ログイン

無料ご相談

HOME > 事例紹介 > ファミリーオフィスの資産管理 > 【ご相談】「資産4億円の大半が現金です。ここ数年好調な全世界株へ今から大きく移すのは、私たちにもにも正解ですか?」

【ご相談】「資産4億円の大半が現金です。ここ数年好調な全世界株へ今から大きく移すのは、私たちにもにも正解ですか?」

【ご相談】「資産4億円の大半が現金です。ここ数年好調な全世界株へ今から大きく移すのは、私たちにもにも正解ですか?」

【Q】読者からの質問

現在、金融資産を約4億円保有していますが、その大半は現金のままで、投資信託(全世界株など)に入れているのは3000万円程度です。近年の株価上昇やインフレのニュースを見るたび、「現金のままでは目減りしてしまう、ここ数年好調な全世界株中心の運用へ大きく移さなければ」と焦る気持ちがあります。しかし、自分の知識はYouTubeやXで得た程度なので、今からまとまった資金を大きく動かすには自信が持てません。ネットでは「全世界株一択にオールベットすればいい」という意見をよく目にしますが、4億円という規模の富裕層にとってもそれが本当に正解なのでしょうか。

【A】回答:オルカンは良い投資先。ただし「1000万円の正解」と「4億円の正解」は異なる。

近年、世界的な株高とインフレによって、「現金(キャッシュ)のまま置いておくことのリスク」を痛感させられる局面が増えました。ご質問の心情はとてもよく分かります。

まず明確にしておきたいのは、ネット等で絶賛されている「全世界株(オルカンなど)への投資」は、確かに優れた投資手法であるということです。低コストで世界経済の成長に投資できる仕組みは、多くの資産形成段階の方には、「最適解」の一つと言えます。それはそれで、正しい選択だと思います。

しかし、「資産4億円」というすでにしっかりとした資産を保有するステージに立つ方においては、手元の現金をその投資先へ「大きく、一択で移すべきか」というと、話は全く別になります。なぜ、金額が大きくなった富裕層には別の視点が必要になるのか、現在の金融市場が抱える固有の構造からお伝えしていきます。

忘れてはならない「アセットサイクル」という歴史の振り子

過去10年ほどの強烈な米国株高の記憶が新しい私たちは、つい「株だけを持っていれば、押し目で買い増ししておけば絶対に右肩上がりに資産が増える」と錯覚しがちです。しかし、金融市場には必ず「アセットサイクル(資産の循環)」という振り子が存在します。

歴史を振り返れば、株式が圧倒的なリターンを叩き出す「株の時代」の後には、決まって株式が低迷し、債券やコモディティ(実物資産)が輝く「他の資産の時代」がやってきます。たとえば1970年代の構造的インフレ期や、2000年代初頭のITバブル崩壊後の10年間、米国株の配当込みリアルリターンはほぼゼロ、あるいはマイナスでした。この期間に富裕層の資産を守ったのは、一見、退屈に見える債券や、ゴールドなどの実物資産です。

これまでは、世界的に心地よい(ゴルティロックス)「株の時代」であったからに過ぎず、このサイクルが逆回転を始めたとき、世界株一択のポートフォリオはその逆風をすべて正面から食らうことになります。資産形成期ならともかく、すでに大きな資産を持つ人にとって、サイクルへの無防備な賭けはリスクが大きすぎます。

「インフレの性質」の変化:株だけが特効薬ではない

「インフレ対策として株を買う」というのは教科書通りの正論です。しかし、現在のインフレは、かつてのような「経済がマイルドに成長していく良いインフレ」だけではありません。地政学リスクに伴う供給網の分断や、AIデータセンターの爆発的な電力需要に伴うエネルギー・コモディティ価格の高騰という、「構造的なコストプッシュ型インフレ」の側面を強く持っています。

株価はインフレに強いとされますが、あまりにもコスト(原材料や電力代、人件費)が上がりすぎると、企業の利益率が圧迫され、株価が大きく調整する局面が歴史的に何度も存在します。

つまり、インフレ対策を「株式一択」に委ねてしまうのはやや片手落ちといえます。これからの時代は、インフレの源泉そのものであるコモディティ(商品・ゴールド)や、インフレに連動して賃料が上がるインフラ・不動産といった、「株とは異なる動きをするリアルアセット(実物資産)」を組み合わせることこそが、本当の意味での購買力防衛になります。

「株と債券の相関関係」の地殻変動と、保険としての本質

伝統的な保守の運用では、「株が下がれば、安全資産である債券が上がる」という『逆相関(負の相関)』のルールを大前提として、双方が補い合うポートフォリオを組んできました。

確かに近年のインフレ復活と利上げ局面においては、株と債券が同時に下落する「正の相関」の現象が頻発し、これまでの教科書通りの分散が機能しにくい局面があったのは事実です。だからこそ株式一択という投資家が増えていますが、しかし、だからといって「債券はもう不要だ」と切り捨ててしまうのは早計です。

なぜなら、市場がひとたび「景気後退(リセッション)」の局面に突入すれば、中央銀行は利下げに転じ、景況感の悪化とともに金利は低下(債券価格は上昇)するからです。つまり、金融市場が最も恐怖する激しい景気後退のショックが起きたとき、株と債券は本来の「逆相関」へと回帰し、債券はポートフォリオの強固な命綱(保険)として再び圧倒的な輝きを放ちます。景気サイクルに対する「保険」という意味でも、債券は組み入れるべき資産といえます。

「リバランス」という仕組みがもたらす究極の果実

アセットサイクルが存在し、複数の資産を組み合わせるからこそ、まとまった資産の運用において欠かせない最強の機能が働き始めます。それが「リバランス(資産の再配分)」です。

リバランスとは、定期的に増えすぎた資産を一部売却し、減ってしまった資産を買い増すことで、最初に決めた目標の比率に戻す作業のことです。これは感情を一切挟まずに「値上がりして割高になった資産を自動的に利益確定し、暴落して割安になった資産を自動的に底値で仕込む」という行為をシステム的に行うことを意味します。

一択のオールベットでは、リバランスができないため暴落が来たらただ耐えるしかありません。しかし、適切に分散されたポートフォリオでリバランスを淡々と実行し続けることは、長期的にはポートフォリオ全体の価格の変動幅(リスク)を劇的に抑えながら、さらにリターンを押し上げるという、投資の世界における数少ない恩恵をもたらしてくれます。

富裕層のゴールは「スピード」ではなく「確率」

資産が1000万円であれば、一時的に世界株が30%暴落して700万円になっても、働いて得た給与から積立を続けることで「安く買い増すチャンス」に変えることができます。

しかし、4億円の資産で同じことが起きた場合、一瞬で「1億2000万円」の含み損が発生します。いくら長期投資でいつかは戻ると頭で分かっていても、メディアで報じられる「大丈夫」というコメントでは保有を継続できなくなり、ついには運用資産を売却する、運用に懲りてやめてしまうという判断になる可能性が高くなります。

本来、4億円という規模の資産を持った人間が考えるべき戦略戦は、「資産を2倍にするまでのスピード競争(一択ベット)」ではなく、「資産が目減りする確率をできるだけ低くする(分散アロケーション)こと」です。

【結び】ネットの一般論から離れ、自分のステージに合った戦略を

全世界株という選択肢を否定するつもりはありません。それは資産形成期における有能なツールの一つではあります。大切なのは、ネットに溢れる「一般論」と、自分の「現在の足元(資産規模)」の間に生じているギャップを冷静に見極めることです。

実際に、欧米の超富裕層の資産を守るファミリーオフィスの現場であっても、世界株や株式への大幅シフトする期待リターンを高く評価しつつも、決してそれ「一択」のオールベットにすることはありません。サイクルがいつ切り替わっても、株と債券の相関がどう変化しても、大切な資産の購買力を守り抜くための保守的な資産配分を徹底しています。彼らは定期的なリバランスを通じて、静かにアセットサイクルの先回りをして、複数の資産に命綱を分散しているのです。

手元の現金を一度にマーケットへ大きく投じる必要は全くありません。まずは、今の資産規模だからこそ「守りながら増やす」リバランスの仕組みが必要であるという事実を認識すること。そして、焦って一つの籠にすべての卵を盛るのではなく、市場の変化をヒントにしながら、時間をかけて複数の資産に網を張っていくこと。

ご自身の資産規模を考えると、熱狂的な世間の大合唱から距離を置き、とるべきスタンスは「横綱相撲」です。最大限に資産規模を活かした、洗練された資産運用を行うことが正解だと考えています。

関連記事

資産運用についてお悩みがあれば、
まずはご相談ください。

私たちファミリーオフィスドットコムは、金融商品・不動産・節税・相続など、あらゆる選択肢の中から、
お客様の価値観や状況に寄り添い、中立的な視点で資産運用をサポートします。
資産に関するお悩みや気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

無料相談のお申し込み