本日は、GSフューチャーテクノロジー(愛称:nextWIN)という、次世代を担うテクノロジー企業に投資を行うファンドを分析します。
テクノロジー企業の成長性が非常に高いことは、皆さんご存知だと思います。ここ最近は、NASDAQを中心に大きく上昇していた株式市場ですが、次のリーダーへの投資となれば、さらに上回るパフォーマンスが期待できるのではないでしょうか。そこで本日は、今後も高リターンが期待できるのか、ファンドが高リターンを実現できるのかを分析したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また投資信託はランダムに抽出しています。運用会社や販売会社と当社の間に業務提携は一切ございません。あくまでも中立な立場で分析を行います。
投資信託概要
概要
GSフューチャーテクノロジー(愛称:nextWIN)は、ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントが運用しています。世界株に投資を行い、NISA成長枠での投資が可能です。信託報酬は1.79%、純資産総額は2,188億円です。
特徴です。主にテクノロジーの活用、発展によって恩恵を受け、将来のリーダー企業になると期待される企業に株式投資を行います。テクノロジー、メディア、テレコミュニケーション、サービスなど特定のセクターに集中投資を行うことが特徴です。結果として、アメリカ株を中心に日本、台湾、香港などの企業に投資を行っていることがわかりました。
チェックポイントです。今後の成長が期待できる次世代のテクノロジー企業の銘柄選定をどう行っているか、そのパフォーマンスがどうかを見ていきたいと思います。
過去のパフォーマンスです。同カテゴリーに対して3年間でマイナス、1年間でプラスとなっていますが、そこまで大きなプラス、マイナスではありません。
標準偏差は同カテゴリーを上回っています。リスクを多めに取ってパフォーマンスに少しバラつきがあるとわかります。
投資戦略
テクノロジーの活用、発展により恩恵を受け、将来のリーダーになると期待される企業に投資しています。
将来のリーダーになると期待される企業とは、一定の市場シェアを獲得しつつも、海外展開や新規事業によりさらに成長余地がある企業、革新的技術を持ち、社会に大きな影響を与えることが期待される企業です。一定の市場シェアを持ちつつも、海外展開、新規事業を行い、さらに技術的な革新を持っている企業ですから、当然ながら成長が期待できそうです。
テクノロジー企業といえば、これまでは主に北米企業が牽引してきましたが、アジア、欧州、新興国でも将来のテクノロジー企業が誕生しています。グローバルに投資していますので、これから社会構造が変わり、アメリカ以外のテクノロジー企業が出現してもカバーができそうです。
銘柄の選定ポイントです。強力なビジネス・フランチャイズビジネス、優秀な経営陣、優れた長期見通しがあるかといったファンダメンタルズ分析を行い、運用を行っています。
ファンドの運用としては、日本を含む世界の企業から次世代のリーダーと期待される銘柄を選び、経営陣とのミーティング、業績の収益モデル分析を通じたファンダメンタルズ分析を行います。チームの投資見解を反映して50~70銘柄からなるポートフォリオを構築し、継続的に業績をモニターしながらリバランスや入れ替えを行います。
銘柄戦略
組み入れ銘柄は約65銘柄で、79%が情報技術セクターとなっています。比較的大型株が多くなっていますが、ポートフォリオの3分の1は中小型株に投資しています。しかし、米国を代表する超大型テック企業には投資を行っていないことが1つの特徴です。NASDAQ、S&P500と比較しても、そうした銘柄を含まないことにファンドの独自性があります。
将来の市場を牽引する可能性のある銘柄を選定していると、改めて確認できます。そのため組み入れ銘柄の中には、聞いたことがない銘柄も含まれているかもしれません。
ポートフォリオの特徴としては、他のファンドや市場の時価総額と比べ、少し変わった個別銘柄を組み入れていることがわかります。例えば組み入れ上位の銘柄にはKLAコーポレーションやマーベル、マイクロン、モトローラ・ソリューションズ、データドッグなど、やや特徴的な銘柄が並んでいます。次世代を担う可能性がある企業が含まれており、非常にユニークな選択となっています。
他にもNASDAQの時価総額上位に入らない企業に投資していることから、独自の技術や販路を持つ企業を個別に選定している様子です。とはいえ、超高成長株と呼ばれる高リスク銘柄が入っているわけではなく、比較的業績の安定した企業の組み入れが多いです。
ファンドパフォーマンス
パフォーマンス
短期の値動きが激しくなっています。インデックス対比で良いときと悪いときで差が出ています。例えば、設定から2021年末にかけてはかなり好調でした。世界株平均と比較しても、S&P500に対して40%~50%オーバーパフォームしていました。
しかし、過去3年間のパフォーマンスを見ると、S&P500や世界株と比べて大きくアンダーパフォームしています。世界株で50%、S&P500で60%以上アンダーパフォームしています。値動きがやや大きめ、あるいはかなり大きいと言えるでしょう。リスクも年24%程度と比較的大きな数値となっています。
設定来の動きで見れば、値動きが大きいものの現時点で市場平均と比べてリターンが得られていません。シャープレシオが0.2と、資金の効率が非常に悪くなっています。
設定からまだ数年しか経っていないため、断定的な判断は難しいですが、現時点においてはファンドの運用結果が良いとは言えません。
組み入れ銘柄の一部が、ファンドのコンセプト通りに市場を席巻する銘柄に化ける可能性も十分にあります。その場合、ファンドとしては大きなリターンが得られるでしょう。
ご自身で銘柄を発掘する個別投資ではなく、ファンドに任せたい投資家にとっては、ややリスクが高いものの投資対象となり得ます。S&P500やNASDAQなど指標を持っている方にとっては、こうしたファンドを併せ持つことでリスクの分散が可能となります。その意味では、他との組み合わせ、もしくは目的を持った投資であれば検討の余地があるかもしれません。
資金流出入
資金の流出が続いています。リスク管理の観点からか、ネットでは購入できず、対面でのみ購入可能という制約があります。パフォーマンスもさることながら、販売方法も影響して流出している印象です。
評価
評価は2です。パフォーマンスから見ると2、もしくは1.5です。ただし、有名な大型銘柄ではなく、自分の代わりにテクノロジー銘柄を発掘してほしい方にとっては検討の余地があります。指数に連動するファンドを既に持っており、指標に対して相関が若干低い銘柄を持つテクノロジー企業に投資するファンドを探す方にとっては価値があるかもしれません。そのため星は2つとさせていただきました。今後銘柄選定の力が発揮され、パフォーマンスが安定してくれば、評価が上がる可能性もあります。