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【ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株】成長株投資に強さを持つ世界的な運用会社の実力は?【 投資信託マラソン】

【ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株】成長株投資に強さを持つ世界的な運用会社の実力は?【 投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式です。ティー・ロウ・プライスという運用会社の名前は、聞いたことがある方も多いのではないかと思います。この会社自体が、成長株投資において非常に強みを持っている歴史ある運用会社です。世界的に有名な投資運用会社の実力を詳しく見ていきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事は情報提供を目的として作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。投資の判断は、ご自身で行っていただくようお願いいたします。

また、今回分析した投資信託はランダムに抽出し、中立な立場で分析を行っております。運用会社や販売会社との間で業務提携等は一切ございません。

投資信託概要

概要

今回分析するのは、ティー・ロウ・プライスです。成長株投資で有名な会社が運用する、世界の株式の中から厳選して投資を行うファンドです。

NISAの成長枠投資が可能で、信託報酬は1.68%です。純資産総額は2150億円と大きなファンドです。

このファンドは、世界の成長株、いわゆるグロース株に投資を行っています。地域や業種に偏りが少なく、米国と欧州の先進国の銘柄を中心に組み入れています。

ティー・ロウ・プライス社は成長株投資で強みを持つことで世界的にも有名ですので、その腕前には興味を持たれると思います。組み入れ銘柄は70程度と分散されています。また、業種も情報技術や金融を中心に幅広く組み入れられている印象です。分散を意識しつつ、成長株のポートフォリオを組んでいることが、特徴であると言えます。

これを踏まえた評判、イメージ、チェックポイントです。
・まず、ティー・ロウ・プライスという、成長株に強いと言われるファンドが本当に実力を持っているのか、運用手法はどうかを見ていきたいと思います。

・70銘柄ということで、幅広い範囲を対象に本当に成果を上げることができているのかどうかも注目したい点です。

・また、成長株は一般にボラティリティが高いという印象がありますが、このファンドではリスクが高くないのかということも検討します。

・最後に、アクティブファンドとインデックスファンド、どちらがいいのかということで、対インデックスの能力も見てまいります。

3年間のパフォーマンスを見ますと、トータルのリターンにおいては、3年間でカテゴリーと比べるとマイナスとなっています。とはいえ1年間では、カテゴリーを上回るパフォーマンスです。リスクに関しては、ややカテゴリー平均よりも低い結果になっています。

投資戦略

投資戦略については、持続成長だけでなく、循環成長にもアロケーションしていることが特徴です。

ポートフォリオは70銘柄で構成されていますが、約50%が持続的な成長が期待できる銘柄で占められています。例えば、圧倒的な技術力を持っている、ビジネスモデルが優れている、価格支配力があるなど、成長が維持できるという観点でのポートフォリオが約半数を占めています。

循環成長の観点で、景気変動により株価が下落しても、景気回復期待でV字回復を見せるような、モメンタムを持った銘柄を約15%から25%保持しています。

特殊な成長という観点からは、構造変化や世の中の変革期において、非常に注目を集める銘柄に15%から25%を保持しています。

これら3つの特徴は、ティー・ロウ・プライスの独特の分析能力によるものと思われます。非常に期待が持てると感じられます。

パフォーマンス

パフォーマンス

実際のパフォーマンスを見てみましょう。設定来では、円ベースでの世界株式平均を15%近く上回っていることが分かります。基準価格を見ると、赤いチャートがファンドの円ベースのパフォーマンスを示しており、世界株式(円建て)の青いチャートを常に上回っている状態です。これにより、非常に優れたパフォーマンスをしていることが明らかとなりました。

設定は2019年5月ですが、2000年から2021年にかけては、特に世界株平均を30%から40%上回る運用が行われています。十分に指標に対して勝てる運用が行えるファンドだと確認できました。

資金流出入

その結果、資金流入が多いかと思いきや、実は資金の流出が見られます。パフォーマンスと投資家の間に温度差があるようです。なぜ、このような状況になっているのか、投資のポイントについて詳細な分析を行いたいと思います。

投資への検討ポイント

詳細分析

分散を意識しつつ、成長株に投資をしています。組み入れを強化している分野について見てみると、糖尿病や動物向けの衣料品、肥満対策などの分野で特徴のある治療薬や予防策を提供するヘルスケア銘柄、AI関連、半導体関連の銘柄に投資をしていることが分かります。

直近の個別銘柄の運用では、Amazonの組み入れを増やしつつ、ボーイングやコルゲートなどの新規組み入れを行っています。一方で、アドバンスド・マイクロ・デバイシズやエアバスなどは全部売却を行っていることから、大胆な売買を行っている印象があります。

上位銘柄を見ても、見たことのある銘柄が多くなっています。どういった成長性に繋がっているのかを、さらに詳しく見てみましょう。

ファンドの名前には厳選という名前が付けられています。ただ、厳選とは言いつつも、組み入れ銘柄数がやや多い印象があります。また、組み入れ上位には、Amazon、Microsoft、Appleといった代表的な大型株が並んでおり、成長株という印象がやや薄まっています。

運用の基本的なスタンスとしては、ポートフォリオのベースにインデックスの代表的な銘柄を組み入れつつ、一部ではより大きなリターンを狙うために銘柄を厳選していると言えます。その結果、全体の相場上昇期にはインデックスに負けないリターンを得られることができ、状況によっては大きな値動きが見てとれます。反面、大きなリターンを狙うために銘柄を厳選していることから、どうしてもリスクが高くなります。

リスクとリターンの比較で運用効率を示すシャープレシオは、グローバルな成長株に投資するファンドの平均が0.8であるのに対し、このファンドは0.6となっています。パフォーマンスは良いものの、大きなリスクを取って得られているリターンが、平均に比べて少し低いことを意味しています。こういったところが、資金流出に繋がっていると思われます。

さらにベータ、アルファなどの運用、マーケットの影響で上昇する部分と、個別のファンド独特の能力で上昇する部分を細かく分析してみましょう。ファンドの基準価格の上昇は、主に世界株全体の上昇と円安の影響が主となっています。設定来約5%を見ると、インデックスよりもやや値動きが大きなファンドだと言えるでしょう。

ファンドの運用は機動的に行われており、個別銘柄の分析と組み入れはある程度行っていることから、アクティブファンドであると分かります。

しかし、現時点では、ベータの上昇と円安の影響が強く、今後運用時間がさらに経てばインデックスとの差異が出てくるものと思われるものの、現時点では実力があまり発揮されていないように見てとれます。

そこまで大きなリターンはなくとも、なるべくインデックスに負けないようにしながら、少しでも超過リターンを狙いたい方には合っているとは言えます。

ただ、シャープレシオを見ると投資効率があまり良くなく、リスクも若干高いところがあります。

評価

評価は3となります。現時点ではティー・ロウ・プライス社の本領がまだ発揮されていないためです。ティー・ロウ・プライスが成長株投資に強いことは歴史が証明していますが、このファンドに関しては、インデックスに小さなプラスアルファを目指すような運用に見えるものの、現時点ではインデックスに比べて顕著な優位性が見られない状況です。

しかし、このようなファンドを追いかけていくと、将来的に実力が発揮される可能性もあります。現時点では投資対象としては冷静に見守りつつ、長期的にティー・ロウ・プライスの能力が発揮されることを期待して投資を検討することも1つの手だと思います。

現状としては、そこまで能力は発揮されていません。ただし、ポテンシャルとしてはある程度存在すると思います。今後の投資対象としてウォッチリストに加える価値はあると考えています。そのため、星3つと評価をさせていただきました。

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