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【AB・グローバル・ハイインカムA】インカムゲインとキャピタルゲインを目指した債券ファンドのパフォーマンスを分析【投資信託マラソン】

【AB・グローバル・ハイインカムA】インカムゲインとキャピタルゲインを目指した債券ファンドのパフォーマンスを分析【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、AB・グローバル・ハイインカムAです。アライアンス・バーンスタインがグローバルに投資する国際債券ファンドとなります。インカムゲインとキャピタルゲイン両方を目指していますが、そのパフォーマンスはどうか、詳しく見ていきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

はじめにお願いです。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨は目的としていません。投資判断は、ご自身で行っていただきますようお願いいたします。投資信託はランダムに抽出しており、運用会社や販売会社との間に業務提携は存在しない、中立的な分析となっております。

投資信託概要

概要

概要です。アライアンス・バーンスタインの運用する国際債券です。投資対象は適格社債や国債が約50%、低格付けのハイイールド債券が30%、新興国の国債が15%と、米国を中心とした債券ですが、様々な国々の国債や適格社債、ハイイールド債券、新興国の国債に分散しています。個人で行うには難しい運用を行っていることがわかります。

注意点は、この投資信託はNISAの対象外だということです。NISAを利用して運用を考えている方には使えない投資信託となりますが、株式と組み合わせたポートフォリオを構築する際には、リスク分散の観点から債券は不可欠なアセットになります。NISAではなくともファンドとして能力を分析するということで、今回は取り上げています。

純資産総額は143億円と大きなものではありませんが、アライアンス・バーンスタインは運用能力が高いと評価される会社です。

債券ファンドは、基本的に金利や市場環境の影響を大きく受けますが、このファンドの投資比率は50%、30%、15%という比率はあまり変わりません。そのことが、パフォーマンスにどのような影響を与えているのかを見ていきたいと思います。

過去の水準から見ると現在の水準は決して割安とは言えない状況です。基本的には株価と逆相関の関係にある債券を保有することは、ポートフォリオを強化するうえで欠かせない要素です。景気が後退したり株価が下落したりする局面では、金利の低下に繋がることが多く、債券ファンドにはプラスに作用するため、このファンドだけでなく、債券ファンドに関する理解を深めることも重要だと思っています。

今回のチェックポイント

今日のチェックポイントは、この債券ファンドのアロケーションです。

1)国債や適格社債が50%を占めるなど、リターンが期待できるかどうか。

2)リスクの高い債券、ハイイールド債券や新興国債券が入っていますが、パフォーマンスは安定しているのか。

3)インデックスファンドや他のアクティブファンドと比較してどうか。

この3点を中心に確認していきます。

投資信託の運用方針

次に、投資信託の運用方針について見ていきます。先進国の適格社債や国債が約50%、ハイイールド社債が約30%、新興国債券が15~20%を占めています。

目的は、ハイイールド社債、新興国債券で高いイールドを取りつつ、先進国社債でリスクを軽減させ、キャピタルゲインを狙うことにあります。先進国の投資適格債、ハイイールド社債、新興国債券をバランスさせることで、高いクーポン、リターンを目指すことが目的となっています。目的自体は非常に分かりやすいですが、これがパフォーマンスに繋がっているか、これが一番重要です。

ちなみに、投資家の皆さんは、今後の債券運用を考える場合、適格社債のみならずハイイールド債券、新興国債券は使い分ける必要が出てくると思います。このようなファンド分析をきっかけに、債券の種類、動きなどを覚えていただくと今後の投資の幅が広がると思います。

パフォーマンス分析

パフォーマンス

パフォーマンスは、結論から言うと、対インデックスで大きく負けるパフォーマンスとなり、期待を裏切る結果になっています。

ポートフォリオの利回りは、5.7%となっています。債券自体のクーポンは4.7%ですが、割安で購入している債券があるため、5.7%近くの利回りが見込めています。債券ファンドの妙味である利回りはしっかりと得られていると言えます。

最近は金利の影響を大きく受けるため、金利環境によって大きくブレる局面があるものの、利回りをしっかりと積み上げていけば、長期的にはパフォーマンスが安定します。金利の上下の影響を受け、ひやりとする局面があったとしても、しっかりと利回りが得られれば、その累積でファンドは基本的に安定します。

このファンドがインデックスに比べてパフォーマンスが劣る状況にあるのは、ここ数年間の世界的な金利の大幅な上昇の影響を受けているためです。今回取り上げているのは為替ヘッジなしのファンドですが、為替ヘッジがないということは、円安の影響が基準価格に大きく作用します。基準価格自体は伸びていますが、現地通貨建ての債券部分は大きくマイナスになっています。世界的な金利上昇により債券価格が下落している状況を、それを円安で補っています。現地通貨建ての債券部分が大きくマイナスとなったのは、債券の57%を占めるアメリカは、金利上昇が非常に強く、急激に上昇したことで、影響を避けられなかったのでしょう。

その結果、インデックスに大きく負けるパフォーマンスとなっています。

期間別のパフォーマンス

具体的に見てみましょう。このファンド(愛称:NKコンパス)をeMAXIS Slim先進国債券と比較すると、ここ1年でも先進国の国債のパフォーマンスが安定していることが見えてきました。

さらに7年間を見ても、途中まではハイイールド債券などの収益が安定していますが、ここ最近の金利上昇を受けて、eMAXIS Slim先進国債券の方が上回っています。

これを見ると、先進国の国債に投資した方が良いのではないかという結論になります。いろいろな取り組みをしている割には、パフォーマンスが見合っていない状況です。

資金流出入

その結果、2020年以降、資金流出が続いている状況です。

投資検討

検討すべきポイント

次に、詳細を分析し、このファンドが投資の対象になるかどうかを確認したいと思います。このファンドに限らず、今後は世界的な金利低下により、債券ファンドに追い風が吹く可能性があると考えられます。

最近、世界的にインフレが落ち着いてきました。政策金利を急激に上げてきた各国ですが、日本を除いて基本的に利下げに入るフェーズにあると思います。昨年までの金利上昇のステージが終わり、今後は金利低下のステージに向かっていくと予想されます。

金利低下は債券ファンドに追い風になる可能性があります。このファンドも債券ファンドですから、昨年までの金利上昇の厳しい局面は一旦終わる可能性があります。

金利低下の影響を受けるデュレーションはどうでしょうか。デュレーションとは金利の変化によってファンドの価格がどの程度上下するかを示す指標で、このファンドのデュレーションは4.5と少し短めになっています。金利が1%低下すると、ポートフォリオは4.5%上昇することを意味しますから、昨年までの債権価格の下落が上昇に転じ、クーポンがしっかりと入る体制になって追い風となる可能性があります。

債券ファンドはインカム収益を積み上げることが重要です。このファンドは平均約5%のインカム収益を積み上げる能力があります。デュレーションが4.5ですから、ファンド自体をしっかりと積み上げていく状況にあります。

債券ファンド全般に言えることですが、長期的に保有する必要があります。基本的には相場の影響を受けますが、そういったことを考慮せずに持ち続けることが望ましいとされています。

このファンドは、国債などの高格付け債券を中心に、リスクを考慮しつつ、ハイイールド債券や新興国債券を保有しています。そのため、長期保有に適していると言えます。

この投資信託は評価サイトで高い評価を受けていたため、今回分析を行いましたが、このファンドにはスタイルリスクがあります。国債や適格社債に50%近く、ハイイールド債券などに30%、新興国に20%という配分を過去大きく変更することがなかったため、取ったスタイルによってリターンが劣るリスクがありそうです。そのため、同じカテゴリーの中で優れたファンドを探す方がいいと思いました。

QUICKの分析で他ファンドとの比較において、同じ分類の平均に比べてファンドのリターンを見ると、過去3年間、他の債券ファンドよりも劣っています。債券ファンド自体は追い風になる可能性があるものの、より優秀なファンドがあと感じました。そのため、世間の高い評価とは異なる印象を持ちました。

評価

評価は2つ星とさせていただきました。パフォーマンスが大きくマイナスというわけではないのですが、他の債券アクティブファンドと比較してパフォーマンス的な優位性が見当たらないため、この評価とさせていただきました。

本日は、アライアンス・バーンスタインが運用するグローバルに展開した債券ファンドを分析しました。国債だけでなく適格社債、ハイイールド債券、新興国債券などに分散投資しています。個人で債券投資を行うのは難しい中、痒い所に手が届くファンドではあったのですが、パフォーマンスを見ると、他のファンドに比べて特別良いわけではありません。

また、世界の国債ファンドと比較しても、特にいいパフォーマンスが残っていない状況です。債券ファンドは現在注目すべき投資対象である一方で、このファンド以外にも優れたファンドが存在する可能性があると考え、比較しながら分析していただければと思います。

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