欧州中央銀行(ECB)は18日、主要政策金利を据え置き、市場の予想通り9月までの様子見を決め込みました。市場の注目を集めていた中銀預金金利を3.75%、主要政策金利を4.25%に据え置くことを決定。前回6月の利下げから一転、今回は全会一致で据え置きとなりました。ただ、先進国ではカナダが7月に利下げを行うとみられ、英国も8月に追随する可能性があり、今後の動向が注目されます。
ラガルド総裁は9月理事会の方向性について「何も決まっていない」と発言。インフレ圧力は依然として高いとしつつ、サービス部門の高インフレは継続、総合インフレも来年以降目標値を上回る可能性が高いと指摘しました。一方で、企業収益は物価上昇の一部を吸収しているとし、追加利下げの可能性も残しています。ラガルド総裁は、経済成長のリスクは「下方」にあり、高金利が経済活動に悪影響を与える可能性も認めています。
ただ、ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭は、欧州中央銀行(ECB)にとって不安材料です。特にフランスとイタリアでは財政赤字が懸念されています。ラガルド氏は18日の記者会見で政治リスクに関する質問を相次いで受けました。次回のECB理事会は9月12日で、フランスは9月20日までに欧州連合(EU)に財政改善計画を提出する必要があります。市場は楽観的ですが、フランスの議会は「宙吊り状態」で、財政規律が緩むと金融市場が動揺しかねない状況です。ラガルド氏は物価だけでなく、市場の安定にも配慮した金融政策運営を迫られ、フランス国債の動向を注視しています。
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ECB理事会を通過した18日のユーロドルは0.39%安の1.0896ドルで取引を終了しました。前日は1.0948ドルと4カ月ぶりの高値をつけていました。
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一方、18日のユーロ円は+0.38%の171.47円となりました。9月にFOMCが9月に利下げする可能性が高まっており、ECBも同様の動きになる可能性があります。ロイターによると、ECBは年内に2回の利下げを実施し、来年末までに5回強の利下げを実施することを市場は織り込んでいます。11日に175.42円と市場最高値を更新したユーロ円ですが、ECBの利下げ観測により上値が重い展開が続く可能性があるでしょう。
欧州にとって、アメリカの大統領選挙も無視できない要因です。アナリストたちは欧州経済最大のリスクとしてトランプ前大統領の再選を挙げるなど、米大統領選の影響を懸念する声が目立ちます。トランプ氏は関税政策を武器に、保護主義的な姿勢を強める可能性があり、世界的な保護主義は物価上昇と景気低迷の要因となり得ます。ラガルド氏もアメリカの関税引き上げの影響を考慮する必要性に言及しています。トランプ氏優勢のシナリオも視野に入れた金融政策の検討が必要となるかもしれません。
来週から中銀ウィークがスタートします。中国、カナダ、日本、米国、英国、オーストラリアと続きます。メインイベントは日本とアメリカになりますが、為替に大きな影響を与えるために要注目です。
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