先週の日本株の振り返り
与党が27日の衆院選で過半数割れとなり、「ブラックマンデー」の懸念も浮上しましたが、週明け28日(月)からの株式市場は急反発。日経平均株価は月曜から水曜にかけて3.6%上昇し、3万9,000円台を一時回復しました。しかし、その後は米国市場が大統領選の影響を再び意識し、木曜と金曜にかけて日経平均は約3%下落に転じました。
この一連の動きは「ショートカバー」に過ぎないのか、「大統領選前の健全な調整」なのか、見方は分かれていますが、衆院選の結果は概ね市場に織り込まれたようです。再来週の11日には首班指名選挙が予定されており、石破氏が首相に指名されるとの見方が強まっている中、市場に大きな混乱が見られないことはプラス材料です。
今週の日本株の見通し
日銀会合では予想通り現状維持が決定され、植田総裁の会見もタカ派寄りの内容でした。市場参加者に注目されていた「時間的余裕はある」という表現を一度も使用せず会見を終えています。この理由は、植田総裁によれば、「時間的余裕はある」との表現は、夏場以降の米国経済の下振れ、ドル円の変動幅、株式のボラティリティの上昇など金融市場の不安定化に対応したもであると説明されました、その後、1発表された9月米雇用統計が予想を上振れたことなどから、米国経済の下振れリスクは低下したと判断し、「時間的余裕はある」との表現を今後使わないと説明しています。
これにより植田総裁は、米国経済の好調さや欧州経済の持ち直しを背景に、海外リスクが大幅に低減したと指摘し、これまでの慎重姿勢から一転して、今後は国内のデータに基づきより積極的に政策を見直す姿勢を強調しました。このため、経済状況が大きく悪化しない限り、12月または1月には追加利上げが実施される可能性が非常に高まっています。
今週は、米国で5日に予定されている大統領選と6日から7日にかけてのFOMCが日本株に大きな影響を与えると見られています。特に大統領選の結果は米国の財政政策や対外政策に直接影響を与えるため、投資家心理にも強い影響を及ぼす可能性があります。また、FOMCでは利下げの決定が予想されており、その動向次第で米国株式市場が動くことで、日本株にも波及効果が期待されます。
今週の日本株市場は、このような外部要因に加え、国内企業の決算発表も多数控えているため、ボラティリティが高まる可能性が高いです。特に輸出関連企業の決算内容が良好であれば、円安の追い風を受けて日本株全体が底堅い動きを見せることが期待されます。一方で、大統領選の不透明感やFOMC後の市場の反応次第では、一時的に売りが優勢となる局面も予想されるため、引き続き慎重な姿勢が求められます。
来週のドル円相場の注目点
昨日の10月米雇用統計、非農業部門雇用者数は、前月比1.2万人増加に止まり予想を大きく下回りました。エコノミスト予想の中央値は10万人増、また前月は22.3万人増(速報値25.4万人)に下方修正さています。
これを受け、ドル円は153円付近で週末を終えています。ただし、この雇用統計を受けても米国10年金利は上昇し4.386%に到達。この反応を見ているとドル円は底堅く推移しそうです。その背景には、今回の雇用統計にはハリケーンの影響が出た可能性高いこと、また、それにボーイングのストも加わったという特殊背景があるため、FRBの大幅利下げにはつながらないとの見通しがあるためです。
そのため、引き続き米経済のソフトランディング期待が高く、50bpの大幅利下げは不要との見方が強く、11月と12月のFOMCでそれぞれ25bpの利下げが想定されています。さらに、米大統領選後のドル買い期待もあります。候補者がどちらであっても減税や財政出動が見込まれ、米長期金利の上昇が予想されるからです。ただし、ドル円が160円に近づく場面では為替介入の可能性も高まるため、警戒が必要です。この状況を踏まえると今週はボラティリティは高いと思われるものの、基本は米金利高継続でドル堅調がベースシナリオになります。
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