8月30日に米商務省から発表された7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%の上昇となり、物価上昇率の減速傾向が継続していることが確認されました。5月の上昇率は2.6%、6月は2.5%でした。また、エネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比2.6%の上昇となり、市場予想の2.7%を下回りました。
前月比で見ても、総合指数は0.2%の上昇となり、市場予想の0.1%を上回る結果となりました。一方で、コア指数は前月と同じく0.2%の上昇にとどまっています。これにより、インフレ率は徐々にFRBの目標である2%に近づきつつあります。
FRBが2000年に議会に提出した半期報告書から、FRBはインフレ予測に用いる物価指数を消費者物価指数(CPI)からPCE物価指数に切り替えました。そして、2004年からは、CPIと同様に食料品とエネルギーを除くコア指数で分析するのが一般的となりました。FRBがPCE物価指数を重視するのは、実際の消費の変化を反映するためです。家賃などの影響を強く受けるCPIよりも、物価の実態に近いPCE物価指数は、物価動向をより正確に捉えることができます。
7月のPCE物価指数の結果を受け、FRBが次回9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で4年半ぶりに利下げを行うとの見通しが強まりました。しかし、FRBが0.5%の利下げを決定づけるような内容でもありませんでした。市場の方向性を決める決定打にはなりませんでした。
FRBは物価抑制の一方で、景気を下支えする方向にシフトしていると見られ、パウエル議長がFOMC後の会見で言及した「上下はあるものの緩やかに減速していく」という見立てに沿った動きが期待されます。
ただ、インフレが2%を下回る水準まで減速すると、リセッション(景気後退)の懸念が市場で広がる可能性があります。そのため、現在のPCE物価指数が2%台で推移している状況は、FRBにとって都合が良いでしょう。
PCE物価指数の結果を受けて、30日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比228ドル03セント高の4万1563ドル08セントで取引を終え、連日で最高値を更新しました。米経済が底堅さを保っている中で、FRBが9月に利下げを開始するとの期待が投資家心理を支えました。
PCE物価指数を無事に通過し、次に市場が注目するのは来週発表されるISM統計と雇用統計です。特に雇用統計は、今後の経済動向を占う上で重要な指標とされ、投資家にとって大きな関心を集めるイベントになります。なるでしょう。
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