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日経平均が約3カ月ぶりに7万円台回復 AI・半導体株が牽引、今後の株価は業績と金利が左右

日経平均が約3カ月ぶりに7万円台回復 AI・半導体株が牽引、今後の株価は業績と金利が左右

東京株式市場で、日経平均株価が力強い底堅さを見せています。10月6日の終値は前日比737円(1.0%)高の7万683円となり、終値ベースでは約3カ月ぶりに7万円の大台を回復しました。同日午前の取引でも前日比134円67銭高の7万81円53銭で終えて7万円台に乗せていましたが、後場にかけて一段高の展開となりました。日米で長期金利が高止まりするマクロ環境下にあっても、業績期待を背景とした株式への資金流入が相場全体を下支えしています。この記事では、相場上昇の背景と注意すべきリスクを整理します。

夏の高値とは異なる強さ 業績確認後の上昇に

今回の7万円台回復について、市場関係者からは「前回の高値(6〜7月)とは意味合いが異なり、明確な裏付けがある」との評価が出ています。日経平均は6月25日に過去最高値を更新した後、7月下旬にかけて大きな調整を挟みました。その後、4〜6月期決算で各企業の業績実態を確認したうえで改めて買われていることから、相場の潜在的な足腰は以前より強くなっているとの見方があります。業績の裏付けを伴った上昇であることが、前回との大きな違いといえます。今週後半から小売企業などの中間決算発表を控え、期待値を上回る業績を事前に織り込もうとする「先回りの買い」も活発化しています。

AI・半導体が牽引、買いは幅広い業種へ波及

相場の上昇を牽引しているのは、引き続き人工知能(AI)・半導体関連銘柄です。アドバンテスト(6857)は連日で株式分割考慮後の上場来高値を更新し、株価は前日比1210円(3.00%)高の4万1510円まで買われ、時価総額は一時30兆円の大台を上回りました。主要顧客である米エヌビディアの連日の高値更新に加え、1株利益(EPS)が2024年3月期の84円から2027年3月期予想で911円、2028年3月期には市場予想で1243円へと急増する見込みであることが、高い株価を支える材料となっています。業績の急拡大への期待が株価を支えている構図です。

グローバルなサプライチェーンの面からも裏付けが見られます。台湾市場では加権指数が5日続伸し、終値4万9822.55ポイントと連日で最高値を更新しました。台湾積体電路製造(TSMC)の上昇に加え、鴻海(ホンハイ)精密工業が発表した7〜9月期の売上高が前年同期比47%増の3兆269億台湾ドル(約15兆円)と過去最高を記録し、AI関連需要の強さを示す材料となっています。

さらに、今回の株高は一部の半導体株だけに依存した展開にとどまりません。東証プライム市場では約7割の銘柄が値上がりし、リクルートホールディングス(1.6%高)、ファーストリテイリング(0.5%高)、ダイキン工業(1.4%高)など、幅広い業種に資金が波及する「循環物色」の様相を強めています。物色の広がりは、相場の持続性を考えるうえで好材料といえます。

ソフトバンクグループは反落、テクニカルには過熱サイン

全般が買い優勢に傾く一方で、個別の材料によっては慎重な姿勢も見られます。大型株の一角であるソフトバンクグループ(9984)は、前日比155円(2.38%)安の6342円と反落しました。出資先の米オープンAIが300億ドル(約4兆7400億円)規模の資金調達に向けた協議を進めているとの報道が出たものの、事前報道でおおむね織り込まれていたことから、目先の材料出尽くし感による売りが先行したとみられます。 日経平均の7万円台到達に伴う指数寄与度の高い銘柄への過熱警戒や、利益確定売りも重荷となっています。

テクニカル指標では、短期的な買われ過ぎを示唆するシグナルが複数点灯しています。25日移動平均線からの上方乖離(かいり)率は6.44%に達し、前回の最高値(6月25日)以来の高水準へ上昇しました。ボリンジャーバンドでは、移動平均線から標準偏差の2.5倍上に位置する「+2.5σ」を一時上回る場面がありました。正規分布を仮定した場合、±2.5σの範囲に収まる確率は約98.76%ですが、実際の株価が同じ確率で収まることを保証するものではありません。また、10月に入ってからの上昇幅は3000円を超えており、期初・月初の需給要因に伴う一時的な資金流入だった可能性も指摘されています。短期的な調整には注意が必要な局面です。

約30年ぶりの金利水準と根強い下値警戒

株式市場が活況を呈する裏側で、債券市場では長期金利の上昇・高止まりが続いています。6日の国内債券市場では、新発10年国債利回りが前日比0.030ポイント高い3.115%で取引されました。財務省が実施した10年債入札の表面利率は3.100%でした。 これは1996年8月以来およそ30年ぶりの高水準とされています。超長期ゾーンでも、新発20年債利回りが一時前日比0.015ポイント高い3.985%と、1995年5月以来およそ31年ぶりの高水準(価格は安値)を記録しました。国内金利は歴史的な水準まで切り上がっています。

米国の10年物国債利回りも5.30%台へ上昇しており、日米ともに金利の高水準が続いています。金利の上昇は、債券利回りと比較した株式の益回り(株価に対する1株利益の割合)の魅力を薄れさせる懸念材料であり、市場では金利上昇局面でも持続的な成長を示せる業績確度の高い銘柄に資金が集中する格好となっています。

市場参加者の姿勢も、完全に強気へ傾いているわけではありません。デリバティブ市場では、プットの建玉残高をコールの建玉残高で割ったプット・コール・レシオ(PCR)が2台の高水準を維持しており、プット(売る権利)を使って下値リスクに備える動きがある可能性を示しています。ただし、建玉には売り手と買い手の双方が存在するため、この比率だけで投資家の弱気姿勢を断定することはできません。慎重さを伴う上昇であるとの見方も出ています。

中間決算が7万円台定着の分岐点に

日経平均の約3カ月ぶりの7万円台回復は、単なる需給相場を超えた「業績裏付け型の相場」への進化を期待させる内容となりました。半導体・AIサプライチェーンの好調な受注環境と、幅広い日本企業の堅調な稼ぎ力が市場を後押ししています。

しかしながら、国内で約30年ぶりとなる金利水準やテクニカル面の短期的な過熱感、プット・コール・レシオからうかがえる下値への備えなど、足元には無視できない課題も存在します。業績期待と金利・需給面の警戒感が交錯するなか、10月中旬以降に本格化する3月期決算企業の中間決算発表において、企業の業績ガイダンスや実際の業績内容が投資家の高い期待水準に応えられるかどうかが、7万円台を定着させ、さらなる高みを目指せるかを左右する最大の分岐点となりそうです。

まとめ

今回の株高を考えるうえで重要なのは、企業の利益が増えていることと、その成長が現在の株価にどこまで織り込まれているかを分けて見ることです。好決算であっても、市場の期待に届かなければ株価が下がることはあります。AI・半導体関連では、足元の利益成長に加え、翌期以降の受注見通しや利益率が維持できるかが焦点になります。

一次情報として確認したいのが、企業自身の決算説明資料と、財務省の国債入札結果です。10月6日の10年債入札では、募入平均利回りは3.101%、応募額を募入決定額で割った応札倍率は約3.76倍でした。ただし、この倍率だけで需要の強弱は判断できません。過去の入札との比較に加え、入札後に金利が落ち着くかまで確認する必要があります。

企業が利益見通しを引き上げ、長期金利の上昇も落ち着くのであれば、業績の伸びが株価を支える展開は続きやすくなります。一方、利益予想が伸び悩むなかで金利だけが上昇するのであれば、高い成長を織り込んだ銘柄ほど株価収益率(PER)の低下圧力を受けやすくなります。金利上昇が円高につながる場合には、輸出企業の為替前提と利益見通しにも注意が必要です。

同じ業種でも、借入負担や資金を生み出す力には差があります。今後の決算では、売上高やEPSだけでなく、設備投資後に残るキャッシュフロー、借り換えに伴う利払い負担、会社が示す為替前提を確認することが大切です。7万円という節目に加え、「期待を上回る利益成長」と「金利上昇への耐性」が両立しているかを見ることが、次の相場の方向性を判断する手がかりになります。

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