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【朝日Nvestグローバル・バリュー株オープン】長期と短期のパフォーマンスのどちらが本当の実力か?【投資信託マラソン】

【朝日Nvestグローバル・バリュー株オープン】長期と短期のパフォーマンスのどちらが本当の実力か?【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、朝日Nvestグローバル・バリュー株オープンです。世界中の株式に対して、バリュー株を発掘するファンドを分析します。

昔からあるこのファンドは、2000年前半以降、個人投資家の間で人気の高い投資信託です。長期的なパフォーマンスを見ると非常に良好ですが、短期的にはそこまで良くありません。どちらが実力を反映した本当のパフォーマンスなのでしょうか。ご興味のある方も多いと思います。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事は情報提供を目的として作成されています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出しています。運用会社や販売会社と当社の間に業務提携は一切ございません。中立の立場でお伝えします。

投資信託概要

概要

朝日Nvestグローバル・バリュー株オープンは、朝日ライフアセットマネジメントが運用している投資信託です。国際株に投資するファンドで、NISA成長投資枠での投資が可能です。信託報酬は1.98%、純資産総額は857億円です。

このファンドは、グローバル株式を対象にバリュー株を厳選して投資を行うアクティブファンドです。このファンドといえば、バリュー株というようなバリュー株の象徴的で知名度の高いファンドです。実質的な運用はアメリカのバリュー株専門の運用会社、ハリス・アソシエイツ社が行っています。独自の分析力で知られていますのでパフォーマンスへの期待が膨らみます。余談ですが、以前、スナップオンツールズなど知る人ぞ知るバリュー銘柄を上位に組み入れるなどをとても印象的に残るファンドです。

運用スタイルですが、バリュー株投資であり、ある程度銘柄を厳選して集中投資を行っています。リバランスよりも銘柄の入れ替えを重視しています。購入した銘柄の細かい調整よりも大胆な銘柄入れ替えを行うことが特徴です。

バリュー株投資といっても様々な銘柄選出の手法がありますが、このファンドは個別銘柄選定においてボトムアップアプローチをしっかりと行っています。独自の分析手法が銘柄選定に繋がっている点に注目していきます。

さて、チェックポイントです。銘柄選定能力が気になります。また、長期的にパフォーマンスに結びついているか、確認していきます。

簡易パフォーマンスです。同じカテゴリーに対して、10年、5年、3年、1年の全ての期間で下回っています。ここ最近のパフォーマンスがあまり優れないことが見て取れます。

また、リスクは10年、5年で同カテゴリーを上回っています。にもかかわらずパフォーマンスがあまり良くないことを考えると、ここ最近のパフォーマンスは良くない可能性があります。しかし、この時点で判断を下すのではなく、全体をしっかりと見ていく必要があるでしょう。

投資戦略

バリュー株投資で評判が高く、知名度のあるハリス・アソシエイツが運用していることから、銘柄選定能力が高いと推測されます。

厳選投資を行う際には、世界の株の中からPER、PBRなどの指標を基本としながら、独自の投資アイデアを取り入れた分析を行っています。

定量分析や適正価格、定性的な評価などを加えています。定性評価においては企業、経営者の質を評価し、ブランド力、経営者の能力分析を加えることが、この会社の強みと言われています。

右のチャートをご覧ください。売却ターゲットは黄色、点線が購入ターゲットです。株式市場が大きく上下する中で、割安な状態で買い、本来の企業価値を実現すれば売却する方針です。目標を達成すればしっかりと銘柄を入れ替えることを、非常にアクティブに行っているファンドです。

銘柄戦略

時価評価ベースで比較すると、米国株が市場平均よりも少ない50%となっています。業種別では、銀行や保険などの金融業がかなり多く組み入れられています。以前は製造業が多く含まれていた印象がありますが、現在は金融業にシフトしていることがわかりました。グローバル株式に投資を行うファンドとしては30~50銘柄と比較的集中しています。徹底した個別分析を行った上で集中投資をしていることがわかりました。

売買の回転率は、年1程度であることから、あまり売買を繰り返していない印象です。しかし、実際には年間の倍率が1に対して、銘柄入れ替えが頻繁に行われています。通常、アクティブファンドはリバランスを定期的に行い、機動的に一部売却、買い増しを行います。それに加えて機動的な銘柄入れ替えを行うと、売買の回転率がかなり高くなる傾向があります。

ですが、このファンドはそうではありません。売買の回転率が1程度ですから、少し値上がりすれば一部売却し、下がっている銘柄に投資するリバランスを行っていると想定されますが、このファンドは異なります。年間で10銘柄以上の新規投資、全銘柄売却を行うなど銘柄入れ替えを激しく行っているにもかかわらず、売買の回転率が1となっています。つまり、リバランスはほとんど行わず、売却ターゲットに達するまで保有し、目標に達した時点で銘柄入れ替えを行う方針となります。

イメージとしては、購入した銘柄は値上がりしていても目標売却価格まで持ち続け、一定の株価になった瞬間に全売却しています。もちろん、その逆のパターンもあります。個別銘柄の選定を行い、上がった銘柄は売るという、出口戦略まで決めているファンドだとわかりました。

銘柄を見ると、金融銘柄が多い印象です。2番目にメルセデス・ベンツが入っていることなどから分かるように、他のファンドと異なり特徴的な銘柄選定を行っていることがわかります。月次報告書を見ても特徴的な銘柄選定が行われており、非常にユニークなファンドです。これがパフォーマンスにどう繋がっているのでしょうか。

ファンド・パフォーマンス

パフォーマンス

長期と短期のパフォーマンスが大きく異なり、評価が難しいところです。2000年の設定来のパフォーマンスは好調で、世界株平均を大きく上回る結果を出しています(左下図)。分配金を多く出すファンドですが、再投資した場合のチャート(青いチャート)を見ると、ベンチマークを大きく上回っていることがわかります。長期的には圧倒的なパフォーマンスを残していることが、このファンドの知名度の高さに繋がっています。

しかし、直近数年間ではあまり良い結果を出せていません。過去5年間では40%、過去3年間では30%ほど世界平均を下回っています(右図)。比較チャートを見ても、青いチャートの円建て世界株に対して、赤いチャートの基準価格が下回っており、大きく差を開けられています。背景には、全体相場的にバリュー株がグロース株よりも弱かったことがあります。

リスクは市場平均と同程度で、ここ最近のシャープレシオは0.7です。資金効率が悪く、リスクが高い中でリターンが低いことが、ファンドのパフォーマンスを徐々に下げる要因となっています。

過去には非常に良いパフォーマンスを示していたものの、直近5年間ではあまり良くない結果となっており、最近はやや力不足のファンドになっています。今後バリュー株が優位になれば、オーバーパフォーマンスする可能性がありますが、銘柄選定や入れ替えの戦術を考えると、長期投資でこそ、このファンドの良さは生かされると思います。

5年パフォーマンス

当ファンドが青いチャート、グローバル株式ファンドの円建て平均が緑のチャートです。ハイテク株を中心に大きく上昇した時期には、当ファンドはバリュー株ファンドですからやや劣っていましたが、例えば2022年にグローバル株式全体が大きく下げた際には横ばいとなっています。トータルで見ると、5年間でパフォーマンスは変わらずです。バリュー株の良さが出ているものの、ここ最近はグローバル株式ファンドと同程度となっています。

資金流出入

最近は資金の流出が目立っています。

評価

評価は2.5です。長期的には実績あるバリュー株の代名詞的な存在であったファンドですが、ここ最近のグロース株優位の状況において、グロース株のパフォーマンスについていける他のファンドもある中では、短期的なパフォーマンスがやや期待外れな印象です。ただし、銘柄選定能力あるからこそ過去の実績なので、長期で保有する方にとっては適したファンドとも言えます。ただ、短期的に成果を客観的に分析をするとどうしても評価が下がるため、2.5の評価とさせていただきました。

本日は、世界の株式市場の中からバリュー株に徹底的に投資を行うファンドを見てきました。2000年からスタートしたこのファンドは、2000年代前半には非常に注目を集めたファンドです。しかし、最近の運用成果はあまり芳しくありません。

徹底したバリュー株を発掘する今回のファンドは、グロース株優位ではないタイミングが来た際にしっかりと利益を積み上げることができると思います。長期で持てる方、バリュー株に投資したい方は、他のファンドと比較し、このファンドの優位性を分析した上で投資判断をしていただければと思います。

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