本日、分析する投資信託はSBI・UTIインドインフラ関連株式ファンドです。
ここ最近、インドの成長は、すごく目を見張るものがあります。昨年頃からインドの投資に対する注目度が非常に集まっています。
本日の投資信託もNISAの成長投資枠の対象になっているということで、注目されている方が多いのではということで取り上げました。ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
お願い
最初にお願いです。この動画は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的とはしていません。投資をされる場合は、ご自身で判断いただきますようにお願いいたします。
また、投資信託はランダムに抽出しております。運用会社、販売会社と当社の間においての業務提携等は一切ございません。あくまでも中立の立場として分析をお伝えします。
投資信託の概要
概要
投資の概要です。当ファンドは、インド株、特にインフラ関連にフォーカスして投資する株式ファンドです。実際に運用を行うのはUTIグループという、インド国内の大手運用会社となっています。
このファンド自体は2008年に設定され、純資産総額は82億と国内でも小さなファンドの1つですが、ここ最近、非常にファンドの残高が増えてきていることで注目されています。
インドは、ここ数年間投資対象として非常に注目を集めている国です。経済成長は以前からしていましたが、ここ最近は株価の上昇も注目の材料になっています。これも含めた投資信託に興味を持ってる方が多いと思います。
本日のチェックポイント
1)インド株式の中でも、インフラ関連投資ということで、どのように投資をしているのかを見ていただきたいと思っています。
2)インド自体が注目されていますが、その中でも、ファンドがどのような能力、パフォーマンスを残しているかに注目していただきたいと思っています。
3)インドを対象とする投資が数多くある中で、インデックスファンドなどと比べてどうかを見ていきたいと思います。
インドに注目が集まる理由
まずは、インドに注目が集まる理由を非常に簡単にご説明したいと思います。SENSEX、日本で言うTOPIXのような株式指数ですが、非常に大きく上昇してることがわかるかと思います。2004年から約20年間で7倍近く上昇している、非常に成長性の高い市場だとわかります。株式市場の上昇のみならず、インド自体も著しく成長していることがわかります。
2025年までのGDP実質成長率を見ると、オレンジのインドは各国を圧倒する成長を続けています。その結果、2050年には中国に続く第2の経済大国になることが期待されています。非常に人口も多いうえ、経済成長も著しいということで、今後の成長が期待できるというところが、インドに大きな注目が集まっている理由かと思います。
投資信託の投資戦略
投資信託の投資戦略です。今回運用するUTIという会社は、1963年にインド初の投信会社として設立された最古の運用会社です。1987年まではインドで唯一の投資会社として独占していました。23年に民営化され、インドで最も運用経験の長い会社として知られています。インド国内の独立系運用会社としては、インド国内屈指の規模となっています。
ポイントは黄色い網掛け箇所です。すごく簡単に言うと、運用スタイルはモメンタム、世の中の流れ、マーケットタイミング、安い、高いなどで、比率や銘柄の変更などを行うのではなく、5年から10年間安定して成長する企業に投資し、中長期的な超過収益を目指しています。
プラスアルファの利益を得るために、中小型株に対する選定を行っています。バイ&ホールドで長期に投資するアクティブファンドとなります。最古の運用会社がどの程度の運用能力を持つかを、ここから見ていきたいと思います。
パフォーマンス
パフォーマンス
パフォーマンスです。結論から言いますと、対インデックスにしっかりと勝るパフォーマンスを残しているファンドです。インドを代表する株式指数、SENSEXのパフォーマンスはここ3年間、世界株に比べて大きく上昇しています。そもそもインド株のファンドというのは、世界株に比べて大きく上昇して当然の状況です。しかし、SENSEX(円ベース)に比べても、このファンドは上回っています。
5年比較、3年比較のチャートをご覧ください。赤がファンド、青がSENSEXの円換算です。5年で見ても上回っていますし、3年で見ても大きく上回っています。5年、3年においても世界株、SENSEXも共に上回っていることがわかりました。
この時間、かなり良いパフォーマンスを残したファンドだと言えるでしょう。要因は、インドにおいて、インフラ投資や政府支援が続いていることで、世界の投資マネーがインドのインフラ関連に流れているためです。さらに、運用会社の銘柄選定脳力が高いことも良いパフォーマンスの理由となっています。
インドの成長に応じたインフラ投資が、ファンドのパフォーマンスを支えていることがわかりました。
投資の検討ポイント
投資の検討ポイントです。インドのインフラという成長性の高い分野にフォーカスしたことが、このファンドのいいところだと思っています。
例えばインド株といえば、通常IT企業や銀行が有名です。時価総額の指数の多くを占めているのは、インフォシスや銀行となっています。SENSEXの構成比率を見ても、金融機関やITがかなり多くを占めており、金融機関では30%後半、ITは20%近くまで上昇しています。この2つだけで50%を超えるような配分になっています。普通のインド株ファンドというのは、金融、ITが組み込まれています。
一方で、ファンドの上位には建設や資本財、エネルギーなどが占めており、地元では有名ですが、世界的には知られていない企業を中心に選んでいます。インド国内でインフラ事業を営んでおり、ローカル企業に多く投資をしています。
わかりやすく言いますと、SENSEXでは37%を金融が占めているのに対して、このファンドは8.4%と非常に低いです。その代わりに資本財、建築、エネルギーが50%を超える割合となっています。
グローバル企業ではなく、ローカル企業を選んでいるのですが、こういった企業を投資対象として見つけることは、現地の運用会社でないとなかなか難しいというのが率直な感想です。このファンドはUTIというインドの運用会社が運用していることから、ローカル企業を見つけることができ、成長性の著しい中小型株に投資していることが、パフォーマンスに結びついているのだと思います。
そういった銘柄選定ができるのが、アクティブファンドの元々の魅力です。コストは多少かかるものの、それを引いたうえでのパフォーマンスがインデックスにも十分に勝っていますから、優秀なアクティブファンドだと言えるでしょう。
資金流入
資金流入も非常に多くなっています。小規模ではありますが、資金流入の多さが人気の高さを表しています。
SENSEX対S&P500
注意点が1つあります。SENSEXとS&P500を比較したチャートをご覧ください。S&P500がオレンジ、SENSEXが青色です。20年で見ると大きく上昇していますから、今後もインド株は非常に注目を集める対象ではあります。
ただ、赤い網掛けをご覧ください。イベントごとに大きく株価が下落しています。非常にボラティリティが高くなっていますので、長期に投資をするスタンスでなければ、短期間ではかなりマイナスになる可能性があります。また、10年単位で見ても、S&P500をオーバーパフォームしていますが、下落局面、下落幅が非常に大きくなっていることには注意が必要です。
ルピー円対ドル円
次に、インドルピー、為替をご覧ください。まずは左、インドの政策金利です。インドの政策が非常に高くなっており、円に対しても非常に強い状況が続いています。
右にはインドルピー円、ドル円の比較を出しています。黄色いチャートがドル円で、青いチャートはインドルピー円です。上の方に上がると、インドルピーが強く、円が弱い。ドル円で言っても、ドルが強く、円が弱くなっています。
ここ最近の状況を見ても、ドル円の方が非常に上昇が強くなっています。一方で、ルピーはそこまで強くありません。これだけインドの政策金利が強いにもかかわらず、円に対しては強くはなっているものの、ドル円ほど強くありません。アメリカに比べると、インドの方が高いインフレとなっているのです。インフレの高い国は、通貨が基本的には劣化する可能性があります。そういった意味で、今後はインドルピーの上昇が円に対してどのくらい続くのか。もし下落しても、どの程度に留まるのかはインド株に投資する以上、注意していただきたいと思います。
以上を踏まえ、評価に移りたいと思います。
評価
評価は星4つです。このファンドは、インドの成長を支えるインフラに投資し、地元の投信会社でなければわからない中小型株にフォーカスを当てて投資しています。個人にはできない高い銘柄選定能力により、今のパフォーマンスが維持されています。そういった能力は突然変わることがないことを考えると、ある程度お金を預けるに値する、非常に優れた投資信託との印象を持ちました。
本日は、皆さんが注目されているであろうインドの投資信託について分析しました。インド自体の成長性が高いこと、最近の株価パフォーマンスが非常に優れていることから注目されていますが、このファンドは、中小型かつ、インフラに関連した企業を地元の投資信託会社が選んでいるということで、銘柄選定能力が非常に秀逸なものだと感じました。
他のインド株のアクティブファンドもいろいろな特徴を持っています。その中でも、比較、検討していただける対象になる良質のファンドだと思いましたので、ぜひ参考に検討いただければと思います。