半導体は現代社会を支える重要な基盤技術であり、スマートフォン、パソコン、自動車などさまざまな分野で使用されています。この半導体を製造するには、高度な技術が結集した専用の装置や部品が不可欠です。本稿では、半導体製造装置のメーカーと、それを構成する部品を供給するメーカーに注目し、それぞれの役割、業績の動向、そして投資のポイントについて詳しく解説します。
半導体製造装置メーカーの役割と主要企業
- ASML(オランダ)
- 東京エレクトロン(8035)
- SCREENホールディングス(7735)
- レーザーテック(6920)
半導体製造装置メーカーは、半導体の製造工程に必要な様々な装置を開発・製造しています。露光装置、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置など、各工程に特化した装置を提供することで、半導体メーカーの生産性向上に貢献しているのです。
この分野では、オランダのASMLが露光装置で世界トップのシェアを誇ります。日本勢では東京エレクトロンとSCREENホールディングスが、エッチング装置や洗浄装置などで高い競争力を持っています。
また、レーザーテックは半導体の検査装置で独自の地位を築いており、2023年度の上半期の売上高と利益は過去最高を更新しています。
装置を構成する部品メーカーの重要性
- アルバック(6728)
- SMC(6273)
- THK(6481)
- ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)
半導体製造装置は、高度な技術の結晶ともいえる精密機器です。その性能と信頼性は、装置を構成する部品の品質に大きく左右されます。半導体製造装置メーカーは、高い技術力を持つ部品メーカーと緊密に連携することで、最先端の装置開発を実現しているのです。
例えば、真空ポンプや真空バルブ、ロボットアームなどの部品は、半導体製造装置の性能を左右する重要なコンポーネントです。これらの分野では、アルバック、SMC 、THK 、ハーモニック・ドライブ・ システムズなどの日本企業が高いシェアを誇っています。彼らの高品質な部品が、世界の半導体製造を支えているのです。
装置・部品メーカーの業績動向と投資のポイント
2022年から2023年は半導体市況の調整局面を受けて、半導体製造装置メーカーの業績にも陰りが見られました。2023年の半導体製造装置の世界販売額は、前年比6.1%減の1,000億ドルにとどまる見通しです。
しかし、2024年以降は再び市場の拡大が見込まれています。米国や欧州、日本などで大規模な半導体工場の建設が相次いでおり、2025年には半導体製造装置およびFPD製造装置の需要が過去最高に達すると予測されているからです。また、AIやIoT、自動車の電動化などを背景に、半導体需要の中長期的な拡大トレンドに変わりはありません。
投資家としては、この需要拡大の恩恵を最も受けられる企業を見極めることが重要です。装置メーカーでは、最先端の技術を持つASMLや、成長分野に強みを発揮するレーザーテックなどが有望でしょう。部品メーカーでは、真空技術や精密位置決め技術など、半導体製造に不可欠な分野で競争力を持つ企業に注目です。
ただ、業績の振れ幅が大きい半導体業界では、株価変動リスクに注意が必要です。長期的な視点を持ち、企業の技術力や競争優位性を見極めながら、分散投資を心がけるようにしてください。
まとめ
半導体製造を支える装置と部品。その重要性は今後ますます高まっていくはずです。日本企業には、培ってきた高い技術力を武器に、世界の半導体産業の発展を牽引していくことが期待されます。