【第6回】半導体銘柄への投資戦略〜半導体を支える材料産業~日本企業の強みと投資の着眼点

【第6回】半導体銘柄への投資戦略〜半導体を支える材料産業~日本企業の強みと投資の着眼点

半導体は現代社会を支える重要な基盤技術であり、スマートフォンやパソコン、自動車など幅広い分野で使用されています。その半導体の製造には、高純度のシリコンウェーハをはじめ、フォトレジストや特殊ガス、化学薬品など、様々な材料が不可欠です。本稿では、半導体製造を支える材料産業に焦点を当て、日本企業の強みと投資の着眼点について探っていきます。

シリコンウェーハの役割と製造方法

  • 信越化学工業(4063)
  • SUMCO(3436) 

半導体の基板となるシリコンウェーハは、半導体製造の出発点ともいえる重要な材料です。シリコンウェーハは、高純度の多結晶シリコンを溶融し、単結晶インゴットを作製した後、薄く切断・研磨して製造されます。この分野では、信越化学工業とSUMCOが世界トップクラスのシェアを誇っています。両社とも、300mmウェーハの生産能力を増強するなど、最先端の半導体需要に対応した投資を積極的に行っています。

出典:SUMCO

フォトレジスト、ガス、化学薬品などの化学材料

  • JSR(4185)
  • 東京応化工業(4186)
  • エア・ウォーター(4088)

半導体の微細化が進むにつれ、フォトレジストや特殊ガス、化学薬品など、高品質な化学材料の重要性が増しています。フォトレジストは、半導体の回路パターンを基板上に形成するために使用される感光性材料です。この分野では、JSRと東京応化工業が高いシェアを持っています。ただ、JSRは産業革新投資機構のTOB(株式公開買い付け)により非上場化が決定しており、東京応化工業への資金シフトがあるかどうかに注目です。

また、半導体製造に使用される特殊ガスや化学薬品は、高純度と安定供給が求められます。エア・ウォーターなどの日本企業が、この分野で強みを発揮しています。

リードフレーム、ボンディングワイヤなどのその他材料

  • 新光電気工業(6967)

半導体チップを外部と接続するためのリードフレームや、チップ内の配線に使われるボンディングワイヤなども、半導体製造に欠かせない材料です。リードフレームでは、新光電気工業が高いシェアを持っています。

材料メーカーの動向と投資の着眼点

2022年から2023年にかけて、半導体市況の調整局面を受けて、材料メーカーの業績にも一時的な影響が見られました。しかし、2024年以降は再び市場の拡大が見込まれています。米国や欧州、日本などで大規模な半導体工場の建設が相次いでおり、材料需要の中長期的な拡大トレンドに変わりはありません。 重要なのは、需要拡大の恩恵を受ける企業を見極めることです。たとえば、シリコンウェーハの分野では、300mmウェーハの生産能力を増強している信越化学工業やSUMCOが有望です。また、フォトレジストの分野では、最先端技術を保有する東京応化工業が注目されています。さらに、特殊ガスや化学薬品の分野では、安定した供給体制と高品質な製品を提供するエア・ウォーターも見逃せません。

また、材料メーカーは、顧客である半導体メーカーとの緊密な関係構築が欠かせません。半導体の微細化・高性能化に対応した材料開発や、安定供給体制の強化など、顧客ニーズを先取りした取り組みを進められるかどうかも、重要な投資の判断材料となるでしょう。

半導体を支える材料産業。日本企業は、シリコンウェーハをはじめ、多くの分野で世界をリードしています。AIやIoT、自動車の電動化などによる半導体需要の拡大を追い風に、これらの企業がさらなる成長を遂げていくことが期待されます。材料メーカーの技術力や顧客対応力を見極めながら、中長期的な視点で臨んでいきたいものです。

<< 【第5回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体製造に欠かせない装置と部品『装置・部品メーカーの業績動向と投資のポイント』〜

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

【第7回】半導体銘柄への投資戦略 〜ロジックICとメモリIC、ファウンドリーの役割、市場動向と有望企業〜

【第7回】半導体銘柄への投資戦略 〜ロジックICとメモリIC、ファウンドリーの役割、市場動向と有望企業〜

半導体は現代社会を支える重要な電子部品であり、その種類と用途は多岐にわたります。今回は、半導体の中でも特に重要 …

【第5回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体製造に欠かせない装置と部品『装置・部品メーカーの業績動向と投資のポイント』〜

【第5回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体製造に欠かせない装置と部品『装置・部品メーカーの業績動向と投資のポイント』〜

半導体は現代社会を支える重要な基盤技術であり、スマートフォン、パソコン、自動車などさまざまな分野で使用されてい …

インドへ世界が熱視線、株式市場はバブルか?それとも持続的成長か?

インドへ世界が熱視線、株式市場はバブルか?それとも持続的成長か?

インド株式市場は、世界の投資家から大きな注目を集めています。若い労働人口の増加と旺盛な消費に支えられた力強い経 …

【米国株】‌‌好決算で株価好調も留意すべきポイント【5/7 マーケット見通し】

【米国株】‌‌好決算で株価好調も留意すべきポイント【5/7 マーケット見通し】

米国株の決算発表では好決算が続き、株価も好調に推移しています。先週、ナスダックは1.43%、ダウは1.14%、 …

【第4回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体の製造工程②後工程:日本企業はリードを保ち成長できるのか?今後の展望〜

【第4回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体の製造工程②後工程:日本企業はリードを保ち成長できるのか?今後の展望〜

半導体製造の工程は、ウェーハ上に電子回路を形成する「前工程」と、完成したウェーハを個々のチップに分割し、外部と …

日本株の浮沈を握る決算シーズン到来!注目セクターはココだ!

日本株の浮沈を握る決算シーズン到来!注目セクターはココだ!

日本株の浮沈のカギを握る決算発表シーズンが始まりました。歴史的な賃上げと円安というコストアップ要因が企業にどの …

富裕層が資産運用で一番大切にしていること

富裕層が資産運用で一番大切にしていること

資産運用においては、金額に限らずマイナスになるのは、誰でも避けたいものです。ただし、資産の額が大きくなればなる …

【第3回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体の製造工程①前工程。日本企業の将来は?今後の展望〜

【第3回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体の製造工程①前工程。日本企業の将来は?今後の展望〜

半導体は現代社会のあらゆる分野で重要な役割を果たしており、その複雑かつ高度な製造工程は、現代のテクノロジーの基 …

米国決算シーズンの前半を振り返り 〜今後、想定しておくべき市場展開について〜

米国決算シーズンの前半を振り返り 〜今後、想定しておくべき市場展開について〜

今週の米国の主要企業の決算発表を踏まえて、今後の米国株式市場の見通しについて解説します。 [ 目次 ]1 &n …

グロース株急落!今買うべきか、それとも待つべきか?

グロース株急落!今買うべきか、それとも待つべきか?

東証グロース市場250指数(グロース250)が年初来安値を更新するなど、グロース株の下落が目立っています。4月 …

【第1回】半導体銘柄への投資戦略  〜 半導体が切り拓く未来と投資機会 〜

【第1回】半導体銘柄への投資戦略 〜 半導体が切り拓く未来と投資機会 〜

近年、世界の株式市場の牽引役は間違いなく半導体企業でした。ただ、全ての半導体企業に対して広がった成長神話は、こ …

【第2回】半導体銘柄への投資戦略  〜 半導体業界の概要と市場動向 〜

【第2回】半導体銘柄への投資戦略 〜 半導体業界の概要と市場動向 〜

今回は、半導体業界を理解するために業界の概要と市場動向を見ていきます。 [ 目次 ]1 半導体業界の概要と市場 …

日本企業を動かすアクティビストの台頭 – アクティビストが狙う銘柄の特徴と対策

日本企業を動かすアクティビストの台頭 – アクティビストが狙う銘柄の特徴と対策

近年、日本企業の株主構成が変化し、外国人投資家の保有比率が増加傾向にある中で、企業に積極的に意見を述べるアクテ …

日米金利差が招く円安リスク〜日本経済への影響と日銀の舵取り〜 今後の見通しと注目ポイント

日米金利差が招く円安リスク〜日本経済への影響と日銀の舵取り〜 今後の見通しと注目ポイント

1990年6月以来、34年ぶりの1ドル=154円台に到達した力強い動きが続く米ドル円の今後の見通しは? [ 目 …

原油価格の高騰がインフレ再燃の引き金に?米国経済への影響は

原油価格の高騰がインフレ再燃の引き金に?米国経済への影響は

原油価格が再び上昇傾向にあり、米国を中心にインフレ再燃への懸念が高まっています。2022年後半から下落傾向にあ …

おすすめ記事