民主党が下院を奪還、上下両院で「ブルーウェーブ」
2026年11月3日に投開票が行われた米中間選挙は、与党・共和党にとって厳しい結果となりました。米軍による対イラン軍事作戦を背景としたガソリン価格の高騰など、物価高が国民生活を直撃するなか、APの有権者調査では、生活費を投票の決め手として重視した有権者が半数近くに上りました。
AP通信によると、野党・民主党は下院の多数派を奪還しました。接戦が予想された上院でも、民主党はノースカロライナ州で議席を奪取したほか、共和党優位とされてきたテキサス州やサウスカロライナ州を制するなど躍進し、上下両院で多数派を握る「ブルーウェーブ」となりました。
新議会の発足後、残り2年となるトランプ政権は、予算関連法案や主要法案の成立に民主党の協力が欠かせなくなります。上院では閣僚や裁判官などの人事承認が難しくなる可能性があり、議会の調査を通じた政権監視も強まりそうです。弾劾訴追に踏み切る権限は下院にあり、弾劾裁判は上院が担います。
日経平均は一時3000円超安、14時頃には下げ幅を縮小
民主党躍進の報は、日本の株式市場に大きな衝撃を与えました。市場が警戒したのは、AI関連政策とデータセンター(DC)建設への影響です。電力消費や環境負荷、電気代高騰への懸念から、建設規制が強まり、米ハイパースケーラーによる巨額投資が減速するとの見方が広がりました。米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた全米の登録有権者調査では、76%が居住地域での新たなDC建設に反対しました。
11月4日の東京株式市場では、取引開始直後から半導体・AI関連株を中心に売りが広がりました。日経平均株価は午前中に節目の6万2000円を割り込み、前場終値は前営業日比2246円50銭安の6万835円36銭となりました。午後に入ると売りはさらに拡大し、下げ幅は一時3000円を超えました。
その後は下げ幅を縮め、14時時点では2084円安の6万997円まで戻しました。
キオクシアが1万円割れ、半導体・電子部品株が軒並み安
個別銘柄で下げが目立ったのはキオクシアホールディングスです。株価は一時13%超下落し、節目の1万円を割り込みました。
AI半導体検査装置のアドバンテストも大きく下落し、東京エレクトロンやソフトバンクグループなど代表的な関連銘柄が軒並み売られました。電子部品株では太陽誘電にも売りが広がりました。一方、ファーストリテイリングや任天堂などには買いが入り、業種間・銘柄間の格差が鮮明になりました。
ドル円は157円台へ、円高を支える「2つの追い風」
株式市場の混乱と並行して、外国為替市場や債券市場でも大きな変動が生じました。4日午前の東京市場では、ドル円相場が158円74銭から一時157円54銭まで下落し、円高・ドル安が進みました。米10年債利回りは一時4.90%を割り込みました。
円相場には「2方向からの追い風」が吹いています。1つ目は、米中間選挙の開票が進むなかで米金利が低下し、ドル売り・円買いが進んだことです。2つ目は、日銀の金融政策正常化という中長期的な要因です。日銀は10月30日の金融政策決定会合で、基調的な物価上昇率が2%の物価安定目標とおおむね整合する水準に達したとの判断を示しました。植田総裁は、経済・物価・金融情勢を踏まえ、政策調整の必要性を会合ごとに議論すると述べました。日銀は同会合で保有ETFの売却ペース引き上げも決めています。
今後の展望 政治リスクを消化し新たな均衡点を探る展開へ
今回の市場の動揺は、政権与党への世論の厳しさと、政治情勢が先端技術投資や世界経済に与える影響の大きさを印象付けました。ねじれによって政策推進力が抑制される懸念がある一方、安全保障の観点から米国のAI開発そのものが停滞するとは考えにくく、財政拡大が抑えられれば、インフレ懸念の緩和につながる可能性もあります。
売りが一巡した後は、買い戻しがどこまで続くかが焦点です。市場は政治リスクを消化しながら、新たな均衡点を探る展開が続きそうです。
まとめ
米中間選挙を受けて、まず見ておきたいのは米10年債利回りです。議会のねじれで追加の財政拡大策が通りにくくなり、インフレも落ち着くなら、長期金利には低下圧力がかかります。一方、すでに見込まれている資金調達が続くなかで、原油高が長引いたり、国債入札で需要の弱さが続いたりすれば、長期金利は上昇することもあります。米財務省が11月2日に公表した資金調達見通しと、11月4日公表予定の四半期定例入札計画を照らし合わせ、今後の入札で市場がどの程度の利回りを求めるか要確認です。
ドル円では、米金利の低下に加え、日銀の追加利上げを見込む動きが強まるなら、円高が続きやすくなります。逆に、米長期金利が持ち直したり、日本の賃金や物価の伸びが鈍って利上げ観測が後退したりすれば、日米金利差の縮小を見込んだ円買いは巻き戻される可能性があります。
AI・半導体株では、データセンターの建設が遅れたとき、半導体の発注が後ろにずれるのか、発注そのものが減るのかで、業績への影響が変わります。電力の確保や建設許認可の遅れにとどまるなら、納入時期のずれが主な影響です。大手クラウド各社が設備投資計画を引き下げるなら、半導体メーカーや検査装置メーカーの受注見通しにも影響が及びます。次の決算では、設備投資の総額に加え、データセンターの稼働予定と、半導体各社の受注見通しが注目されます。
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