【米国株】CPI通過後は米国2年金利とSOX指数に注目

【米国株】CPI通過後は米国2年金利とSOX指数に注目

超保守的な資産管理チャンネルで配信中

14日、1月CPIが発表されました。市場予想とほぼ同じで、マーケットにサプライズ、波乱はありませんでした。ただ、金利には少し影響が出ています。金利動向によっては、今後の株式市場に大きな影響が出るとも考えられます。そこで本日は6ヶ月、1年、2年の金利動向を解説します。

SOX指数についても、直近のニュースを踏まえ、お伝えしたいことがあります。ぜひ最後までご覧ください。

注目の米CPIの評価は分かれる

注目のCPIは評価が分かれる

最初に、CPIを見ていきます。左のチャートは、1月米CPIです。前月比+0.5%、前年同月比+6.4%と、ほぼ予想通りでした。前月比+0.5%で、まだまだ物価が落ち着いていないと確認できました。一方で、前月と比べて下がっているため、全体的には下落しています。下落傾向の中、まだまだ根強いところもある、強弱の分かれる形ですから、CPIについては評価の分かれるところでした。

ただ、左のチャートで分かる通り、青のサービス部門が伸びています。パウエル議長は、FOMC以降も財・住宅はディスインフレ―ションと言っていますが、サービスのインフレは続いているとしていました。今回もサービスのインフレが根強く続いています。右のチャートからも、特段変化は見られません。

今回のCPIは注目されていましたが、強弱が分かれ、マーケットの評価も分かれています。3月14日のCPIを見るまでは、なかなか判断が付かないというのが、マーケットのメインの考えとなるでしょう。今回のCPIでは、大きな方向感は出ませんでした。3月14日のCPIを確認し、3月22日のFOMCで、CPIを含めどういった金融政策を打ってくるかまで、結果が持ち越しになったと言えるでしょう。

予想FFレートは上昇

次に皆さんに知っていただきたいのは、FFレート先物、6ヶ月、1年、2年金利です。FFレートの先物予想、紫が今年2月1日時点のチャートです。1年以内に0.5%の利下げに転じること、3月に利上げが止まることを表しています。

低いターミナルレートの到達点は、5%に満たない予想となっています。ですが、雇用統計発表後、FRBメンバーのタカ派的発言が続いたことで、2月13日時点ではFF予想レートが引き上がっています。結果として、3月に加え、5月の利上げが予想されていますし、年内の利下げも0.25%に留まるのではと、先物予想が上がってきました。

さらに14日のCPIの結果を受けて、黄色のチャートのように利下げタイミングが後ろ倒しになるのではと表されています。FFレート引き下げが後倒しになると、株価にマイナスの影響があります。

気になるイールドカーブとSOX指数

利下げ期待の低下を受けてイールドカーブに変化

さらに詳しく見てみましょう。アメリカの6ヶ月金利が赤いチャート、1年金利が緑のチャート、2年金利が青いチャートです。短期金利をご覧になることは少ないでしょうが、このように見ると、一つの特徴が確認できます。

黄色網掛け箇所、赤いチャートをご覧ください。今年に入り株価が堅調だった理由は、緑のチャートの6ヶ月金利が、1年にとの差を広げていたことにあります。

1月時点では、2~3月に利上げを行うものの、その後利下げに転じるだろうと考えられていました。年後半の利下げを考え、6ヶ月金利は高いものの、1年金利が6ヶ月より低い状況が続いていました。こうした利下げ期待が強かったことで、株価は大きく上昇しました。

しかし、現在は6ヶ月金利と1年金利の金利がほぼ同じです。ここから分かるのは、6ヶ月後から12ヶ月後までの6ヶ月間では、利下げが行われないとマーケットが織り込んだことです。チャートの狭まりは、1年間での利下げ確率が減っていることを表します。金利が高いまま、今後PERが上がりにくい状況が続く、PER低下の可能性が高いことが6ヶ月、1年金利からは分かります。

青いチャートは2年金利です。こちらも6ヶ月、1年金利に近付いています。2年以内の利下げ確率が減り、高い金利で留まる可能性も高いです。今後、青いチャートが6ヶ月、1年により近付くようであれば、さらにタイトな状況、市場を抑圧する金融政策が続くことを意味します。

こういった金利の抑圧的な状態が続くと、PERは上がりにくくなります。歴史的に見ても、潜在成長率の4%を超える金利が長期間続くと、PERは低下しています。今後、青いチャートの2年金利が上昇するようであれば、PERが低下しやすいと、この段階では把握しておくべきでしょう。

現段階のPERは18.6倍と、過去10年間の18倍から比べても高い状態です。しかし、前回記事でもお伝えしたように、エクイティリスクプレミアム、国債利回りから株式に投資したとき、得られるメリットは、1.6%まで下がっています。これは過去平均の4%から見ると、投資してもリターンの期待値が非常に低いことを表します。

金利が上がる中、エクイティリスクプレミアムが狭い状態では、株価の調整が起きやすいと、歴史的にも確認できています。CPIの影響を受け、14日の株価の動きは少なかったものの、エクイティリスクプレミアム、2年金利の動向を見ると、まだまだ不安定な状況が続いています。今後、2年金利に注目していただければと思います。

市場はバークシャーのTSMC売却の影響に注視

最後に、こちらをご覧ください。濃い緑のチャートはSOX指数、黄色はNASDAQ、薄緑がS&P500です。2023年に入ってからは、SOX指数、半導体の指数が大きくマーケットをけん引し、NASDAQがS&P500を上回ってきました。

今後も半導体を中心にNASDAQが大きく上昇すると、期待が高まっていました。14日もMicrosoft、NVIDIA、PalantirといったAIに関する企業の株価が、大きく上昇していました。ChatGPTなどが広がることで、半導体需要が増えるだろうと考えられ、半導体メーカーに関する業績回復が、非常に期待されていました。

マーケットが終わった後、ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、台湾のTSMC保有しているADRの86%を売却しています。ただ、売却した時期は10~12月。一番半導体セクターの株価、SOX指数も下がっていた状態でした。悪いことを見越して売ったのか、今年にかけて半導体需要が大きく下がると見越して売ったのかは、現在はマーケットが思慮している最中です。

特にバフェットが買った銘柄は、かなり長い期間保有すると言われる中での短期売買でした。何か思惑があるとされています。今年に入りマーケットをけん引してきたSOX指数が今後売られるようであれば、金利上昇と共に株価が崩れやすくなる可能性もあります。半導体指数が今晩以降どうなるか、2年金利がどうなるか、ぜひ注目していただければと思います。

注目されていたFOMC、CPIも過ぎ、金融政策がどうなるかはまちまちで判断がつきません。マーケットとしては、当面気迷いのある状況が続くと思われます。3月中旬以降まで、CPI、FOMCは開催されませんので、金利、SOX指数がどういう動きをするかを見ないと、なかなか大きな材料は拾いにくくなります。SOX指数、2年金利を中心に見ていただければと思います。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

インド株の調整と今後の展望:大型IPO、地政学リスク、トランプ氏再選でどうなる?

インド株の調整と今後の展望:大型IPO、地政学リスク、トランプ氏再選でどうなる?

今日はインド株市場の最新動向について解説します。インド株は最近、大きな調整局面に入っていますが、その背景にはど …

米国トランプ政権発足と新たな関税政策 〜製造業への影響と企業の対応策〜

米国トランプ政権発足と新たな関税政策 〜製造業への影響と企業の対応策〜

2024年11月5日に行われた米国大統領選挙で、トランプ前大統領が再び米国の第47代大統領に選出されました。同 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 12月7日号(12月9日〜12月13日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 12月7日号(12月9日〜12月13日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

今週も米新政権の発言次第という不安定な相場が続きそう【日本株・ドル円 週間見通し】 11月30日号(12月2日〜12月6日)

今週も米新政権の発言次第という不安定な相場が続きそう【日本株・ドル円 週間見通し】 11月30日号(12月2日〜12月6日)

日本株先週の振り返り 先週(11月25日〜29日)の日経平均株価は、前週末比75.82円安の3万8,208.0 …

クリスマス商戦が本格化【日本株・ドル円 週間見通し】 11月23日号(11月25日〜11月29日)

クリスマス商戦が本格化【日本株・ドル円 週間見通し】 11月23日号(11月25日〜11月29日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

新興国株からの資金流出が止まらない理由とは?

新興国株からの資金流出が止まらない理由とは?

新興国株式市場からの資金流出が続いています。米国経済の底堅さや新興国経済の減速がその背景にあり、投資家たちは慎 …

東証REIT指数の低迷はいつ終わる?最新の見通しを解説

東証REIT指数の低迷はいつ終わる?最新の見通しを解説

東証REIT指数は今年1月に年初来高値の1844ポイントに到達しましたが、その後は上値が重く低迷が続いています …

米トリプルレッドの影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月16日号(11月18日〜11月22日)

米トリプルレッドの影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月16日号(11月18日〜11月22日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週は、 …

エヌビディアがNYダウに採用された意義と今後の展望

エヌビディアがNYダウに採用された意義と今後の展望

米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが11月1日にダウ工業株30種平均(NYダウ)の構成銘柄にエヌビ …

トランプラリーはこれからも続くのか?今後の不安材料と死角について【11/11 マーケット見通し】

トランプラリーはこれからも続くのか?今後の不安材料と死角について【11/11 マーケット見通し】

米大統領選挙にて、次期大統領にトランプ氏が選ばれました。それを受けて先週は株価が大きく上昇しています。例えば小 …

MOVE指数が示す金利リスクと投資戦略

MOVE指数が示す金利リスクと投資戦略

MOVE指数は、米国債市場の金利変動リスクを測定する重要な指標です。金利のボラティリティを示し、その上昇は市場 …

米国ビッグ・イベント通過後の影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月10日号(11月11日〜11月15日)

米国ビッグ・イベント通過後の影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月10日号(11月11日〜11月15日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

〜米大統領選挙が鍵〜【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(11月4日〜11月8日)

〜米大統領選挙が鍵〜【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(11月4日〜11月8日)

[ 目次 ]1 先週の日本株の振り返り2 今週の日本株の見通し3 来週のドル円相場の注目点 先週の日本株の振り …

トランプ氏再選でスタグフレーションの恐れが高まる?原因と対策を簡潔に解説

トランプ氏再選でスタグフレーションの恐れが高まる?原因と対策を簡潔に解説

景気が停滞する中で物価が上昇する、いわゆるスタグフレーションのリスクが高まっています。その原因と私たちにできる …

【米国株】今週の注目材料、企業業績と長期金利、そして需給環境を現状分析【10/15 マーケット見通し】

【米国株】今週の注目材料、企業業績と長期金利、そして需給環境を現状分析【10/15 マーケット見通し】

アメリカの長期金利が上昇を続けています。一時期は3.6%まで低下していた金利が、10月25日段階では4.27% …

おすすめ記事