エヌビディアが驚異的な躍進を遂げ、時価総額で一時アップルを超えたというニュースが話題になっています。さらに、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)も過去最高値を更新し、米国の半導体業界の動向を示す重要な指標として、日本株にも大きな影響を与えています。この記事では、SOX指数の最新動向と日本株への影響について詳しく解説します。
SOX指数とは?
SOX指数は、米国の主要な半導体関連企業30社の株価を基に算出される指数です。1993年12月1日を基準値100として、時価総額加重平均で測定されます。同指数を追うことで、米国の半導体業界の状態が把握可能です。
一般的に、半導体業界が好調であれば、全体的な景気も良好と判断できます。また、SOX指数は日本株にも影響を及ぼします。日本の半導体関連企業の株価動向も、同指数の動きに敏感に反応するため、日本の投資家からも注目されているのです。
尚、SOX指数の各銘柄の構成比率は時価総額を基準として決められますが、ウェートキャップが設けられています。 ウェートキャップについて、以前は時価総額上位5銘柄のキャップが8%でその他の銘柄は4%でしたが、変更後は時価総額上位3銘柄がそれぞれ12%、10%、8%でその他の銘柄は4%のキャップとなっています(ニッセイ・アセット・マネジメントより引用)。
現在の上位構成銘柄は、NVDA12%、TSM10%、AVGO8%、ASML4%などにようになっています。NVIDIAの時価総額はSOXの40%を超える水準ですが、ウェートキャップで12%と限定された影響です。
エヌビディアの躍進
2024年、SOX指数は過去最高値を更新しました。
そのけん引役となったのが、エヌビディア(NVDA)です。6月7日の株価は1,208.88ドルで、年初来の上昇率は2.5倍となりました。時価総額は3兆ドルに迫り、一時は時価総額2位のアップル(AAPL)を超えました。マイクロソフト(MSFT)の時価総額も視野に入っています。
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多くのファンドがエヌビディア株をオーバーウエイトしており、四半期ごとのパフォーマンスを求められる機関投資家にとって、エヌビディア株を保有することは避けられない状況です。日本経済新聞によれば、アクティブ投資家の約7割がエヌビディア株を保有しており、そのうち5割がオーバーウエイトしています。2024年に入ってからのS&P500種の時価総額増額の25%をエヌビディアが占めており、S&P500種を最も動かす銘柄となっているのです。
SOX指数が日本株へ与える影響
日本の株式市場では、半導体関連企業の比重が高く、SOX指数の動きに敏感に反応します。東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングスなどの半導体製造装置メーカーや、ローム、ルネサスエレクトロニクスなどの半導体メーカーが上場しており、米国の半導体業界の好調が日本の企業にも波及しています。
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世界的なデジタル化の進展や5G通信の普及を背景に、SOX指数は長期的な上昇トレンドにあります。これに伴い、日本の半導体関連企業の業績も改善し、株価を押し上げる要因となっているのです。しかし、半導体業界は景気変動や需要の変動に影響を受けやすく、株価が大きく上下する特性があります。また、米中貿易摩擦など地政学的リスクも無視できません。
3月25日には、日経新聞社が「日経半導体株指数」の算出・公表を開始しました。これは、東京証券取引所に上場する半導体関連銘柄のうち、時価総額の大きい30銘柄で構成されます。半導体株の動向を見極めるためには、SOX指数とあわせて日経半導体株指数もチェックするようにしましょう。