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【M・Sグローバル・プレミアム株式】集中投資とリスク抑制を目指した有名ファンドの実力は?【投資信託マラソン】

【M・Sグローバル・プレミアム株式】集中投資とリスク抑制を目指した有名ファンドの実力は?【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、M・Sグローバルプレミアム株式です。多くの雑誌などで取り上げられている、非常に有名なファンドです。世界の株式にグローバルな投資を行い、集中投資をしながらリスクを抑制することを目指しています。このような有名な投資信託の実力を分析し、皆様に結果をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

お願い

まずはお願いです。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。皆様が投資判断を行う際には、ご自身の判断でお願いします。

また、投資信託は我々がランダムに抽出し、中立的な立場で分析するよう心掛けております。運用会社や販売会社と当社との間に業務提携は一切ございません。

投資信託概要

概要

それでは分析です。このファンドは、NISAの成長投資枠で投資が可能であり、信託報酬が1.98%と高いことが特徴です。このコストを補えるほどのパフォーマンスが得られているかが1つの焦点となるでしょう。

純資産総額は2,931億円となっており、規模の大きなファンドであることがわかります。このファンドが選定する「プレミアム企業」とは、高いブランド力や有力な特許、強力な販売網、競争上の優位性を持っているなど、財務的な価値ではなく無形の価値、定性的な要素を持っている企業を指します。かつ、持続的にフリーキャッシュフローが大きくなる企業を厳選しています。

私たちが個々の企業を分析し、対象を世界に広げることは非常に困難です。そうした中で、このファンドは上記のような観点で分析を行い、銘柄をピックアップしています。

投資対象は世界全体であり、銘柄数は30から40に絞って集中投資を行っています。

このファンドは、運用期間が約10年であり、海外では「グローバル・フランチャイズ」という戦略名で1996年から運用されているため、歴史のあるアメリカの運用スタイルであることがわかります。

非常にアグレッシブなファンドとの印象を受けるかもしれませんが、最大の特徴は価格変動リスクを抑えている、リスクをコントロールしていることが特徴となっています。本当にそうなのかを、これから確認したいと思います。

評判やイメージ、チェックポイントとして、
1)まずは集中投資における銘柄選定能力が高いのかを見ていきたいと思います。
2)また、アクティブファンド特有のリスクが存在するかどうかも検討したいと思います。
3)さらに、下落局面でもファンドが強いのかどうかについても注目したいと思います。30銘柄の集中投資を行っていると、下落局面で大きな影響を受ける可能性があるためです。
4)最後に、インデックスファンドと比べてどうかも見ていきたいと思います。

投資信託の投資戦略

非常に大事な投資信託の投資戦略についてです。M・Sファンドにおけるプレミアム企業は、借入金に依存せず高い収益力を持つ企業、特に高い売上高利益率を有する企業を選定しています。借入金の比率が高い企業は景気が悪化すると売られやすい傾向にあるため、景気悪化時に強い銘柄を選んでいることになります。

また、高い参入障壁や既存事業の成長性といった定性的な側面も重視されています。これらの企業は、競合他社からの市場侵入を難しくする独自の強みを有しています。バフェット氏の投資判断基準に近い状況を目指していると言えます。

このような特徴を持つプレミアム企業は、持続的な利益成長が見込めるとともに、競争優位を持っており、結果としてフリーキャッシュフローの増加が期待されます。フリーキャッシュフローの増加は、新たな事業チャンスが増えることにつながります。そこを考えた上でのプレミアム企業ですから、理論上は理解できるものの、個人投資家にとっては実行が困難な戦略です。

パフォーマンス分析

パフォーマンス

次にパフォーマンスを確認します。過去5年、3年という期間で見ると、リターンは世界株平均とほぼ変わりません。ただ、ここ5年間はシャープレシオが常に1.2を超えている状況であり、最近好調であった先進国の株式ファンドの平均値が常に1未満であるのに対して、このファンドは上回っています。先ほどの印象とは異なり、非常に安定している印象を受けます。

5年間の比較をご覧ください。世界株を円建てにしたものと、ファンドの円建て基準価格を比較すると、ほぼ変わりません。このファンドで運用する意味があるのかと感じるところですが、1.2という数値を見るとわかるように、2020年のコロナショックの際には非常に不安定な時期がありました。このファンドも下落しましたが、世界株と比べてオーバーパフォームしており、下落局面に強かったことがわかります。

その後は、パフォーマンスで若干下回る部分もありましたが、長期投資では、大きな下落局面にどれだけ耐えられるかが重要です。そこがシャープレシオで確認できることから、長期投資に強みがあると言えます。

リターンはあまり変わらないにも関わらず、シャープレシオが高いということは、リスクを抑えた運用が行われていることを示します。投資家が安心して資金を預けられるという意味で、長期投資を継続しやすい、長期的な成長を取ることができるファンドだというのが1つの意味となります。

短期的にファンドのパフォーマンスをリターンの数値だけで見ると、このファンドよりも優秀なファンドは多く存在します。しかし、長期的にパフォーマンスが安定しているかどうかを考慮すると、このファンドは優秀であるということが見て取れます。

投資の検討ポイント

さらに検討のポイントを見てみましょう。いかにもアクティブファンドらしい、典型的な特徴を持っている印象があります。過去10年間で長期比較を行いますと、世界株に投資する類似ファンドの平均年率リターンが10%であるのに対し、このファンドは年率12%という結果です。

この数字だけを見ると、大きな差ではないように見えるかもしれませんが、安定しながらも2%の上昇を達成していることは、非常に高い能力だと言えます。運用では、年率リターンを安定的かつ長期的に積み上げることが重要であり、2%の差が複利となると大きな成果を生むため、このファンドは優秀であると言えるでしょう。

運用の中身を見ると、成長性の高いITなどのグロース株を組み入れる一方で、生活必需品などディフェンシブ銘柄もバランス良く組み込まれています。成長株中心の運用ではあるものの、グロースオンリーではないという印象があります。大きく上昇する局面では、世界株に劣らないパフォーマンスを目指しています。特に2020年春のような不安定な局面では、成長株が低迷する際に強みを発揮し、価値を維持しようとする方針が見て取れます。

銘柄の集中投資を行いつつ、攻めるべき時と守るべき時を判断して、銘柄の入れ替えを大胆に行っていることが過去の銘柄入れ替えからわかりました。長期的な視点で見ると、上昇相場だけでなく下落相場においても、銘柄の入れ替えを行うアクティブファンドであることが理解できます。

このファンドの2018年以降のパフォーマンスを見ると、幅の狭さが1つの特徴となっています。例えば、先進国ファンド、新興国ファンドは過去5年間で大きく上昇しましたが、このファンドはそこまで大きな上昇は見られません。ここから、アップサイドにあまり強くないとの印象を受けます。

一方で、ダウンサイドに目を向けると、他のファンドが2桁の下落を経験している中、このファンドはマイナス5%近くで抑えられています。アクティブファンドではあるものの、下落時に強いという特徴を持つことを示しています。

アクティブファンドはボラティリティが高い、マイナスに弱いと懸念されますが、このファンドはそうではないと言えます。過去のリターンを見ても、マイナスが少なく、コンスタントに上昇していることが特徴であると思います。

資金流出入

資金流入に関しても、流入が続いていることがわかります。

評価

評価は4.5としました。超過リターンが期待できるファンドです。攻めすぎて大きなミスをするファンドというよりは、景況感への対応力が高いイメージがあります。長い投資期間で好景気と不景気が繰り返される中での、対応力の高さが評価されるでしょう。極端にパフォーマンスを上げることよりも、長期投資を任せたいと思わせるファンドであるという印象を持ちました。

本日はM・Sグローバルについてお話ししました。モルガンスタンレーが運用し、世界に投資するファンドで、個人投資家には困難な、世界各地のプレミアムブランドを保有する企業選定を行うファンドのパフォーマンスを確認しました。

一般的にアクティブファンドは、ボラティリティが高く、下落局面で大きく下落するというイメージを持たれがちですが、このファンドはイメージとは逆に、ディフェンス力が高く、アップサイドにも対応しながら、下落局面でしっかりと根を保ち、長期間でリターンを上げるという独自戦略を持っています。

このような特徴を踏まえ、他のファンドと比較しつつ、興味を持つ方にとっては1つの投資対象となるでしょう。私自身も調査を通じて、改めてファンドの評価の高さを感じました。

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