先日いただきました不動産の相続についてご質問です。
ご相談者のご家族は、父、母、兄、私、妹の5人家族です。 お父様の名義で、収益不動産を2棟保有しています。お父様が先日80歳を迎えたので、この不動産を含めてどのように相続していくかご家族でお話し合いをしましたが、結論に至らなかったようです。
ご友人に相談したところ、無難に2棟ともお父様以外の4名の共有名義にするのはどうか、といわれましたが、これは正しい対策なのかといったご相談内容でした。
ちなみに、1棟は3億円程度、1棟は8000万円程度です。これ以外にも自宅と、預金が1億円ほどあるとお聞きしました。
共有名義
相続財産を親族で均等に分けるという点では、よく共有名義にした方がよいと思われている方も多いと思います。
しかし、共有の場合、売却の際に、全員の同意を得られなければ売却できない点があるのとそのまま保有し続け所有者が子供の代になった際に、それぞれ家族が増えたりすることで利害関係者が増えるのでもめごとの原因になりますのでお勧めできません。
以上のようにご回答申し上げると、 その方は、「勝手に共存共栄できそうだとイメージしていましたが、 注意すべきことがあることがよくわかりました。 やはり意見は色々な専門家に聞いてみるもんだと思いました。 ありがとうございます。 さて、共有を避けるべきとなると、ますます悩みが出てきます。具体的にはどうすべきかとか案などはありますでしょうか? 現金は4等分できるにしても、不動産はどう配分したらいいのでしょうか? 」
このような質問が追加でいただきました。
不動産の配分方法
具体的には、すべて売却をして、現金化してから4人分にわける方法がわかりやすい方法です。
この方法の場合は、売却際の譲渡所得がかかるため、所得税の納税に気をつけなければなりません。
物件を売却せず、物件2棟を2人がそれぞれ個々に取得し、不動産を取得していない相続人は不動産に代わるものとして、現金などを不動産を相続で取得した者から受け取る代償分割という方法があります。この方法により、均等に財産をわけるということもできます。
また、共有とは違う形になりますが、家族信託(民事信託)をして、信託受益権をそれぞれが持つという方法もあります。
この場合、信託の受託者に管理処分権があれば、受益者の全員の同意がなくても物件の受託者が売却をすることができます。
まとめ
相続財産の共有名義は揉め事の原因になることがあります。慎重に相談をしながら進めてください。