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【三菱UFJ/マッコーリ・グローバル・インフラ債券ファンド「愛称:世界のいしずえ」】高い債券利回りのインフラ関連債券ファンド。長期保有に適したパフォーマンスか?【投資信託マラソン】

【三菱UFJ/マッコーリ・グローバル・インフラ債券ファンド「愛称:世界のいしずえ」】高い債券利回りのインフラ関連債券ファンド。長期保有に適したパフォーマンスか?【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、世界債券の投資信託、三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券F(愛称:世界のいしずえ)の運用手法とパフォーマンスを分析します。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成しています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。また、銘柄の選定はランダムに行っています。運用会社や販売会社との業務提携は一切ございません。あくまでも中立の立場での分析となります。

投資信託概要

概要

三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券F〈H無〉(愛称:世界のいしずえ)は、年1回決算であればNISA成長枠での投資が可能です。信託報酬が1.32%、純資産総額は82億円と低いですが、NISA対象外の毎月決算は1790億円です。それなりの規模感だと言えるでしょう。

こちらは米ドル建ての適格社債に投資を行う債券ファンドです。アメリカでソフトランディングの可能性が高まっている、という声が多くなっていますが、景気が減速しない、後退しないとなってくると、適格投資社債の価格は下がりにくくなります。

米国債に比べて高いクーポンがもらえるとなれば、適格社債に投資をしてもいいと考えられやすい環境下にあることから、インフラファンドに注目されている方が多くなっています。そのため、本日はこちらのファンドを取り上げました。

インフラ関連の、電気、ガス、通信・エネルギーなど企業社債に投資を行っています。世界経済が拡大するときに欠かせない、インフラ関連企業が発行している安全・安心な社債に投資しています。

投資する債券に関してはBBB-格相当ですから、適格社債のみに運用し、為替ヘッジなども行っていません。円安を取り込みながら、しっかりと高いクーポンを得ることを目的としたファンドになっています。

チェックポイント

チェックポイントです。

  1. 適格社債なので程よい信用リスクで高いパフォーマンスが期待できるか?
  2. インフラ債券へ投資を行うメリットは?
  3. インデックスファンドや他のアクティブファンドとの比較

の3点となります。

簡易パフォーマンスです。5年、3年、1年でもトータルリターンは同カテゴリーに比べてプラスで推移しています。同カテゴリー、世界の債券に比べても少しいいパフォーマンスを残していることがわかります。

標準偏差を見ても、ここ1年、3年ではマイナスです。5年だと少しプラスですが、リスクは世界標準並みとなっています。リスクは世界標準並みで、リターンが少し大きめということですから、ある程度社債の運用を行っている印象です。

投資戦略

世界経済が拡大していくには欠かせない、世界のインフラ企業が発行する米ドル建て社債に対して投資を行っています。とはいえ、信用リスクを取れる範囲を限定しており、ファンドの主要な投資先は投資適格格付けを持ったものとなります。ジャンク債と言われているものには投資を行っていません。

ある程度信用を取りながらリターンを追求するのですが、そこまで大きなリスクを取らない、というスタンスであることがわかってきました。

債券の投資にあたっては、ツールとしてネット証券でも買えるようになったことから、ここ最近は本当に個人の投資家でも買える方が増えています。

その中で、このファンドは、マクロ環境における金利動向の分析、発行している企業業績がキャッシュフロー的に債券を無事に償還できるかの分析、発行体の選別、金利、市場環境を踏まえたポートフォリオの構築を行っています。債券投資というと、投資単位が裸で投資する場合は高くなりますが、ファンドに投資する場合は非常に分散が効いていることが特徴です。ファンドに投資し、パフォーマンスが良ければ、個別投資よりも非常に期待が持てます。実際のパフォーマンスはどうなのでしょうか。

銘柄戦略

ファンドの特徴としては、デュレーションの長さということで、リスクの感応度を高く取っていることです。リターンを狙いに行っているところが特徴です。

ファンドの特徴としては、平均格付けがBBB-以上となっています。適格社債ということで平均利回りは5%程度、デュレーションは8.5年です。デュレーションは金利感応度を表しており、長期金利が上がる、下がるという動きをしたとき、ファンドがどれだけ大きく動くのかを示したものです。例えば、8年、10年の金利が1%動くようであれば、このファンドは8.5%ほど価格が上下すると、ざっくり考えていただければと思います。

数字が大きければ大きいほど、市場感応度は高くなります。このファンドは、他のファンドに比べるとデュレーションが長く取られていて、基本的には大きなリターンを狙っていることがファンドの特徴になっています。このファンドは値動きの金利が影響を受けやすいポートフォリオを組んでいることがわかりました。

ただ、ファンドの運用方針としては、デュレーションが長いからリスクが高いのかといえばそうではなく、選んだ個別銘柄の売買はあまり頻繁には行わず、長期で保有する方針です。一方、市場環境は変化するため、デュレーションの8.5年をある程度柔軟に変更しています。

個別銘柄の売買を頻繁に行わないと、銘柄の入れ替えは進みません。そこで債券の先物を利用し、金利上昇が予想されるときには価格の下落をなるべく少なくする、デュレーションを短くするため、債券で先物でコントロールしています。また、金利低下が予想される際にはデュレーションをあえて長く取り、下落のメリットを享受しようと、債券先物をうまく使い、デュレーションを長くしています。

現物としては債券をしっかりと保有していますが、うまくデュレーションを長くしたり短くしたりする、個人投資家では難しい、アクティブファンドらしい戦略をとっています。

このファンドは最近デュレーションを長くしているということで、今後の金利低下にベットするポートフォリオを組んでいることがわかりました。

ファンド・パフォーマンス

パフォーマンス

債券ファンドは、そもそも利回りを長い期間かけて積み上げることでパフォーマンスが良くなります。あと短い期間でパフォーマンスを見るというのは、少し難しい状況ではあります。ただ、このファンドの分析をしてみると、必ずしもいいパフォーマンスを残しているとは言えなさそうです。

米国債の値動きと、あまり変わりがありませんでした。赤いチャートがファンドの基準価格、円建てインデックスが黒いチャートですが、3年、5年のいずれにおいてもあまり変わりがありません。

今回は10年の米国債と、ファンドを比較していますが、あまり変わらないところに問題があります。社債は一般的に国債よりも利回りが高く、値動きが大きいです。ただ、不景気でない限りにおいては国債よりもパフォーマンスがいいものです。利回りが多い分、クーポンを積み上げていくことでパフォーマンスが上がりますし、景気が悪くなれば、信用が大きく毀損することで社債は価格が落ちがちですが、今はそういう状況にありません。その中でも国債とパフォーマンスが変わらないということは、あまり運用がうまくないのではないかと考えられます。

ただ、ここ最近は金利の変動が非常に激しかったため、債券ファンドにとって非常に難しい運用を迫られた時期もありました。

ただ、参考指標と言われるブルームバーグの米国債の総合インデックスをご覧ください。再投資を行ったものが赤いチャート、ブルームバーグがグレーですが、そこにもアンダーパフォームしていることがわかりますし、設定来でもファンド+34.4%に対して、参考指標は46.7%とアンダーパフォームしています。

米国債に対してもほぼ変わらず、総合インデックスと比べても負けているということは、あまり効果が得られていないと言えます。

上記の理由から、債券のアクティブファンドとしてはあまり投資をしても、強い効果が望めない、というパフォーマンスが見えてきました。

資金流出入

上記の状況にもかかわらず、資金の流入は増えています。いろいろな理由が考えられるのですが、債券のアクティブファンド、インフラに投資しているため、これから経済がソフトランディングするのであれば、過去のパフォーマンスはともかく、今後プラスになるのではと考えている方もいるかもしれません。

ただ、過去のパフォーマンスを見ている限りでは、特にこのファンドを選ばなくともいいのでは、という感覚を持ってしまいました。こういった資金の流入に比べて、少し違和感のある結果となっています。

評価

評価は2つ星です。現時点では、社債、インフラへの投資で、ある程度信用リスクを取っていることでクーポンが多めに出てくるものです。また、デュレーションのコントロールも行っており、8.5年のデュレーションに対しても長めに取るなど積極的に動いている割には、パフォーマンスにはあまり機能していないことから、この評価とさせていただきました。

本日はインフラ企業の社債に投資する世界債券ファンドを分析しました。デュレーションを長めにとり、しかも信用リスクを取って債券として非常に高いリターンを目指している方針が見えましたが、米国債、米国の総合インデックスと比べても、パフォーマンスが下回っている、あまり変わらないことを見ると、取っている信用リスク、デュレーションの長さなどのパフォーマンスが活かされていません。ぜひ他のものと比較して、検討いただければと思います。

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