半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)は2024年5月22日、2025年度第1四半期(2024年1月30日〜4月28日)の決算を発表しました。人工知能(AI)関連の需要急増を背景に、売上高、利益ともに過去最高を更新する内容でした。
今回は、エヌビディアの直近の決算内容を詳しく解説するとともに、同社の事業概要や今後の見通しについても考察していきます。投資初心者の方にもわかりやすく、エヌビディアの魅力をお伝えします。
[ 目次 ]
売上高、純利益ともに前年同期を大幅に上回り、四半期ベースでの過去最高を更新しました。特にAI関連事業を担うデータセンター向け売上高は226億ドルと、前四半期比で23%増、前年同期比で427%増となりました。
エヌビディアは1993年創業の米国ファブレス半導体メーカーです。当初はゲーム用グラフィックス処理に強みを持っていましたが、近年はAIやディープラーニングの分野でも注目を集めています。
現在の主力事業は2つのセグメントに分かれています。
1.コンピューティング&ネットワーキング
データセンター向けのGPU、DPU、CPUなどを提供。AI、機械学習、クラウドコンピューティング、自動運転などに利用されています。
2.グラフィックス
エヌビディアのGeForce GPUは主にゲーミング用途向けに開発された製品で、高速な描写が求められるゲームやVR、3Dグラフィックスなどに利用されています。
エヌビディアは、GPUを中心とした並列コンピューティング技術で、従来のCPUでは困難だった大規模な計算を高速に処理することを可能にしました。ゲーミングからAI、自動運転まで、幅広い分野でイノベーションを起こしている企業です。
エヌビディア株は長期的に上昇トレンドにあり、特に2023年以降はAIブームを背景に急ピッチで上昇しています。2024年5月時点の株価は1,000ドル前後で推移しており、時価総額は約2.6兆ドルに達しています。
これは米国の時価総額ランキングでも上位に入る規模であり、エヌビディアはAI分野における圧倒的な存在感を示しているといえるでしょう。
米国株時価総額ランキング(2024年5月25日時点)
エヌビディアは第2四半期の売上高見通しを280億ドル前後としており、引き続き力強い成長が期待されています。また、1対10の株式分割と、四半期配当を150%増の1株当たり10セントにすることも発表しており、AI需要の拡大を追い風に、同社の株価は当面堅調に推移すると予想されます。また、決算ガイダンスでは、AIコンピューティングへの投資が依然旺盛であることを示し、フアンCEOは「次の産業革命が始まった」と述べ投資家に今後の期待を伝えました。
ただ、半導体業界では技術革新のスピードが速く、競合他社の動向にも目が離せません。エヌビディアは現時点ではAI分野で優位に立っていますが、油断は禁物です。同社の技術力や競争優位性が今後も維持されるかどうかを見極めていく必要があります。
エヌビディアの株式分割は今回で5回目になります。6月の分割をきっかけにダウ工業株30種平均に採用されるといった市場観測が出ており、米国の有力Webサイトによれば、入替候補は、インテル、シスコシステムズ、IBMが取り沙汰されており、需給の変化が株式市場に影響を与えることが予想されています。
また、以下のチャートのように、NASDAQ/ダウ工業30種平均、いわゆるND倍率が高値水準を更新中です。しかし、NVIDIAの決算後は、NVIDIAのみでSOX指数を支える日も多く、一強で高値が維持されている可能性が指摘されています。複数銘柄で相場を牽引するケースはありますが、1銘柄で相場を牽引するケースは稀であるため、この反動がどのような形で出てくるのか要注意です。
エヌビディアの第1四半期決算は、AI需要の急拡大を背景に過去最高の業績となりました。同社はAI分野における世界的なリーディングカンパニーへと成長を遂げており、今後も力強い業績が期待されています。
ただし、競合リスクには注意が必要です。エヌビディア株への投資を検討する際は、業績動向だけでなく、幅広い視点からの分析が欠かせません。
AIの可能性は計り知れません。エヌビディアはその可能性を現実のビジネスに変える重要な役割を担っています。同社の動向は、AIや半導体業界のみならず、世界経済の未来を占う上でも注目に値するでしょう。
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