本日は、ニッセイJPX日経400アクティブファンドを取り上げます。JPX日経400は、世界の投資家の投資目線に達した、効率性の高い企業400銘柄を中心に運用されています。そのJPX日経400をベンチマークにアクティブに運用しているファンドを、本日は分析します。
日本を代表するインデックスのアクティブ運用が、どういったパフォーマンスを残すのか。元々JPX日経400は非常に効率性が高い銘柄群です。そこをアクティブに運用するということは、非常に良いパフォーマンスを残すのではとの期待が持てます。
お願い
初めにお願いです。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推進は目的としていません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出されており、運用会社や販売会社との間に業務提携はございません。中立の立場から分析をお伝えします。
投資信託概要
概要
ニッセイJPX日経400アクティブファンドは、ニッセイ・アセット・マネジメントが運用を行っています。国内株式で、NISAの成長枠投資が可能です。信託報酬は1.58%。純資産総額は617億円で、中型のファンドと言えるでしょう。
今回取り上げた理由です。日本を代表するインデックスの1つであるJPX日経インデックス400をベンチマークとし、アクティブな運用を行い、上回るようなパフォーマンスを残すことを目指したファンドです。日本を代表するインデックスを上回ることができれば、預け入れ投信として期待ができるため、分析したいと考えました。
このファンドの投資方針は、インデックスの中からROEや営業利益の水準が高く、今後さらに改善が見込まれる銘柄を選定するというものです。選ばれた企業の中から、さらに厳選する方針です。
組み入れ銘柄は、JPX400銘柄に限定していませんが、ほとんどがJPX400の中から選ばれています。ただ、細かく見ると、銘柄数や比率などが全く異なっています。後ほど見ていきます。
徹底した調査分析を通じて、優れた経営効率と利益成長力を有し、株価の上昇が期待できる銘柄に投資厳選して投資しています。
チェックポイント
ファンドのチェックポイントです。中長期にわたって高い投資成果の獲得を実現できるか。長期的に安定した成果を出せるかを確認します。
簡易パフォーマンスです。同カテゴリーと比較して、ほぼ変わらずとなっています。リスクはある程度低く抑えられています。同カテゴリーに比べてリスクを抑えつつ、ある程度のプラスアルファのリターンが出ています。すごいパフォーマンスというわけではなく、安定的なパフォーマンスに見えますが、実際のところはどうでしょうか。
投資戦略
徹底した調査・分析を通じて、優れた経営効率と利益成長力を有し、株価の上昇が期待できる企業に投資を行う、まさに王道の企業分析を行った上で投資していることがわかります。
JPX400に含まれる構成銘柄と、同指数に今後取り込まれるであろう企業を青田買いする形で投資ユニバースとして取り上げ、そこから分析を行っています。ROEが非常に高水準であり、さらに成長が期待される銘柄を基準としつつ、バリエーション評価、流動性を含めて選定し、最終的には30~50銘柄に絞り込んでいます。JPX400自体も投資効率が高い中で、さらに効率の良い銘柄を探しています。
銘柄戦略
ファンドの構成銘柄数は40で、JPX400の400銘柄に比べると約10分の1となっています。かなり集中した投資が行われています。
比率を見ても、指数に準じる内容とはなっていません。例えば、ファンドでは電気機器が33.9%含まれていますが、ベンチマークでは17.9%とかなり割合が異なります。銀行業もベンチマークが6.3%に対して、ファンドは11.6%となっており、比率が大きく異なっています。アクティブファンドらしいですね。
400銘柄に対して40銘柄を選んでいます。そのため、1つ1つの銘柄に対する配分比率は高くなっています。例えばベンチマークのJPX400では日立製作所が1.9%ですが、このファンドでは7.5%と非常に高い配分になっています。三菱UFJもファンドでは7%で、ベンチマーク1.8%とかなり比率が異なることから、集中投資がされていることが確認できました。
ファンド・パフォーマンス
パフォーマンス
売買回転率をご覧ください。個別銘柄でも売買が機動的に行われており、売買回転率は年1倍程度です。リバランス程度しか行わない指数や、JPX400に比べても頻繁に売り買いが行われています。
例えば、ニデック、安川電機、ファナックといった大型株を全売却し、豊田通商を新規に組み入れるなど、かなり大胆な入れ替えが行っています。
ポートフォリオがJPXと大きく異なるため、パフォーマンスも異なりそうですが、実際には大きな差がなく、基本的には指数と連動している印象です。
右のチャートをご覧ください。上が5年比較、下が3年比較です。赤いチャートが基準価格で、JPXはオレンジ色です。オレンジに準じた動きで、プラスに推移している印象です。
銘柄の集中度合いは異なるものの、基本的には同じような動きをしながらプラスアルファを狙うために、売買回転率でコントロールしていることがわかりました。
パフォーマンスです。短期的な動きは、指標と類似しています。数ヶ月~1年、3年の単位ではパフォーマンスの差異はあまりありません。
中期的に見ると、指数を上回るパフォーマンスが出ています。ファンドが設定された2014年以降では、指数を50%近くオーバーパフォームしていますし、過去5年では10%近く指数を上回っています。中長期で見ると、指数に準じつつも売買の回転をしっかり行うことが、プラスに繋がっているとわかりました。
その分、リスクが高いかと言えば、そうではありません。市場全体と同じような15%程度のリスクボラティリティです。効率性を示すシャープレシオも1前後で推移するなど、リターン以外にも良好な数字が確認できました。
ベンチマークは約400銘柄ですが、ファンドの組み入れは約10分の1の40銘柄。売買頻度や比率も大きくなっています。
このような運用であるにもかかわらず、指標に勝っており、かつ短期的にはしっかりと指数に連動してパフォーマンスをあげていることは、かなり優れています。
過去のパフォーマンスを見る限り、JPXや類似指標と連動するインデックスファンドにも勝ち続けています。インデックスファンドを十分に上回るパフォーマンスを残せるファンドと言えます。
なるべくインデックスに近い動きをしつつ、それを上回る投資成果を求める方、あるいは保守的でさらにプラスアルファを狙いたい投資家にはぴったりのアクティブファンドです。
資金流出入
安定して高いパフォーマンスが注目されているのでしょうか。資金流入が増えています。
評価
評価は3.5です。JPX日経400を上回るアクティブファンドということで、4~4.5程度との印象を持たれる方も多いかと思います。ただ、JPX400という指標自体が約10年程度の歴史ですから、日経平均やTOPIXに比べるとまだまだ地位を確立していない印象です。
ROEが高い企業を選んでおり、資金の効率が高い企業を選んでいますから、今後ベンチマークとして地位が向上するようであれば、このファンドはさらに良いパフォーマンスをあげてくるでしょう。JPX400という指標の地位の向上と共に、ファンドの地位も上がっていく可能性があります。
本日は、JPX400という一部の投資家には馴染みが薄い可能性のある指標をアクティブに運用するファンドを分析しました。JPX400は肝いりでスタートし、海外投資家から資金が入ることを意図して作られた指標です。日本株に投資する際、JPX400をベンチマークとし、しっかりと上回るファンドであれば、より注目を集める可能性があります。ぜひ今後もチェックしていただければと思います。