10月23日(水)に、東京メトロが待望の上場を果たしました。買い注文が寄り付き前から優勢で、初値は売り出し価格の1,200円を大きく上回る1,630円に。その後も勢いは止まらず、終値は1739円まで上昇し、時価総額は1兆円を突破しました。
東京メトロの上場は、2018年のソフトバンク以来の大型IPOとして大きな注目を集めました。安定した業績と東京の交通インフラを支えるという同社のポテンシャルが評価され、特に個人投資家からの買い注文が集中しました。今後も人口増加が期待される東京において、成長ポテンシャルの高さが多くの投資家の期待を集めています。
一方で、10月9日の衆議院解散発表以降、上昇基調にあった日本株市場には陰りが見え始めています。オランダの半導体製造装置大手ASMLの決算が市場に衝撃を与え、さらに自民党の選挙戦での苦戦が報じられる中、日経平均株価は下落幅を拡大しました。10月25日の日経平均株価は、解散前の営業日と比べて▲2.6%の下落。これにより、これまで17回続いていた「解散発表から投開票前まで株価が上昇する」というアノマリーが初めて崩れることとなり、50年以上の歴史に一石を投じました。
10月第5週(10月28日—11月1日)は、日本株の小幅な反発が期待されています。27日に行われる衆議院選挙の結果を見極めた売りが一巡し、相場は持ち直す見通しだからです。
ただし、投資家の関心は日本銀行(日銀)の金融政策や米国大統領選挙にも向けられており、慎重な取引が続くと予想されています。そのため、仮に反発が見られても、上昇幅は限定的となる可能性が高いでしょう。
30日、31日に日銀金融政策決定会合が開催されます。今回は、米国大統領選挙を控えているため、政策金利は据え置きとの見方が多数で、サプライズはないと想定されます。ただ、会合後の植田総裁の記者会見には注目が必要です。
植田総裁はIMFの年次総会で、「日本の金融緩和策の一段の正常化の適切な規模とタイミングを考え出すことが自分にとって最重要の関心事だ」と述べ、四六時中寝る間を惜しんで「先行きの正常化の適切な規模が全体でどうなるか、利上げ全体を時間的にどのように配分するのかについて考えている」と今後の利上げ実施についての考えているようです。
この流れを受け、日銀の追加利上げに大きな影響を与える海外の中銀の金融政策を見定めながら、現時点でも追加利上げに意欲的かどうかを市場関係者は注目しています。もし、タカ派的なニュアンスが出るようであれば、大統領選挙前で動きにくい局面ですが、情勢が見えてきたところで影響がじわりと出てくる可能性があります。
日本銀行は30日と31日に金融政策決定会合を開催予定で、多くの専門家が現行政策の維持を予想しています。植田和男総裁の会見にも市場参加者の注目が集まっており、ここでの発言が今後の円相場を大きく左右する可能性があります。前回の会合以降、円安が約10円進んでおり、総裁が為替やマクロ経済に対してどのような見解を示すのかが焦点です。もし米国の景気回復を背景に利上げに前向きな発言があれば、短期的には円高に動き、国内株式市場に圧力がかかる可能性があります。
さらに、米国企業の決算発表も為替市場に影響を与えそうです。”マグニフィセント・セブン”と呼ばれる主要ハイテク企業の決算が相次いで発表される予定で、29日にはアルファベット、30日にはメタ・プラットフォームズとマイクロソフト、31日にはアップルとアマゾンが控えています。これらの決算次第で、ドル円相場にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
先週までは、介入への警戒と週末の衆議院議員総選挙への警戒感で、ドルロングの勢いがやや落ちていますが、選挙後は政局次第とはいえ、その結果で日銀がタカ派に転じる可能性は低く、また、大統領選挙後も介入は簡単で無いという思惑から先週までの円買いの反応は今週以降変化が生じる可能性が高いといえます。以上の観点から、当面はドル高のモメンタムは継続する可能性が高いと考えられます。
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