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【投資のソムリエ】安定成長型のバランスファンドで純資産総額2位の有名ファンドを徹底分析【投資信託マラソン】

【投資のソムリエ】安定成長型のバランスファンドで純資産総額2位の有名ファンドを徹底分析【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、投資のソムリエというバランス型ファンドです。バランス型ファンドでは様々な資産(アセットクラス)に分散投資を行うため、長期で資産を預けたいと考える方には人気があります。

投資のソムリエはバランス型の安定成長型ファンドの中で純資産総額が2位ということで、聞いたことがある方も多いのではないかと思います。このファンドがどのようなパフォーマンスと特徴を持っているのかを徹底的に分析したいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

お願い

この記事は情報提供を目的として作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的とはしておりません。投資をされる場合には、ご自身で判断いただくようお願いします。また、投資信託の選出はランダムに行っており、中立な立場で分析しています。運用会社や販売会社との間に業務提携等は一切ございません。

投資信託概要

概要

ファンドの概要です。投資のソムリエは安定成長型です。アセットマネジメントOneが運用しており、NISAの成長投資枠での投資が可能です。信託報酬は1.54%で、純資産総額は4,105億円と、かなり大きなファンドです。

このファンドに注目した理由は、安定成長型として純資産総額が2位であることから、知名度が高く、バランスファンドに興味がある方は一度は目にしたことがあると思われるためです。

様々なファンドの中でも、このファンドが特に力を入れているのは、年間の変動率を約4%とリスクを低く抑えることです。投資を始めたばかりの方々はどうしてもリスクに対して敏感な方が多いため、リスクを低く抑えたファンドに対して安心感を持ち、それが人気の理由の一つといえそうです。

バランスファンドであるため、運用内容としては国内債券、ヘッジ付き外国債券(為替の変動を受けない外国の債券)を安全資産として定義し、国内外の株式やリートなどをリスク資産としています。

また、景気が悪化した際には現金の割合を増やすなど、3つの資産に分散し、リスクをできるだけ抑える方針を取っています。これだけを見ると、信頼して任せてもいいと思わせるような安心感があります。

これら3つの資産の基本的な配分を定め、経済状況に合わせて比率を機動的に調整することで運用する方針という、より期待の持てる運用スタイルになっています。

チェックポイント

・安定成長型の運用スタイルがどのようなパフォーマンスを示しているのか?
・リスクの低さに伴いリターンが低いのではないか?
・さらに、インデックスファンドとの比較
・安定成長型のバランスファンドと比較した場合、このファンドのパフォーマンスは?

さて、簡易的にパフォーマンスを見てみると、10年、5年、3年、1年という単位で見ても、同カテゴリーに比べると非常にマイナスが目立っています。リターンが同カテゴリーを大きく下回っていることから、リターンをあげる能力は低そうだいうことが確認できました。

一方で、リスクを抑えることを強みとしているため、標準偏差は同カテゴリーと比較しても確かに非常に低いことがわかります。例えば、10年間で変動率を3.62%に抑えていることから、リスクを大きく抑えたいという意向がわかります。

リスクはコントロールできているものの、リターンがあまり良くないという点については、後ほどより詳しく確認したいと思います。

投資信託の投資戦略

投資戦略については、リスク性資産と安全資産に対して、日々の相場環境を分析しながら、下落の危険性が高まった場合には、安全資産やリスク資産、現金等の比率を調整するとしています。

上の事例をご覧ください。ある時点の基本配分比率として、安定資産が約70%、リスク資産が約30%という状況だったとします。ただ、リスク性資産が下落する局面においては、安全資産はそのままに現預金等に切り替えるなどの対策を行ったり、現預金に全てを切り替えてリスク資産だけを残したりと、全体のバランスを見て調整しています。

安定資産やリスク資産の価格下落局面においては、現預金をほとんどにしてディフェンス能力を高めています。4%のリスクを目指してコントロールする、リスクのコントロールを重視したファンドだと見えてきました。

投資の際にリスクが怖いと考える方にとっては期待できるファンドかもしれませんが、リスクを回避するばかりに注力するとリターンが低くなるとすれば、そもそも運用を行う意義としてどうなのかということにもなりますから、より詳しく中身を見ていきたいと思います。

パフォーマンス分析

パフォーマンス

安定したファンドということで、バランスの取り方を再度確認したいと思います。一般的にバランスファンドは資産ごとの基本配分が決まっており、それを忠実に守るポートフォリオを構築することが多いです。ただ、このファンドは資産の配分比率をかなり大幅に変更していることがわかります。

資産配分の推移を表した下の図、ピンクがリスク資産、青色が安定資産、黄色が現預金等です。2023年の1月から2024年の1月の1年間においても、リスク資産はある程度一定ですが、現預金が増えるとき、安全資産が増えるときがあり、配分比率をかなり変えていることがわかります。

大胆に資産の配分比率を変更することで、リスクを抑えた運用を行っています。目標としている年間の変動率4%以下は、2012年の設定以来、約11年間達成し続けていますから、かなりリスクを抑えた運用ができていると言えます。

リスクをコントロールする能力が高いとわかったうえで、運用のパフォーマンスを見てみましょう。残念ながらリターンは芳しくありません。設定来では約1%とかろうじてプラスですが、過去5年間はほとんどマイナスで推移しています。

クイックの分類で見た場合、過去3年間においても、バランスファンドがほぼ横ばいで推移する中、再分配後のファンドの推移を見ると下がっています。1年間はどうにか踏ん張っていますが、下落トレンドが続いている状況にあります。

理由としては、リスクを抑えるために現預金を増やしたり、安全資産を増やしたりする機動的な資産配分により、株式などの値上がりを逃す原因になっている可能性があります。また、世界的な金利上昇によって安全資産と定義していた債券が大きく値下がりしていることで、意図とは異なる結果になっていると考えられます。

いくらリスクを押さえた運用をしていても、リターンが上がらなければ運用する意味はありません。投資方針自体は非常に魅力的に感じますが、多くの債券ファンドやバランスファンドが苦戦しているように、このファンドも抜け出すような成果を挙げているとは確認できません。

4000億円以上の残高があり、日本でもトップクラスの残高を誇るバランスファンドですが、期待に答えていない状況にあると言えるでしょう。

相場が不安定になり、リスクが高まったときは安定資産を増やし、相場が安定すればリスク資産を増やすという比率の変更を行ってきましたが、それが裏目に出ていると言っても過言ではないでしょう。結果的には相場の後追いになってしまっているファンドと言えます。機動的な動きがうまく効果を発揮すればパフォーマンスが好転することを期待できますが、現在の状況を見るとうまくいっていません。投資するには少し厳しいファンドではないかと思います。

資金流出入

結果として、22年、23年の2年間で資金の流出が非常に増えています。

評価

残念ながら評価は1とさせていただきました。現時点ではリスクが低い以外に魅力がないと思います。バランスファンドは、初めて投資を行うため、自分自身で配分割合を考えることなくファンドマネージャーに任せたいと考える方も多いと思います。

運用の中でリスクが大きくなるようなファンドは避けたいということで、リスクを下げたものに期待するかと思いますが、リスクが低いからといってリターンが低くていいわけではありません。同じカテゴリーの中でもあまり良い成果が出ていないことから、リスクを抑えた他のバランスファンドがあるかもしれないという視点で見ていただければと思います。

本日はリスクを抑えたバランスファンドをご紹介しました。同じカテゴリーの中で2番目の純資産総額ということで非常に名の売れたファンドですが、最近の動きを見ると、比率の配分変更が裏目に出ているファンドと言えると思います。

リスクを抑えたバランスファンドを探している方は、ぜひ比較して検討していただければと思います。

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