阪取引所の夜間取引では、日経平均先物が7万円に迫る場面がありました。今後の取引でも、半導体・AI関連株の成長期待を背景に、7万円の大台到達が意識されそうです。

G7の石油備蓄放出で原油に下押し圧力、金も調整

商品市場では、G7による石油備蓄の協調放出決定が原油価格の下押し材料となりました。G7は2日、軽油の供給逼迫や価格高騰に対応するため、国際エネルギー機関(IEA)を通じ、4カ月間で1億バレル規模の軽油・原油などの備蓄を協調放出することで合意しました。

ただし、備蓄放出による価格抑制効果が持続するかは、実際の放出時期や供給量、中東情勢などにも左右されます。発表直後の値動きだけで、エネルギー価格の上昇が収まったと判断するのは早いでしょう。

一方、金価格も下落しました。雇用統計の発表直後は利上げ観測の後退が支援材料となりましたが、その後の米長期金利の反転上昇は、金にとって重荷となりました。

中間選挙前の最後の雇用統計、次の焦点はCPI

今回の雇用統計は、11月に控える米中間選挙の前に発表される最後の雇用統計でした。次回の10月分は11月6日の公表が予定されています。

失業率自体は歴史的な低水準にとどまっているものの、平均時給の伸びは鈍化しています。賃金の伸びが物価上昇に追いつかない状況が続けば、家計の購買力には負担となります。生活費の負担増は、有権者の大きな関心事となっています。

市場の視線は今後、10月7日公表予定の9月FOMC議事要旨や、10月14日発表の9月米CPIへと向かいます。

インフレ圧力の再燃が確認されれば、再び利上げ観測が浮上する可能性も残されています。金利動向にともなう相場のボラティリティ上昇には、引き続き警戒が必要です。雇用の減速とインフレの動向がどのようなバランスで推移するのか、引き続き注目が集まります。

まとめ

今回の雇用統計の内容で長期金利が上がる状況は、色々と背景を考察する必要があります。一筋縄では行かない相場です。

先週までは、景気の強さが長期金利の高さを支えていると見られていました。しかし今回は、雇用が市場予想を大きく下回り、追加利上げ観測も後退したにもかかわらず、米長期金利は当初の低下から上昇に転じました。景気の強さだけでは説明しきれない動きです。

特に気になるのは、これだけの買い材料が出ても、債券の買いが続かなかったことです。高い利回りを魅力とする買いだけでは売りを十分に吸収できず、価格が下がり、利回りが上がった。少なくとも今回の反応は、米国債市場の需給がかなり弱いことをうかがわせます。

ただし、売りが増えているのか、買い手がさらに高い利回りを待っているのか、その両方なのかは、値動きだけでは分かりません。背景にあるのが国債の供給負担なのか、インフレへの警戒なのか、投資家のポジション調整なのかも、引き続き見極める必要があります。

次の焦点は、原油価格が落ち着き、CPIでも物価上昇の鈍化が確認された場合に、長期金利が素直に下がるかです。そうした条件がそろえば、追加利上げの必要性は弱まり、長期金利にも低下圧力がかかると考えられます。その動きが続けば、株式の評価や金価格を支える材料になる可能性があります。

一方、それでも長期金利が下がらないなら、景気や物価以外の要因が、想定以上に強く働いている可能性があります。株式市場は利上げ観測の後退を好感していますが、長期金利の高止まりが続けば、企業の資金調達や株価の評価には重荷が残ります。また、雇用の減速が消費や企業利益の悪化につながれば、利上げ見送りへの期待だけでは株価を支えにくくなります。

今は経済指標の数字だけでなく、金利が下がるはずの材料に、債券市場がどう反応するかを特に重視しています。次のCPIでは、物価の内訳とともに、発表直後だけでなく、その後も長期金利の低下が続くかを確認したいと思います。

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