今週の米国の主要企業の決算発表を踏まえて、今後の米国株式市場の見通しについて解説します。
マイクロソフト、メタ(メタプラットフォームズ)、アルファベット(Googleの親会社)などの大手ハイテク企業の第1四半期決算は、市場予想を上回る良好な内容となりました。しかし、これらの企業の中には、今後の見通しについて慎重な姿勢を示したところもあります。
特にメタは、第1四半期の好業績、1~3月期として過去最高の売上高にもかかわらず、第2四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったことから、株価が大幅に下落しました。メタはメタバースやAI事業へ巨額の投資を行っていますが、それによって利益が期待ほど伸びないことが確認されたことで、今後の半導体関連企業への投資が細るのではないかという懸念が生じて、メタのみならず、半導体関連銘柄やテック企業などにもマイナスの影響を与えました。
この流れは今後もハイテク企業にも波及する可能性があります。現在の業績よりも、先行きの不透明感が意識されやすい相場展開になると予想されます。投資家は、足元の業績だけでなく、企業の将来見通し(ガイダンス)や成長戦略にも注目し、慎重に投資判断を行う必要があるでしょう。
そんな中、26日にアルファベット(Google)の第1四半期の決算が発表になりました。売上げ高は、15.4%増の805.4億ドル(前年同月比)、事前予想は785.91億ドル。また、1株当たり利益(EPS)EPS(一株あたり利益)が61.5%増の1.89ドル、事前予想のEPSは1.51ドルでしたので、かなりのポジティブサプライズとなりました。
アルファベットといえば、ここ数回、売上高では事前予想を下回ることが続いていたため市場には明るい材料となりました。さらに、初めての配当実施を発表。それだけではなく自社株買いを700億ドル行うことも併せて発表しています。これは株価を上げるために、最もわかりやすいコーポレートアクションです。
しかし、マーケットに与えた一番の安心材料は、今後、データセンターに数10億ドル投資を行うこと、また、 生成AIが クラウドサービスの売り上げ増加つながったとコメントしていることです。これは、メタの決算で半導体関連企業、および生成AIへの成長神話への疑念が生じていただけに、ポジティブな材料になりました。このように、強弱入り乱れたメガテックの決算を終え、決算シーズンの後半戦へ突入していきます。
さて、マクロ面ではどのような材料があったのでしょうか。25日に発表された米国の第1四半期GDP成長率は前期比1.6%増と市場予想(+2.4%)を下回り、景気減速感が意識されました。米1四半期のGDPは季節要因でブレが生じやす傾向がありますし、またハードデータ(過去の数字)ではありますので、相場に大きな影響を与えることはありませんでした。
一方で、インフレ指標であるPCEコアデフレーターは前年比3.7%上昇(予想:3.5%)と高止まりしています。FRBは利上げを継続せざるを得ない状況が続いており、金融引き締めによる景気や企業業績への悪影響が懸念されます。市場では「昨年末からのピボット・パーティーは終わった」との見方が広がっています。ピボット・パーティーとは、FRBがタカ派からハト派に政策スタンスを転換(ピボット)したことで、株式市場と債券市場で資金流入が起こり、株価と債券価格が上昇した状況のことで、今後はFRBのタカ派姿勢が株式市場の上値を抑える可能性が高いでしょう。
今後は、個別企業の業績動向がより重視されることになります。市場全体(指標)の上昇を期待するのではなく、AIなどの先端技術を活用して競争優位性を発揮する企業に注目です。マイクロソフトやエヌビディアなどがその例で、AI関連需要の拡大が期待されています。一方で、インフレや金利上昇の影響を受けやすい景気敏感セクターの企業には警戒が必要です。例えば、米キャタピラやIBMなどの決算はかなり芳しくない内容でしたので、徐々に景況見通しの雲行きが怪しくなっているようにも感じます。決算シーズンの全体像を見極めるには今しばらく時間がかかりそうです。
米国株式市場は、大手ハイテク企業の決算内容と今後の見通しのギャップを受けて神経質な展開となりそうです。さらに、インフレの高止まりとFRBの金融引き締めも重石となるでしょう。
ただし、AIなど先端技術関連の有望銘柄には資金が集まりやすく、個別株の物色が活発化すると予想されます。中長期的な視点で、業績拡大が見込める銘柄を選別して投資することが重要です。市場の短期的な変動に惑わされることなく、企業の本質的な競争力や成長力を見極めることが今後の投資戦略のポイントになりそうです。
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