渋谷:皆さんこんにちは。ファミリーオフィスドットコムの渋谷です。ビザのエキスパートとして、世界のビザ取得を手伝っていただいている足利さんに、ビザのお話をお伺いします。よろしくお願いします。
足利:よろしくお願いいたします。
渋谷:今日は、アメリカのビザについてお伺いしたいと思います。今、一番人気のあるビザはアメリカだと聞きましたが、それは本当ですか?
[ 目次 ]
足利:アメリカに住んでいる日本人の数は45万人。世界で一番多いのがアメリカです。アメリカに移住したい人もたくさんいますし、駐在員もたくさんいます。プチ移住した人もいます。ですから、圧倒的にマスというか、人数が多いのがアメリカです。
渋谷:アメリカのビザを取るとなると、お子さんの留学に絡めてとか、もしくはある程度資産を貯めて憧れのアメリカに住みたいとか、以前よくあったビジネスのビザを取りたいなど、いろいろあると思います。今、一番人気があるのはどういうものですか?
足利:駐在員で行く人たちは、雇用主がいるため、それなりにビザが決まってきます。しかし、何も当てがない方たちにとっては、E-2というビザが一番の人気です。投資駐在員ビザとアメリカ大使館では名称としていますが、事業に投資することで移住できるビザとなります。
渋谷:少しビザの種類を整理します。いわゆる学生ビザや配偶者のビザなど、いろいろ種類があります。大きく分けると何個ぐらいに分かれるのですか?
足利:アメリカはたくさんあり、E、J、Lなどがあります。ですが、全く雇用主がいない人たちが使えるビザとなると、多分投資家ビザ(E-2)を考えるか、EB-5というグリーンカードを取る。もっとハードルが低いものとしてはF-1という学生ビザ。恐らく、この三つに集約されます。
渋谷:では、私のところにご相談いただくような、資産管理として海外ビザを考えている方で言えば、お子様の留学か、雇用されていない状態であれば、E-2が中心となるとの認識で合っていますか?
足利:正しいです。
渋谷:今、E-2の話を聞きました。実際、E-2を取得するときにはどういった要件で、どういうことが必要なのかを教えていただけますか?
足利: E-2の一番の目的はビジネスです。アメリカでビジネスをするためのビザですから。具体的には、ラーメン屋さんをやったり、ハワイなどでエステサロンをやったり、あとはロサンゼルスで銀だこをやったりということもあります。要は、経営者として行くビザです。
渋谷:ということは、新しいビジネスを始めるのでもいいですし、今あるビジネスを買ってもいいということですか?
足利:そうです。全く初めてのケースもあれば、人によっては誰かから買い取るケース、例えばM&Aというケースもあります。新規も既存も、それは含められます。
渋谷:実際に、自分でビジネスをやってみたい方も結構いらっしゃると思います。ビジネスを始めるときは、不動産の契約をしたり、雇用をスタートしたりと、いろいろあります。どの段階で申請ができるのですか?
足利:アメリカビザの非常に大きな特徴は、実際に事業が始まって、ある程度立証した上でないと申請できないことです。ですから、ビザが下りるか下りないか分からないのに、まずは事業を始めなくてはいけないことが、最大のチャレンジです。先に事業を始めて、ある程度事業が見えてきたとき、初めてビザを申請します。
渋谷:では、例えば日本人に一番人気のあるハワイ。もちろんハワイも該当になりますよね?
足利:そうですね。
渋谷:ハワイでラーメン屋をやりたいと思った場合、まずビジネスをスタートして、ラーメンをサービスするところまで行って、初めてビザが取れるという認識で合っていますか?
足利:お店でのやり取りを始めなくとも、それなりに投資がスタートしているところを見せなくてはなりません。例えば、お店の賃貸契約があったり、銀行口座があったり、これだけ人を雇っていたりという証明が、とても重要になります。
渋谷:それだけ聞くと、大変そうだと思う方も多いと思います。それでも、E-2が人気の理由は何かあるのですか?
足利:国によっては、そこの国にずっと住まなくてはいけないという規制があります。しかし、これは居住要件がないことがかなり大きなメリットです。日本で経営しながら、日本とハワイを行き来する。家族だけがずっとハワイに住んでいるということができるのです。
もう一つ大きな要件は税金です。グリーンカードは、どうしても全世界課税となります。グリーンカードを取った途端、税金のルールが一気に変わります。しかし、E-2の場合は日本とアメリカのどっちに長く住んでいるかによって、税制的な居住者がずっと日本でいることも可能です。そういったところで、税制もすごく申請しやすいところがメリットだと思います。
渋谷:そうですよね。私にご相談いただく方々は、どこの国に居住する、もしくは課税対象の国はどこになるかと聞かれる方が多いです。グリーンカードと違って、E-2は日本に籍を残したまま、課税対象を残したままで取れることがメリットということですよね。
足利:そうです。さらに二つのメリットもあります。お客さんの教育のためにE-2を使いたい方が結構多いのですが、お子さんがE-2の扶養家族となると、公立校などはアメリカ人と同等に扱われ、ほとんどお金がかかりません。
それから、奥様は就労もできます。これも大きなポイントです。こういったメリットを使うことができるため、E-2は人気があります。
渋谷:分かりました。バラバラでしょうが、E-2を使う方というのは日本でリタイアされたり、事業である程度成果を残されたりした方が、アメリカで何かビジネスを始める場合が多いのでしょうか?
足利:アメリカで本気でビジネスをやりたいとE-2を使う人もいれば、極端な話、ハワイに住んでみたいとか、子どもの教育が最優先事項という方もE-2を使っています。究極はワーケーションをやってみたいという方もいらっしゃいます。
渋谷:分かりました。事実かどうか分かりませんが、トランプ大統領のときには、外国人のビザ申請が厳しいという話がありました。それがバイデン大統領になってから緩和されたという話は本当なのですか?
足利:トランプ大統領の最後の方では、特に労働市場に関係のあるビザ、具体的にはH-1BやLで日本企業の駐在員も非常に困っていました。
なぜなら、アメリカ国籍を最優先に雇ってほしいので、こういった人たちはどうしても優先順位が低くなるのです。でも、今お話ししたE-2は投資をする、プラス投資をするところから雇用創出をすることがありますので、アメリカにとってはメリットとなります。そのため、コロナ禍でも全くとまらなかったビザの一つです。
渋谷:分かりました。アメリカ自体かなり人気があり、日本の方も引き続きビザを取る方が多く、その中でも特にE-2を取得する方が多いとのことでした。最後に、E-2を取るときに注意すべきことはありますか?
足利:最大のポイントは、どの事業に投資するかです。日本でのビジネス経験があっても、アメリカはまた違う環境となります。なるべくリスクが低いものを選ぶ必要があります。
また、例えばせっかくハワイに住み始めたのに、ビジネスに追われて逆に疲労してしまうと本末転倒です。事業を選ぶことが、とても重要なポイントだと思います。
渋谷:分かりました。本日はありがとうございました。
足利:ありがとうございました。
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