富裕層にとって、資産運用は一層重要な課題です。そして、安定したリターンを確保しながらリスクを適切にコントロールするための手法として、大きな資産額を運用するファミリーオフィスなどでは「ゴールベース運用」が取り入れられています。第2回目の本記事では、ゴールベース運用の概要、メリット、注意点、実践方法について詳しく解説します。
[ 目次 ]
ゴールベース運用(アプローチ)とマーケットベースアプローチの違い
ゴールベース運用とは、投資家の具体的な目標(ゴール)に基づいてポートフォリオを構築する資産運用手法です。従来の資産運用では、リスクとリターンのバランスを重視し、市場のベンチマークに連動するようなポートフォリオを組むことが一般的でした。しかし、ゴールベース運用法では、投資家の個別のニーズや目標に合わせてポートフォリオを最適化します。
一方、マーケットベースアプローチは、ゴールベース運用法とは対照的に、市場の動向に合わせて投資戦略を策定します。N Yダウ、S&P500、NASDAQ指数、日経平均株価、TOPIXなどの指標を基準とし、短期的な利益を目指すアプローチです。
ゴールベース運用のステップ
1、投資目標の明確化
当初投資額、追加投資額、投資期間、絶対目標額、理想目標額などから具体的な目標を設定します。
2. リスク許容度の把握
投資家のリスク許容度を評価し、目標達成に必要なリターンとリスクのバランスを検討します。
3.ポートフォリオの構築
目標達成に必要な資産配分を決定し、適切な投資商品を選択します。
4.定期的な見直し(リバランス)
投資目標や市場環境の変化に応じて、ポートフォリオを定期的に見直し、必要な調整を行います。
ゴールベース運用は、投資家のニーズに合わせたカスタマイズが可能であり、長期的な視点に立った資産運用が実現できます。これにより、投資家は自身のライフプランや家族の目標に応じた柔軟な運用計画を立てることができます。
尚、ファミリーオフィスでは、まずはファミリーミッションステートメントを策定したの後に、それに準じたゴール設定を行なっていきます。
ゴールベース運用が注目される理由
近年、ゴールベース運用が注目されている理由について解説します。
プランニングに合わせた目標設定ができる
ゴールベース運用は、投資家が自身のライフプランや家族の目標に応じて資産運用を行うことができる点が大きな魅力です。例えば、ファミリーオフィスでは、事業承継、会社売却、事業拡大、海外移住、海外留学などのプランに応じたゴール設定を行います。また、必要な金額と期間から運用プランを逆算して実行するため、無題のない柔軟な運用が実現できます。
米国では1990年代からゴールベースアプローチ(運用)が浸透している
ゴールベース運用は、金融先進国では広く浸透している手法です。米国では1990年代半ばからアドバイザーと顧客の信頼関係を築く中で、中長期的なアドバイスを行うスタイルが主流となりました。金融機関のレポートによると、米国の8割以上アドバイザーがゴールベース運用を採用していることが明らかになっています。
ゴールベース運用のメリット
ゴールベースによる運用法のメリットについて解説します。
目的意識を明確化できる
具体的な投資目標を設定することで、投資家は目的意識を持って資産運用に取り組めます。これにより、漠然とした不安や迷いを減らし、明確な目標に向かって計画的に行動できるのです。
投資家のリスクコントロール
投資家のリスク許容度に合わせてポートフォリオを構築することで、過度なリスクテイクを防ぎ、安定的なリターンを目指せます。リスク許容度に基づいた運用は、投資家が安心して長期的な資産運用を続けるための重要な要素です。
柔軟性がある
ゴールベース運用は、投資家のライフプランや目標の変化に応じてポートフォリオを柔軟に調整できます。これにより、ライフイベントや市場環境の変化に対して迅速に対応できる運用が可能となります。
長期的な運用ができる
ゴールベース運用は短期的な市場変動に一喜一憂することなく、長期的な目標達成に向けて着実に資産を積み上げていくことができます。長期的な視点に立つことで、短期的な利益に惑わされず、堅実な運用が実現できます。
精神的な安心感
明確な目標と計画を持つことで、投資家は精神的な安心感を得られます。ゴールに向かって計画的に行動することで、不安やストレスを軽減し、ポジティブな投資体験を享受できるのです。

出所:ファミリーオフィスドットコム「自分で行うファミリーオフィス型資産管理講座」より抜粋
ゴールベース運用の注意点
ゴールベース運用の注意点についても解説します。
適切な知識が必要
ゴールベース運用を効果的に実践するには、投資目標の設定やポートフォリオの構築に関する適切な知識が求められます。投資家は自身の目標に対して最適な運用戦略を選択するために、金融市場や投資商品の理解を深める必要があります。
機会損失のリスク
市場の上昇局面において、リスク抑制を重視するポートフォリオが利益獲得の機会を逸する可能性があります。特に、リスクを控えめに設定した場合、上昇相場での利益が限定的となることがあります。
コストがかかる
個別のニーズに合わせたポートフォリオの構築や定期的な見直しには、一定のコストがかかります。例えば、アドバイザーの利用やポートフォリオのリバランスにかかる費用が増えることが考えられます。
長期的なコミットメントが必要
ゴールベースアプローチは長期的な視点に立った資産運用であるため、短期的な市場変動に惑わされずに、継続的に取り組む必要があります。投資家は長期的な目標に向かって粘り強く運用を続ける覚悟が求められます。
目標設定の変更が求められることも
投資目標の設定には現実的かつ具体的な計画が必要ですが、設定後に変更が必要になることもあります。特に、将来のプランやイベントを正確に見積もることは困難であり、目標設定において誤差が生じることがあります。
ゴールベース運用を専門家に相談する場合の注意点
投資の基本は長期分散投資や積立投資ですが、相場の変動に左右されずに長期的に運用し続けるのは簡単ではありません。保有している間に相場が下落すると、不安になって売却してしまうケースが多いためです。長期的な運用を続けるには、客観的な視点を持つアドバイザーの存在がサポートになります。アドバイザーの助言により、全体最適な資産運用が可能となり、金融面を包括的に管理できるのですが、同時に注意も必要です。依頼者とアドバイザーの間に知識や情報の差(情報の非対称性)があることを悪用し、必要もない金融商品を販売するケースが散見されます。これを避ける唯一の方法は、知らない商品や理解できない商品には投資を行わないこと、また、そのような商品で悩んだ際は信頼できる第三者の意見を求めて判断することが必要です。
まとめ
ゴールベース投資は、富裕層に取り入れていただきたい運用戦略の一つです。投資家の個別のニーズや目標に合わせてポートフォリオを最適化することで、長期的な視点に立った資産運用が実現できるからです。一方で、適切な知識やコストが必要となるなどの注意点があります。アドバイザーに助言をもらうことで自身の投資スタイルに合うかどうかを見極め、適切に実践することが求められます。
ゴールベース運用を取り入れることで、より効果的な資産運用を実現し、着実に資産を築いていくことができるでしょう。是非、参考にしていただければ幸いです。
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ゴールベース運用についてもコンパクトにまとめてお伝えしています。ご視聴後からすぐに資産運用、資産管理に活用できる内容になっていますので是非ご視聴ください。
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