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【グローバル・バリュー・オープン】ファンド賞を多数受賞した世界株の有名ファンド。その実力を分析【投資信託マラソン】

【グローバル・バリュー・オープン】ファンド賞を多数受賞した世界株の有名ファンド。その実力を分析【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析を行う投資信託は、グローバル・バリュー・オープンです。こちらは国際株、バリュー株へ投資するファンドとなっています。

このファンドは、ファンド評価会社の受賞歴が非常に多く、有名なファンドとなっております。本日は、多くの賞を受けているファンドの実力がどうなのか、分析してみたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

こちらの記事は、情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。投資を行う際は、ご自身の判断でお願いします。

取り上げている投資信託はランダムに抽出しています。分析についても中立の立場から行っています。販売会社や運用会社との業務提携等を行ってご紹介するものではありません。

ファンド概要

概要

まずは概要です。グローバル・バリュー・オープンは、国際の株式に投資するグローバルな投資信託です。運用会社は野村アセットマネジメントで、NISA成長枠での投資が可能です。

信託報酬は1.67%、運用総額は153億円と、有名ですが、やや小ぶりのファンドとなります。主な特徴としては、ファンド分析会社のファンド大賞など、非常に受賞歴が多いファンドです。

運用利益も長期にわたり、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの先進国の大型バリュー株へ投資しており、株価が割安と判断される投資を行っています。投資家の中にはバリュー株を好む方も多いため、人気のあるファンドです。

1996年に設立され、国内でもかなりの老舗のファンドです。長い歴史があるということは、何かしらの理由があるのでしょう。21年以降、純資産総額が増加していることでも注目を集めています。

ファンドの内訳を見ると、アメリカが6割、ドイツ、イギリスなどのヨーロッパが2割、日本とその他が残りと、グローバルな印象があります。

では、パフォーマンスはどうでしょうか。10年、5年、3年、1年の年率を見ても、カテゴリーをほぼ上回っています。過去1年だけは下回っていますが、実数値を見ても2桁の成長が見込めていますので、全体的にはパフォーマンスが良いといえるでしょう。

標準偏差は全てマイナスとなっています。これはカテゴリーよりもリスクが低いことを指します。バリュー株でリスクは低く、リターンがある程度保証されているという特性から、非常に期待の持てるファンドと言えるでしょう。

投資信託の投資戦略

では、具体的な戦略を確認しましょう。バリュー投資を基本として、配当利回り等に注目し、銘柄選定を行う方針です。世界の優良株に厳選しています。優良株で、かつ配当がしっかりしたものを選んでいることが分かります。

もう1つの特徴は、海外銘柄に関しては為替ヘッジを柔軟に行い、為替リスクを軽減していることです。今後の円高を懸念している投資家にとっては、ある程度の安心感を与えてくれる材料となるでしょう。

次にスクリーニングの方法です。まず、世界の株式の中から定量分析を行います。配当利回りが市場平均を上回っているか、増配の実績があるか、市場を代表する大型銘柄か、などを確認し、定量分析でスクリーニングを行って銘柄を絞り込みます。

その後は定性分析を行います。競合他社に対する差別化、ブランド価値、事業の選択と集中ができているか、環境の変化に対して柔軟に対応できるかなどを分析し、強度の高い銘柄を選んでいます。

このように絞り込みを行った後、候補となった銘柄からROEの実績などを考慮しながら銘柄を選択し、最終的には100銘柄まで絞り込まれます。個人が行うには非常に困難な世界の株式市場の分析を一から行い、選定してくれるアクティブファンドと言えます。

パフォーマンス分析

パフォーマンス

次にパフォーマンスです。1996年からの非常に古いファンドで、設定来のパフォーマンスは、世界株平均+378%に対してファンドは+535%と、かなり優れた結果を残しています。

しかし、過去5年、3年、1年の中期的な視点で見ると、世界株とほとんど変わりません。3年ではベンチマークが62.6%に対して67.6%。若干上回っていますが、1年ではベンチマークが29.2%に対して23.7%と下回っています。近年のパフォーマンスを見ると、世界株平均とあまり差がないことが分かりました。

VSインデックスファンド

次にファンド、先進国株、オールカントリーを比較してみましょう。過去4年間、ファンドの実績はほぼ先進国株、オールカントリーと変わりません。ここ5年、3年では、ほぼインデックス投資と変わらないことがパフォーマンスからは明らかになりました。

資金流出入

資金の流出は、21年と22年に非常に多く見られました。その流れは23年にも引き継がれているものの、以前ほどではありませんでした。これは投資家たちが、インデックスとアクティブファンドの違いはどこにあるのか、投資家が考え始めた結果かもしれません。

評価

投資の検討ポイント

これを踏まえて、分析をお伝えします。最近のパフォーマンス低下から、バリューファンドらしさをあまり感じられません。

最上位の銘柄はMicrosoft、AppleおよびJohnson & Johnsonなどの超大型株であり、本当にバリュー投資なのかと疑念を感じるセレクションとなっています。 

海外銘柄を対象に為替ヘッジを行い、為替リスクを軽減する方針を採用していますが、最近はほとんど為替ヘッジを行っていないことが分かります。今後の円高に警戒感を持つ方にとっては、しっかりと為替ヘッジが行われるのかと感じることでしょう。

アクティブファンドであり、今後も円安が続くと考えてヘッジをかけていないのであれば理解できます。しかし、これから金利が高い状況で円高に進むとなった場合、為替ヘッジを行えば、為替ヘッジのコストがかかります。その分で、インデックスに負ける可能性も考えられることが1つの懸念材料です。

また、銘柄の売買や入れ替えはあまり行われていません。バリューファンドですから、バイ・アンド・ホールドは理解できますが、アクティブな感じはあまり受けませんでした。

また、リバランスによる銘柄の比率調整が行われているはずですが、選ばれた銘柄からは無難な印象を受けます。純資産総額が伸びていることを正当化できる理由を、ここには見つけることができませんでした。そのため、ファンドの販売戦略がうまく行った結果ではないかと感じています。

ファンド会社から多く受賞しており、いいファンドだと感じる方も多いでしょう。運用歴は長く、市場に勝る時期は確かにありました。ただ、過去5年間を見ると性能はほぼ変わりません。その意味では、過去の成果からの受賞と言え、現在においてはパフォーマンスが優れてるとは言い難いです。

インデックスと明確な違いのある運用など、アクティブファンドとしての価値はあまり感じられませんでした。

長期的な投資対象としてなるべく無難なアクティブファンドを買いたい方、アクティブファンドに初めて投資する方にとっては、インデックスとほぼ同じですから、興味を満たせる可能性はあります。しかし、インデックスと明確に差別化できるアクティブファンドに投資したい積極的な投資家にとっては、不向きだと思います。

ずっとバリューファンドに投資し、成果を求めるようなスタイルリスクを積極的に取りたい方、今後も長期間金利上昇などが続きバリュー株を選好する方であれば、選択の可能性もあるでしょう。ですが、同じようなアクティブファンドがありますから、他のアクティブファンドでもいいのではとも感じます。

歴史があるファンドですから、今後数年間でパフォーマンスがインデックスを上回り、過去の実績を取り戻す可能性も十分にあります。その時に再考してもいいのではないかと感じました。

評価

最後に評価をお伝えします。評価は3です。今の伝え方では、さらに低い評価ではと思うかもしれませんが、インデックスファンドを大きく下回るわけではありません。手数料を引いた後でも下回るわけではない、インデックスと同程度のパフォーマンスを維持しています。

また、過去にはいいパフォーマンスを収めており、輝きを取り戻す可能性もあるため、評価3とさせていただきました。ただし、過去3年、5年間のパフォーマンスを見ると、特別優れているとは言えません。

今回は、様々な受賞歴のあるアクティブファンドを紹介しました。バリュー株への投資を行い、過去のパフォーマンスは非常に良かったですが、最近5年間ではあまり良くありませんでした。インデックスを上回るパフォーマンスが見られた際には、銘柄の選択や入れ替えなどがうまく行われているファンドであると評価できます。

ただ、現時点でインデックスとほぼ同等の評価であれば、あえて選ぶ必要はないと思える内容でした。

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