資産管理会社を設立するメリット

資産管理会社を設立するメリット

資産管理会社は富裕層だけではなく、資産を持っている人にとって必要な会社といえます。

節税や相続対策など様々な恩恵はありますが、法人の設立や維に持コストがかかるので、資産管理会社についてきちんと理解しておかなければいけません。

この記事では、資産管理会社の概要やメリット・デメリットについて解説します。

資産管理会社とは

資産管理会社とは、預貯金や株式・不動産といった資産を管理するために設立された「プライベートカンパニー」です。設立手続きや契約など、基本的には通常の会社と同じですが、営業活動はせずにオーナーの資産管理を目的として設立された会社なのです。

株式会社は1円でも設立できるので、資産管理会社設立にかかるコストは、司法書士への報酬や登記料などにすぎません。

上場企業のオーナーを始め、富裕層の多くが資産管理会社を保有しています。オーナーが100%を出資して資産管理会社を設立しているのがほとんどなので、法人の形態をとっていても意思決定のスピードは個人と変わりません。

資産管理会社を持つべき人

資産管理会社を持つべき人は、一部の富裕層だけではありません。

資産管理会社を活用してメリットがあるのは「資産がある人」
たとえば株や預貯金・土地を保有している人、相続税の発生が見込まれる人、副業があるサラリーマンなどです。

資産管理会社を持つべきなのは、富裕層だけでなく、本業以外の事業がある人や、相続対策が必要な人なのです。不動産などの資産から資産管理会社を設立して利益を得る場合と、個人として利益を得る場合を比較してみましょう。

個人に課税される所得税の最高税率は45%、住民税と合わせると最高55%に達します。一方、資本金1億円以下の会社に課せられる法人税の実効税率は33.58%です。所得が大きくなる場合、資産管理会社設立による節税効果が大きくなることがわかるのではないでしょうか。

資産管理会社のメリット

資産管理会社設立の主なメリットは、以下の3つです。

1)相続対策になる

個人で資産を保有していた場合、本人のみが収入を得ることになります。一方、資産管理会社を設立した場合は、家族を役員にして役員報酬を支払うことが可能です。本人のみが得ていた収入を家族に分散できるので、最高55%の高い税率である贈与税の対象にならず、より税率の低い所得税の課税対象としてオーナーから現金を受け取れるのです。

また、個人が所有している状態の遺産を相続すると、そのまま遺産分割が行われます。しかし、資産管理会社に資産を保有させて相続すれば、その資産管理会社の株式という形で相続できます。

通常、不動産などでは遺産分割が難しく相続争いを引き起こす原因になります。しかし、資産管理会社で一括して不動産を所有させて株式を分割すれば、土地などのように分割の難しい資産であっても、容易に分割できるのです。

2)多様な金融商品に投資できる

金融商品には、法人しか購入できない商品もあります。たとえば、組合形式や私募型の投資信託などは、個人名義で購入すると総合課税になるので税負担が大きく、法人のみに限定している場合が多いのです。

不動産証券化商品やプライベートエクイティファンド、ヘッジファンドなど多様な金融商品を購入できるというメリットが、資産管理会社にはあるのです。

3)生前贈与も有利に進められる

資産管理会社を設立している人は家族を従業員として雇用し、法人に入ってきた収入の一部を給料として支払っています。こうして所得を分割することで、個人で稼いだお金として申告するよりも税負担を抑えられるのです。

また個人間でお金を分け与えると税制上では「贈与」とみなされます。生前贈与の非課税枠は年間一人当たり110万円で、個人間でこれを超える所得移転を行うと最高税率が55%に達する贈与税が課せられます。

しかし、資産管理会社を通じて給与として支払えば、年間110万円の枠にとらわれず、円滑に家族への生前贈与を進められるのです。

資産管理会社のデメリット

資産管理会社のデメリットについても確認しておきましょう。

1)コストや手間がかかる

資産管理会社という法人を維持するには、コストや事務負担がかかります。個人事業主の時は所得税や住民税だけを支払えば良かったのですが、資産管理会社では法人税や事業税の支払いが必要です。

たしかに節税効果は法人の方が大きいのですが、そのための経理処理が複雑になります。また資産管理会社を設立すると社会保険へ加入しなければいけませんが、これにはメリットとデメリットがあります。

普通の給与所得者であれば会社と折半するので社会保険料の半分を支払えばいいのですが、資産管理会社は会社と役員の両方が自分自身や家族です。つまり、経営者が支払うべき社会保険料も実質自己負担となるのです。

2)赤字でも住民税がかかる

資産管理会社は法人という人格を持っているので、住民税が必要になります。法人の住民税は、赤字決算であっても毎年7万円必要になります。

まとめ

資産管理会社はそれほど広くは知られていませんが、資産を保有する人であれば、うまく活用することで大きなメリットを受けられます。とくに相続時の手続きや税制面での優遇が大きいので、相続の悩みを抱えていたり、資産を多く保有したりしている人は、資産管理会社の設立を考えるようにしましょう。

ただし、税率などを考慮すべき点も多数あるので、しっかりと調べた上で進めてください。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月19日号(10月21日〜10月25日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月19日号(10月21日〜10月25日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月1 …

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

世界が注目するBRICSサミットの概要 2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICSサミッ …

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

中国株市場が再び脚光を浴びています。国慶節連休が明けた直後から上海総合指数は連日上昇し、10月8日には上海総合 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の株 …

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで1ヶ月を切りました。2024年11月5日に投開票、2025年1月20日に就任式と約3ヶ月後には新 …

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

10月9日に衆議院が解散し、27日の総選挙が近づく中、市場では「選挙は買い」というアノマリーが再び注目されてい …

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

本日は『ソフトランディングの場合、S&P500とセクターへの投資のどちらがリターンを狙えるか』をお伝え …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

[ 目次 ]1 日本株今週の振り返り2 来週の日本株市場の見通し3 来週の為替注目点 日本株今週の振り返り 今 …

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

本日は、米国株利下げ後に期待できる投資対象をお伝えします。先週のFOMCにおいて0.5%の利下げが決定されまし …

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

2024年9月18日、米連邦準備理事会(FRB)はFOMCで予想を上回る0.5%の利下げを決定し、市場に衝撃を …

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.5%の上昇となり、市場予想の2.6%を下回る結果となりました …

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株とドル円です。 一般的に米国の利下げ局面では、米金利が下がるため、ドル安/円高になる、とい …

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

6日に発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で14万2,000人増加したものの、市場予想を …

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と金価格です。 今月17~18日にはFOMCが開催されます。そこでの利下げをマーケットは織 …

おすすめ記事