本日は『DIAM 割安日本株ファンド』という、日本の割安株に投資するファンドを分析します。これまでは、非常に評判が良く、高パフォーマンスが続いていますが、今後もパフォーマンスが続くかどうかを分析したいと思います。最後までご覧いただければ幸いです。
お願い
はじめにお願いです。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資信託はランダムに抽出しており、運用会社、販売会社との間に業務提携等はございません。中立的な立場からの分析を行います。
投資信託概要
概要
『DIAM 割安日本株ファンド』は、アセットマネジメントOneが運用しています。NISAの成長枠投資が可能で、信託報酬は1.27%、純資産総額は248億円です。
名前にある通り、割安な日本株に投資しています。割安の定義は、PER、PBR、配当利回りなどの定量的な指標です。非常にオーソドックスなスタイルであり、他のファンドとどう違いを出しているのでしょうか。
時価総額などの規模感は特に定めておらず、時期に応じて銘柄を入れ替えています。時価総額の大小にはこだわっておらず、サイズ・リスクは積極的に取りにいっています。
チェックポイントです。割安投資の成果が出ているか、時価総額の変更が運用パフォーマンスにどう結びついているのかをしっかり確認したいと思います。
簡易パフォーマンスを見ると、トータルリターンでは、10年、5年、1年で同カテゴリーを上回っています。3年では若干下回っていますが、総じてパフォーマンスはいいことがわかります。
標準偏差はマイナスです。同カテゴリーのファンドよりもリスクが低いですから、リスクが比較的低く、パフォーマンスは同カテゴリー並みですが、細かく分析するとどうでしょうか。
投資戦略
割安に投資するという、非常に一般的なストロングスタイルでの運用です。独自性はありませんが、株価のバリエーションに着目しつつ、ファンダメンタルズも考慮する、アクティブファンドのベースとなるファンドです。
銘柄戦略
具体的な選定銘柄です。2021年までは大型株中心のポートフォリオでしたが、それ以降は徐々に中小型株の比率を増やしています。直近の銘柄入れ替えを見ると、豊田通商、クレディセゾン、ニチアスなどを新規に組み入れている一方で、ディスコ、HOYA、マクニカホールディングスなどは全部売却しています。積極的な銘柄入れ替えを行っているイメージです。
上位10銘柄を見ると、三菱UFJ、日立、信越化学などの大型株が多く入っていることから、中小型株の比率が本当に増えているのか、との印象をお持ちになることでしょう。この戦略では、ポートフォリオの中心に割安な大型株を据え、サテライト部分に中小型株を加えることで、プラスアルファのリターンを狙っています。中心に大型株を配置することでリスクを抑えつつ、サテライトでリターンをプラスアルファすることを目指しているようです。
パフォーマンス分析
パフォーマンス
2021年までは日経平均とほぼ同じ動きをしており、あまり違いが出せていませんでした。しかし、その後のパフォーマンスは非常に好調で、ここ最近3年間は優れたパフォーマンスを示しています。世界株、TOPIXのバリュー、日経平均の全てを上回っています。過去5年も同様で、世界株、TOPIXのバリュー、日経平均の全てを上回っています。
過去3年間の動きを見ると、日経平均に対して30%以上上回っており、世界株平均をも上回るパフォーマンスを挙げています。
売買回転率は0.5程度と、売買はあまり頻繁には行っていません。ただ、先ほど見たように、相場環境に応じて時には大胆な銘柄の入れ替えを行っています。売買頻度は少ないながらも、銘柄を大きく入れ替えることで対応しています。
高い投資効率
次に、高い投資効率が特徴で、シャープレシオが安定的に高くなっています。好調だった過去3年間でのシャープレシオは1.8という非常に高い数字で、運用設定以来、1を安定的に超えた運用ができています。リスクを市場平均よりも低く抑えられているうえで、プラスアルファのリターンが得られていますから、中長期的に見ると非常に高いリターンが実現できるファンドと言えます。
好調な理由は、大型株と中小型株の比率をうまく組み合わせたポートフォリオにあると言えます。
単に割安株に投資する戦略では、市場全体の割安株の動向に左右され、ボラティリティが非常に高くなり、リスクをこれだけ低く抑えることはできません。ただ、このファンドは市場全体の割安株の動向を明らかに上回るパフォーマンスを出しています。
TOPIXバリューインデックスと比較しても、過去3年間で10%上回っていますから、ファンドのポートフォリオが非常にうまいと言えるでしょう。
また、同分類のファンドと比較したアルファを見ても、10年で1.22、4年で4.3と、最近は特に優れています。長期間にわたって一貫していいパフォーマンスを維持していることがわかります。
日本株全体の動向には影響を受けるものの、今後もリスクをコントロールしつつ、パフォーマンスをしっかりと残すことが期待できるファンドです。
パフォーマンス(設定来:12年)
設定来12年のパフォーマンスをご覧ください。DIAM割安日本株が青いチャート、TOPIXが緑のチャートです。12年間でTOPIXを159%オーバーパフォームしています。そこまで大きな差ではないと思われるかもしれませんが、コンスタントに上回っている状況から、非常に能力の高いファンドだと言えるでしょう。
資金流出入
最近は資金の流出が続いています。非常にスタンダードな運用スタイルで、派手さがない点が資金流出の原因となっている可能性がありますが、過去のパフォーマンスを見ると、この資金流出は少しもったいないと感じます。
評価
評価は4.5です。一見、地味に見える運用ですが、大型株と中型株の絶妙な配分で、長期間にわたり高パフォーマンスを実現している点がポイントです。
設定来、コロナショックを含めた様々な市場の変動を乗り越え、パフォーマンスを残していることから、優秀なファンドだと言えるのではないでしょうか。
本日は、王道スタイルのアクティブファンドを取り上げました。長期的に見ると安定感がありますが、派手さがないため資金流出が進んでいます。実際の実力を見ると、資金が流入超してもおかしくありません。他のアクティブファンドと比較してみたくなる投信でした。